おわりに. デスゲームの果て
・『小説家になろう』、どう攻略する?
さて、ここまで『小説家になろう』の光と闇の対極に位置する高PV作品を見てきた。これらから、『小説家になろう』というモンスターハウスにおいてどのような立ち回りをすべきか、何となく見えてきたのではないだろうか?
ところで。GMと何かと縁が深い声優の上田麗奈さんが声をあてているキャラクターの一人に、『アイドルマスター ミリオンライブ!』の高坂海美が存在する。『何故ここでアイマス?』という視聴者貴族の皆様には、彼女の発言こそが本デスゲーム、ひいては『小説家になろう』という激戦区を生き残るための法則を語っていることをここで伝えたい。
以下引用
「作戦は3つ!まずスタートダッシュで引き離す!中盤に加速してさらに引き離す!!ラストスパートでダメ押しっ!!...ね、完璧でしょ♪」
引用終了
この発言を念頭に置いた上で、筆者が攻略に必要と考えた要素を以下に記述する。
① 流行タグを取り入れる
競馬でいえば、流行しているタグ……ざまぁやハーレムなどをアタマにする必要はない。何か書きたい本筋があるとして、それをアタマにし、その上でヒモとしてざまぁやハーレムをぶら下げるという形だ。長い連載を見込んで読者を取り込もうとするのであればヒモに入れないという選択肢はほぼ無いと言っていい。
② 序盤は1日に複数話投稿する
両作品に共通していた点として、序盤における投稿頻度の高さである。様々な時間帯に話数が少ない時点で投稿し、読者を誘引する。後述する手法を取り入れることでより読者に読まれやすくなると考えられる。
③ 最序盤に山場を置く
両作品共に、1話周辺でいきなり物語が大きく動く。最近の音楽がイントロに力を入れているように、なろうにおいても最序盤に力を最も割くべきである。もちろん最序盤にだけ力を入れすぎれば後は尻すぼみであったという評価になり得るが。
④ 毎日投稿する
ローマは一日にして成らず。なろうは一日にしてバズらず。
⑤ タイトルは長くても短くても関係なさそう?
むしろあらすじが重要な気がする。この小説が何を推しているのかが分かれば読者は食いつく。女装のやつが好例。
⑤ テンプレのラインはある程度遵守したほうが書きやすい
④との噛み合わせになるが、やはり毎日投稿する上でテンプレに沿うことはプロットを一から構成するよりはずっと楽である。ただし、どこかで変化球を投げなければテンプレ作品の烙印を押されるだろう。変化球がすっぽ抜けたときもそれはそれで大変であるが。
⑥ 文字数は短くても問題ない
個人的には3000文字くらい欲しいが、2000文字ぐらいでも毎日出すことのメリットが上回る印象。長すぎると逆に敬遠される層もいるので、ジャンル次第。
⑦ 感想は来ないと思え
それこそランキング入りでもしない限り、底辺作品に感想を投げる人は稀です。デスゲームを観戦されていた中には感想貴族の方もいらっしゃいましたが、誰一人来ませんでした(ガチャ)。なんで来なかったんでしょうかねー。
⑧ 最後にモノを言うのは自分が楽しいかどうか
一番重要です。物語を作るということに楽しみを見出せなければ血反吐を吐きながら永遠に走り続けるマラソンであり、その先に何も待っていないことがほとんど。それでも書き続けるのは、キャラクターを動かすのが楽しいから。情景を表現するために足りない頭で語彙を脳から引っ張り出すことに快楽を見出せるから。
それこそ商業作家の方々は割り切って書けるでしょう。でも私たちは趣味で書いているだけですから。評価ポイントとかも大事だけど根底にある楽しさを忘れてほしくないです。
あ、でもやっぱり評価ポイントほしいしガッツリPV数増えてほしい(強欲で貪欲な壺)
・視聴者貴族の皆様および本デスゲームに参加した同胞の皆様
視聴者貴族の皆様、30日間の興業はお楽しみいただけたでしょうか? 私は参加者として飛び込む中で、『なろうらしくないなろう系を書いてやる』と決めていました。その先に生まれたのが、
『白の世界の観測者~転移した私にこの世界を破壊しろというのは流石に無理がないですか?~』です(ガッツリ宣伝姉貴兄貴)
PV数的には奮わなかった作品ではありますが、私が自信をもって執筆した自慢の子です。デスゲーム終了後も物語の終わりを見届けるまで書き続けますので応援してくださったら幸いです。
本デスゲームに参加していた同胞の皆様、30日間お疲れ様でした。皆様の参加の動機はなんでしょうか? 面白そうだから? これくらい自分でも書けると思ったから? 執筆という世界に飛び込んでみたかったから? いろいろあると思います。途中で筆を折った者、そもそも書けなかった者、書いたが現実にひれ伏した者。デスゲームという戦場に積み上がった骸一つ一つにそれまでの物語があります。
幾万ものPV数を重ねて生存した者。おめでとうございます。新たなる戦場へ赴く者として祝福します。願わくばその物語が平穏に続かんことを。
そして第二の戦場へと足を踏み入れる者。その戦列には性懲りも無く私がいるでしょう。だって私はこの戦場で執筆の楽しさを知ってしまったのですから……!
・最後に
30日間という限られた時間で投稿歴のない作者が高いPVを叩き出すことができるという結果が生み出された。これは『小説家になろう』というパンドラの箱に残された希望を感じさせる結果だと思います。
その果てに生み出されるものが光り輝く新星か、錆び付いた見覚えのある石ころか。そして……本デスゲームに確かな傷痕を残した一人の参加者が咆哮した怨嗟に人々は立ち向かうか背を向けるか。私は……どうでしょうね?
最後に、本デスゲーム企画を主催した幽焼け氏に最大限の謝辞を送りたいと思います。本デスゲームは、執筆に楽しさを持って物書きという世界へ飛び込む人たちの足がかりになっただけでなく、新たなる才能の発掘という大命まで果たしてしまいました。ラノベ系Vtuberとしてこれ以上無い功績だと思います。次回も性懲り無く参加させていただくので、その時はトップを取ります。
そして私個人の願いとして、第二回のなろう系執筆デスゲームでも新たな才能が発掘され、一人でも多くの人々が執筆の楽しさに目覚めることを願って本エッセイの締めとさせていただきます。ここまでのご拝読本当にありがとうございました。
ひとまず完結済としていますが、ここまでの文章は最終発表前に大方書いていたものになります。最終発表で現れた期待の新星、特に後半で一気にPV数を稼いだ作品などはかなり考察の余地があると考えられるでしょう。
そこで、現在連載している作品との兼ね合いになりますが、それらの作品もまた分析していく予定です。