7 連絡
お兄様が倒れたと聞いた日
私と照美ちゃんは家に居ました
その日はお母さんの命日でしたので、お兄様が帰ってきた後お墓参りに行こうと照美ちゃんとお兄様の帰りを待っていたのです
「零次ー、うちにスマホあったよー...ってあれ? 雫ちゃん、零次帰ってきてないの?」
「あ、照美ちゃんいらっしゃい...はい、いつもならもう帰ってきている時間なのですが」
時計を見れば五時半
確かにいくら本屋に行っていたとしても、いつもの零次なら既に帰ってきていてもおかしく無い時間だ
「んー、零次は本屋に寄って帰るって言ってたからこれくらいの時間に帰ってると思ったんだけどな...」
「携帯電話も忘れていってしまいましたし...何か事件に巻き込まれていなければいいのですが...」
更に三十分が経過した
「.........遅いですね......」
...私が通っている中学校から下校し二時間ほど
お兄様は未だ帰ってきていません
いつもならば、私が帰ってきてから一時間ほどで帰ってくるのですけど
今日は二時間経っても帰ってきません
あぁ、お兄様が居ないだけで一時間とゆう時間が悠久の時にも思えてしまうのに
二時間もお兄様と離れてしまえば...嗚呼、私はもう死んでしまいそうです
「うわぁ⁉︎ 雫ちゃん! 手! 手が!」
ふと気づき手を見ると
その手は自分の首に添えられておりあと少しでも力を入れれば自分の首を締め上げる様な状態でした
「はっ⁉︎ お兄様成分を補給していない所為で禁断症状が...!」
「そんな危険なことになるの⁉︎」
一昔前、お兄様が修学旅行で不在の時、最終日にギリギリでお兄様成分が枯渇してしまい
廊下で倒れていたところをお兄様に見つかるとゆう事件もありました
「うわぁ、ヤバいじゃん...零次ぃ早く帰ってきてくれー、雫ちゃんが危ない...!」
その時です、私の携帯電話が着信音を鳴らしました
『〜♪』
「あら? こんな時間にどちら様でしょう...はい、成瀬です......」
『雫ちゃん、ごめんなさいねこんな時間に』
私に電話をかけて来たのは、孤群市にある国際病院の声村医師だった
声村医師は母が死んだ当時の私たちのカウンセリングを担当してくれた医師で
その後も個人的な付き合いは続いており、私は偶に一緒に出かけていたりしている
「ん? 雫ちゃん、誰?」
「声村医師です。それで一体......」
『あのね、雫ちゃん。これから言うことはたちの悪い冗談でもなんでもないわ、心して聞いて頂戴』
「はい?」
『貴女のお兄ちゃん、零次くんのことなんだけれど』
「は...はい...」
『先程、街中で出現した【愚羅】に襲われて、意識不明の状態でこの病院に搬送されて来たわ』
「.........は?」
ガタっ
膝から崩れ落ちる感覚がしました
だけれど今は...そんな些細なことはどうでもいい
「ちょっと、どうしたの⁉︎ 雫ちゃん‼︎」
「嘘ですよね...」
『......』
「なんとか言ってくださいな...4月1日はもうとっくに過ぎていますよ...は...働きすぎで日付感覚が、おかしく、なったんじゃない...ですかぁ?」
『...今は孤群東京国際病院にいるわ、今から移動してしまうと遅い時間になってしまうから明日の放課後にでも来て頂戴』
「......」
嘘だ
「ちょっと雫ちゃん! どうしたのって!」
嘘ですよね
「ねぇ! 雫ちゃん⁉︎」
お兄様...っ
「あ...っ」
「雫! ちょっと電話貸してもらうよ!...電話変わりました、声村医師ですか?」
『その声は照美ちゃん? 丁度良かった、貴女にも話しておきたいことがあるの』
「はい、はい......え?............零次が...意識...不明?」
『零次くんが意識不明でこちらに搬送されて来たわ」
「零次が...意識...不明?」
えっと? エイプリルフールはもう、終わった筈なんだけどな...?
「お兄様...」
『明日の放課後にでも雫ちゃんを連れて来てくれないかしら、今からではもう時間が遅いわ』
「は、はい...いえ...だいじょうぶ...です...今から、行きます」
「お兄様...」
「それより...雫ちゃん、が...」
雫ちゃんはこの電話が来てからずっとお兄様ってぶつぶつ呟いている
『...やっぱり明日辺りに一回カウンセリングにも来てもらった方がいいわ』
「はい、雫ちゃんは明日連れて行きます...」
『お願いね...ごめんなさい、貴女たちが1番辛いのに......』
「いえ、大丈夫です......こうゆう時、しっかりしないと...志織さんに零次たちの事託されたんだから...」
一度思いっきり頬を叩く
まだショックはあるけど、いつまでもグダグダしてちゃいられない
「それで、零次はどこの病棟に?」
『零次くんは主に重傷者が運ばれてくる第三病棟にいるわ。多分、まだ手術中でしょうけど貴女と雫ちゃんの名前を出せば通れるようにしておくから、お見舞いに行く時は身分証を忘れずにね』
「はい、連絡ありがとうございました」
『はい、それじゃあ......雫ちゃんのこと、お願いね』
「はい」
そのまま電話を切った
カウンセラーとして、今の雫の精神状態は危ないのだろう
「お兄様...」
「...雫ちゃん...零次のスマホ、ここに置いておくから。私は病院行ってくる」
「お兄様...お兄様...」
まだ零次のことを呼び続けている雫ちゃんをソファに座らせて零次のスマホを握らせる
雫ちゃんのことは心配だけど、私はこの目で一度零次のことを確認しなければならない
「それじゃあ行ってくる」
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どうか、モチベーションupの為にどうか...!
この作品はこれからはノベルアップ+メインになりそうです
なんか暇な時とかドラゴニアが行き詰まった時にこの作品を出します
よろしくお願いします