彩の本当の能力&新たな出会い
なんとか三話目です。このお話を書くにあたってラノベによくある理屈無視のチート能力とかは出てこないように考えてますが、あれずるすぎません?なんでもありじゃないですか!(読んでる分にはとても楽しいですが。)こちとら設定が設定だけに今の物理や化学の理論や法則を逸脱しないように考えてるのに・・・そんな愚痴を言っても元はと言えば、自分が作った設定なので自分の知識をフル活用して今後も書いていきます・・・
能力試験を終えた二人は元々の待ち合わせ場所だった彩のテストフィールドの近くのベンチでそれぞれの能力について話し合うこととなった。
「んで、どうだったって聞きたいところだけど司の能力、やっと思い出せたよ・・・」
「それは良かった、じゃあどうぞ」
「風を起こす・・・能力、風力操作で合ってる?・・・」
「・・・正解、良かった思い出してくれて」
「あ~良かった、正直テストより緊張したかもw」
「なんかそれ俺が悪いみたいじゃんかー」
「ごめんごめん、んでそっちはどうだったの?」
「そうそうその話なんだけど・・・」
司は彩に自分が起こした竜巻のこと、そして先生に止めるように怒られたことを話した。それを聞いた彩は・・・
「え、それ普通にやばくない?・・・」
「まあ確かに昔と比較できないくらい能力が向上してたし」
「それは先生も心配するよ・・・」
「そうなの!?」
「私、能力にそこまで詳しいわけじゃないけど能力で風速50メートルの竜巻を起こすってほとんど聞いたことないよ?」
「まじか・・・」
「じゃあそれって・・・」
「間違いなくレベル5(超能力)クラスだね。もちろんクラスも一番上」
「じゃあ彩と同じクラスだな!いやーよかったよかった」
「ちょっと、なんでもう私のクラスが司と同じって決まってるのよ(やった!司と同じクラス!)」
「あれ、お前自分の作った水球の大きさ知らないのか?」
「何言ってんの、それくらいわかってるよ、直径3~5メートルくらいだったんでしょ?」
「やっぱりわかってなかったか・・・」
「え、違うの?」
「もうそれは月とすっぽんくらいにね、実際は直径20メートルくらいだったと思うぞ」
「嘘!私そんな大きなの作ってたの?」
「そうだよ、しかもなんか彩の周りの空気揺れてたぞ?熱かなんか出した?」
「そんなの知らないよ!初耳なんですけど!」
「・・・なあ、さっきのテストを見て思ったんだけど、彩の能力って水を生成したり消したりする能力だって思ってたけどそれ本当か?」
「なに?もしかして違うって言うの?」
「これはあくまで推測なんだが、彩の能力って多分水に関係しないと思うんだ。」
「へ?どういうこと?」
「一応確認するけど、ユニバースには彩の能力は水を生成する、水球生成として登録されているんだよな?」
「ええ・・・そのはずだけど」
「彩、もし今から俺の言うことが間違ってたらごめん。だけどもし当たっていたりしたらこのことは誰にも言うな・・・」
「も、もちろんよ。それに言う相手がいないし」
「よし・・・多分彩の能力は熱操作なんじゃないかと思う」
「ん?なんか気構えしちゃったけどそんな危険なこと?」
「俺の考えではもしかしたら、な」
「なんでなの?」
「彩も少し考えればわかることなんだが、空気って水蒸気を含んでいて、空気1㎥あたりに含むことが出来る水蒸気には空気の温度に応じて限界がある、これを飽和水蒸気量という、って習っただろ?」
「もしかして司・・・」
「そう、彩は熱を操作して空気の温度を下げることで飽和水蒸気量に収まりきらなくなった水蒸気を水分として集め、あの大きな水球を作ったんだと思う。それならあの彩の周りの空気が揺れていたのも説明がつく。様々な物理現象においてエネルギーの和は常に一定でなければいけないし、彩が空気を冷やした分のエネルギーが彩の体の周りから放出されていると考えれば・・・違うかもだけど」
「いや、司のその話、説明にも筋が通っていて信憑性があるし、試す価値は十分にあると思うよ。まだ確定したわけじゃないけど、多分私の能力はウォータージェネレーターなんかじゃなくてヒートオペレーターなんだって思えるよ」
「しかも彩は水球を消せるんだから、冷やすだけじゃなくて温めることも出来るはずなんだよ」
「そっか!じゃあ実は私すごい能力者だったってこと?」
「そういうことになりそうだね、とりあえずそれを試すにも此処じゃだめだし場所を変えよっか」
「そうだね、今はテストが始まってすぐでみんな校庭にいるだろうし、今はまだ人のいなさそうな教室に行かない?」
「そうしよう」
二人はすぐに立ち上がって教室へと向かった。そして教室に着き、中を見てみると誰もいなかった。二人は教室に入り、しっかり扉を閉めた。
「じゃあ早速だけど、俺の手を少し冷やしてみて?」
「うん、じゃあいくよ・・・」
そういうと彩は恐る恐る司の手を握り、能力を行使した。すると・・・
「やっぱり・・・彩は熱量操作だ。」
「手冷たくなったの?」
「うん、じゃあ今度は温めてみて?」
「わかった」
「うん、やっぱりそうだ、彩は高度な熱量操作だよ!」
「やった!なんか自分の本当の姿を知れたみたいでうれしい!」
「うれしいのは分かったけど、その・・・手・・・」
「キャア!ごめん!」
「こっちこそ・・・」
そこから少し沈黙の時間があったが、2人はようやく落ち着き話を元に戻した。
「となるとだ・・・彩、あれだけの大きさの水球を作ったということは莫大な熱量を操れないといけないことになる。多分彩の能力レベルは俺がレベル5クラスっていうなら彩も同じレベル5クラス、いやそれ以上かもしれない。彩は俺と違って熱を操作出来るからな。風とかそういうものよりももっと根幹の部分を操れる。まあレベル6クラスの可能性は十分にあるだろうな・・・」
「もしほかの人にばれたり、先生に知られたりしたら・・・」
「間違いなく研究目的に利用されるだろうな・・・」
「私これからどうしよう・・・」
「一応、聞くんだけど発生した熱は無制限に放出される感じなんだよな?」
「うん、だから私の周りにいると能力発動時にいるととんでもないことになっちゃうと思う」
「そっか・・・なら能力を使用するときは俺が風を起こしてその熱を上空へ吹き飛ばすからそれでごまかすしかない」
「確かにそれならばれなさそう!」
「でも決して無茶はするなよ、いくら風を起こしても放出する熱量があまりにも多かったら隠しようがない・・・」
「これから用心するよ、これで確認も済んで、対策も考えられたし、また校庭に戻って他の人の試験でも見ない?」
「そうだね、今はこれ以上考えても仕方ないしね」
そして2人は教室に向かう時とは違い、落ち着いた足取りで校庭へ向かった。
「そういえば、司の起こした竜巻、風速50メートルだったんでしょ?まだ風速を上げられそうだったの?」
「正直言うと、全然行けそうだった」
「待って待って、それはもしかしたら私レベルでやばいんじゃ・・・」
「かもしれないけど、これからはセーブするから大丈夫だよ。」
「それならいいけど・・・」
「ふふっ、お互い秘密を持っているってなんかいいねw」
「もう、そんなことを言う場合じゃないでしょ!」
「はいはい、じゃあ観戦と行きますか!」
「本当に分かってるのか・・・」
そんなこんなで二人はいろいろな人の能力試験を見ていた。
やはり難関校とあって様々な能力の人達がいた。
そして、とあるフィールドを見ていると二人の目を引くような能力を使っている女子生徒がいた。
その少女はフィールドをまるで氷の上でも滑っているかのように縦横無尽に動いていた。それを見ていた司たちは・・・
「すごい!そういう能力があるって聞いたことはあったけど実際に能力を見るのは初めて!」
彩は興奮した様子で食い入るようにそのテストを見ていた。
「確かにすごいな・・・あの子の能力は多分見るからに考えて・・・」
「「摩擦操作!!」」
二人は顔を見合わせながらそう言った。
その後二人でフリクションオペレーターだったら何が出来るか想像して言い合っていた。
そして数分後、その女子生徒がテストを終えて出てきた。
その女子生徒をよく見ると端正で整った顔をしていて、彩に司があの子可愛いな、と言おうとしたその瞬間、彩はすでに司の横から消えていた。
その子は前の学校の友達がいないのか、一人でどこかへ行こうとしていたところ、後ろから彩が・・・
「ねえ、ちょっといい?」
「はい・・・なんですか?」
「私、一年の白坂彩って言うんだけど、あなたの名前は?」
「私も一年で立花梨加と言います・・・あの、なにか?・・・」
「あ、いやその、すごい能力だったね!私見たことないからびっくりしたよ!あなたの能力ってもしかして摩擦操作?」
「一応触れたものだけですが・・・」
「すごいね!じゃあ物が飛んできて当たっても全く痛くないわけだ!」
「そういうことになります・・・わかってても怖いですけど・・・それで何か用ですか?」
「あ、忘れてた・・・ごめんごめん。立花さんって今友達とかいたりする?」
「中学生の時はいましたが、高校はばらばらになってしまって、この学校には今は友達はいません・・・」
「そっか・・・残念だね、ならさ!高校から私と友達にならない!?」
「え・・・いいですけど、いいんですか?私みたいな人と友達になっても?・・・」
「当たり前じゃん!こんなかわいい子と友達になりたくないわけないじゃん!」
「そんなことないです・・・私、人見知りだし、愛想悪いし・・・」
「ほらそういうこと気にしないの!私が友達になってほしいって言ってるんだからあなたははい、かいいえ、で答えてくれればいいの」
「でも・・・本当にいいんですか?」
「あーもう、じれったい!そういうところは直さないとだめだよ?折角いい才能持ってるのにそれを殺してどうするの?中学の友達に何か言われてないの?」
「言われました・・・自信を持てって・・・」
「ほら、その友達の言うとおりだよ、立花さん、今ここで踏み出さないと今後どんどん臆病になっていって中学の友達との約束も破ることになるんだよ?それでいいの?」
「いやです・・・!」
「なら、今すべきことはひとつじゃない?」
「是非・・・お願いします・・・白坂さん」
「じゃあこれから友達ってことで!早速一つお願いがあるんだけどいい?」
「なんですか?」
「その白坂さんってやめてほしいな?なんか他人みたいじゃん」
「あ、すみません・・・彩さん・・・」
「んー本当は彩でいいんだけどその方が呼びやすいならそれでいいよ」
「じゃあ梨加、早速一緒に行こう!」
「どこへですか?」
「私の幼馴染を紹介するよ」
「え、もしかしてあそこに立っている方ですか?」
「そうだよ!じゃあ梨加の紹介も兼ねて行くよ!」
「待ってください!ちょ、ちょっと早いです、彩さん!」
その一部始終を見ていた司はなんか彩が急に説教し始めたと思ったら、困っている女子を引っ張ってきたようにしか見えなかった。
「(女の子の方も大変だな・・・ドンマイ)」
「司、紹介するよ、この子がさっき言っていた子で今私と友達になったばかりの・・・」
「た、立花梨加です!」
「なんかごめんね、彩がいろいろしたみたいで・・・僕は君の隣にいる白坂彩の幼馴染で上平司と言います、こちらこそよろしく」
「よ、よろしくお願いします!」
「ちょっと!私が何をしたって言うのさ!」
「立花さん、彩と友達になったって言ってたけど、これから彩のこと、よろしくね?」
「はい!」
「せっかく彩と仲良くなったんだし、僕とも友達でいいのかな?」
「も、もちろんです!改めてよろしくお願いします!」
「ちょっと無視しないでよ!」
そんなこんなで立花梨加がこの高校で二人にとって初めての友達となったのだった。それから三人は自分の能力や中学までのことをたくさん語り合った。そしてそのまま時間が過ぎ、新入生2000人の能力試験が終わった。
「いやー今日はお疲れ様ー」
「お疲れ様でした・・・」
「と言っても能力試験がほとんどずっと喋ってたけどねw」
「確かにそうだねwまあでも新しく友達が出来たし、今日はいい日だったね」
「本当二人には感謝しています、これからよろしくお願いします」
「そんな畏まらなくていいって」
「そうだよ、これから友達なんだし」
「あ、ありがとうございます」
「でも、明日同じクラスになれたらいいな・・・」
「あ、そっか!まだ結果も返ってきてないからクラス発表されてないんだったね!」
「そうなんです・・・折角友達になれたのにクラスが違ったら悲しいです・・・」
「しかもレベル5じゃないと特待生として学費免除してもらえないんだもんね」
立花梨加の家はそこまで裕福ではなく、しかも下の子もいる為、なるべく親に学費のことで迷惑をかけたくないのである。
「確かに違うクラスだったら残念だが、能力レベルの心配なら別にしなくてもいいと思う」
「え・・・?なんでですか?」
「立花さんの能力である摩擦操作、普通なら演算処理が追いつかなくて連続使用時間に制限があったり、操れる摩擦係数に制限があったりするんだが、立花さんにはそれが一切ない。まあ摩擦係数は必要な演算処理が他の能力に比べても格段に多い分どうしても演算処理じゃなくても体力の問題で実質的な制限はあるけどね。でもそれ以外摩擦操作における完成形に近いってことだ。だからレベル5であることはほぼ確定だと思うよ」
「わああ!うれしいです!親にきちんと報告が出来ます!」
「そうみたいだね!なんか私もうれしい!」
レベル5になれそうなことを知って二人が喜び合っていると、とうとう帰宅時間になり、三人とも明日のそれぞれのテストの結果返却とクラス発表を楽しみにしながらそれぞれの家に帰ったのだった。
今回は新しいお友達が出てきました。摩擦係数を操る・・・いいですよね、是非欲しいです。次回の話からはちゃんとクラス発表をして学校らしいお話を書いていきます。その次の話に行く前に、一応登場人物を三人だけですが、まとめておきます。お話の中で出てこなかった内容も含んでいるので是非、目を通して欲しいです。




