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第二幕 幕引き 【願答】
「はぁ……まさか記憶を持ってる人が居るなんて……予想外だったなぁ」
私は自分の部屋で枕を抱きながら今日の出来事を振り返る。
「でも、一番の予想外は幸にぃとの再会だけどね」
枕元の写真を見る。懐かしい写真だ。その写真を見て私は幸にぃとの誓いを思い出す。
『俺は、乃愛の手を離さないよ』
懐かしい言葉。私を好きでいてくれた人の言葉。こんな間違いだらけの私を受け入れてくれた初めての人
そう言えばあの時、私どう答えたっけ?
『俺は、乃愛の手を離さないよ。だって離したら一人でまたどっかいっちまうだろ?』
『うん、私を離さないで……そのかわり私は幸にぃの為に願うから……』
『プフッなんだよそれ』
『あ、笑った!ヒドーイ!』
「ふふ……そうだったね幸にぃ。それじゃあ今度は私が返す番だよね」
私は幸にぃの為に願うんだ。
間違った世界の救いを。願ってばっかりの世界の終末を。
その、願いは私が考えた答えなんだ。
「だから幸にぃ……待っててね」
これは私の願いの答え。
たった一回の望み。
そしてこの願いに幸がありますように
第二幕 幕引き【願答】終