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無気力探偵の探偵事務所  作者: 尹零
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無気力探偵と助手との出会い







母親に手渡されたチラシを手に白崎探偵事務所と書かれた建物の前に佇む一人の女性は、もう一度チラシでここか、と確認をして入り口に繋がる階段を昇る

階段の先にある玄関のドアノブに手をかけると簡単に開いて、中を恐る恐る覗き込むと室内は薄暗く、誰かがいる気配も感じなかったが今日行くことは電話してるってお母さんも言ってたし、鍵掛かってなく不用心だなと思いながら、本当に誰もいないのかとすみません、と遠慮がちに中の様子を見ながら中に入ると

奥の方からどちらさんですか?と一人の男が出てきた。

その男の無愛想に眼鏡を掛けて来客を不審そうに見つめる姿に少し身体をビクッとさせて静かに口を開く


「あの、さっき電話した者ですが……」

と告げるとあーと小さく頷くと表情が僅かに和らいで、住み込みの手伝いしてくれる人の面接に来た人。と呟かれた。

そしてどうぞと促されるように奥に消えていったのを急いで追いかけた先には事務所らしいレイアウトがされており、さっきの男がもう一人の男の傍らに立っていた。


「あなたがさっき電話をくれた人?」

椅子に座っている男が話しかけてきて、はい、と電話したのは母親ですがと素直に頷くと椅子に腰掛けたままキャスターが動く音と共に近寄ってくると顔をじっと見つめて、何も問い掛けることなく沈黙が流れる。

しばらくの沈黙の後、顔を見つめられたままいきなり合格と告げられた。


えっと戸惑っていると椅子に腰掛けたままの状態で自分の机であろう所まで行くと引き出しから鍵の束を取り出すとまたそのまま近寄ってきた。


「はいっ」


「これは……?」


「この上に部屋があるからそこを使って下さい。今日からよろしくお願いします」


「今日からですか?」


「えっ?だから今日面接に来たんじゃないんですか?」


「いや、こんな急に決まるんだなと思って……」

差し出された鍵の束に驚きながら素直な気持ちを口にするとあーそうかと呟きながらも荷物置いてきてくださいね。と告げると手に鍵の束を握らせて、自分の机に椅子ごと戻っていった。

急すぎる展開に呆然と立ち尽くしていると最初に出迎えた男が


「名前は?」


「えっ、あっ……九条 紫織(しおり)です」

名前を尋ねられて自己紹介をすると相手も胸ポケットに入れていた名札を取り出して見せると名札には黒木 和陽(かずあき)と書かれていた。

じゃあここの持ち主は……と思っていると


「探偵してるのは、椅子に座ってる方だから」


「それじゃあ、白崎探偵事務所って」


「向こうの名前から取ってる」

まぁこれからよろしく、と表情が変わることなく会話を交わすと初めてだと分からないと思うから部屋の前まで案内する。と近くの階段を登るのを急いで追いかけた。






「ここ使って貰って良いから」

案内された部屋は、マンションの一角のような広さでここ使って良いんですか?とおもわず尋ねていた。

どうせ誰も使わないし、荷物も取りに行って良いし、中にある家具類も使って良いからと答えた事にと分かりました。と頭を下げて手に持っていた手荷物を中に入れた。


「じゃあ、落ち着いたらまた下りてきて、あいつが待ってるから」

黒木の言うあいつすなわちあーあの探偵さんの事かと心の中で思いながら頷いて返事をした紫織は黒木が階段で下に降りていくのを見送る

これが紫織と二人の最初の出会い









それからそんなに持ってこなかった荷物を借りることになった部屋の一室に置いて、下に降りると相変わらず薄暗い廊下を通り抜けてさっきの部屋に行くと黒木と白崎が何か話している姿があった。

どうしたら良いのか分からずにその場で立ち尽くしていると


「あっ、来てたんだ」

白崎が気づいて紫織に気づいて一言言うとその声で黒木も紫織の方に振り返った。


「あの、お邪魔してしまったみたいですみません」


「お気になさらずにもう終わったから」


「デスクはそこ使って良いんで」

白崎の横目に黒木が一つ空けてあるデスクを指差すとそこには紫織の名前の書かれた名札が机の上に置かれていた。

これは……と名札を手に取り、尋ねるとここでは一応名札をして仕事してもらっても良いですか?と白崎に言われて、分かりました。と返すとじゃあ改めてよろしくお願いします。と椅子に座ったまま言われた。

椅子に座ったまま手を振る白崎におもわず苦笑いを浮かべる紫織の姿を黒木は白崎の姿を呆れたように小さく溜め息を漏らしていた。


それぞれ個性の違う三人が繰り広げる物語が今始まる





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