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「…ほっとけ」


またも頬杖をつき外方を向いたが、先程よりかはマシに思えるものだった。

今のアシェスは惚けてはいない。ただスネているだけに過ぎない。

心だけはこちら側に戻ってきたかのようだ。


「何をスネてるんだ」


「だから…別にそんなんじゃねぇって」


「じゃあ何があった?話せないことなのか?」


「さぁな…俺が訊きてぇくらいだよ」


よく観察してみれば、所々に擦り傷らしきものも見受けられる。

何かがあったのは想像出来るのだが、濁したようなアシェスの言葉には不思議と嘘臭い臭いはしていなかった。


「まったく…かなわなんな…」


「まったくだ」


理解し合えていないというのに、ついた溜め息は同じもの。

そのくだらないさまに、アシェスの頬が緩んだ。


「くっ…はははっ!」


「お…おい、いきなり何だ?」


いきなり笑いだすアシェスに、フォーザは不意をつかれたようにびくりと肩を震わせた。


「いや…ありがとな、オヤジ」


「あ…ああ」


未だに状況が飲み込めないままのフォーザだったが、アシェスはもう大丈夫な様子だった。

顔付きもようやく『らしさ』と言える、目付きの悪さが戻っている。


「さて、今日はツケ良いんだろ?」


「げ…いきなりそう来たか」


「オヤジが良いって言ったんだからな、いつもの頼むぜ?」


「まったく、やっと調子が戻ったと思いきやこれだよ」


やれやれとお手上げのポーズをしながらも、料理をするためフォーザは厨房に消えていった。


「なんか気ぃ遣わせちまったな」


ぽつりと、誰も居なくなったカウンターに向けて呟いた。

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