表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/6

遅い朝の解

 先ほど考えている途中で私は自分にヒントを与えていた。


 フォークを使って食べる物を思案していて思いついたもの。

 それはスパゲティ。フォークは麺類を食べる時によく使う。

 更に思考を加えてみよう。七味唐辛子をかける麺類と言えば?


 ウドンだ。


 そう、このフォークと七味唐辛子はウドンを食べた痕跡だ。


 さらに言うのならば、きっとインスタントカップのウドンだと思う。

 赤い狐と緑のタヌキ、ウドン権兵衛ソバ権兵衛などの。

 フォークと言う食器だけがテーブルの上にあるのに、皿がなかった理由もそれだ。

 カップ麺ならプラスチック容器を捨てるだけでいい。その人物はそのまま出かけていったのだろう。流し場に使われた痕跡がないのも納得が行く。


 さて、その誰かとは誰だろう。


 流しは綺麗に何もない。と言う事はつまり、誰かしらが朝食を食べたあとで皿を洗ったということだ。


 仮に父がカップうどんを食べ、片付けずに出かけていったのだとしよう。そのあとでテーブルに座る弟、または母がなぜフォークを一緒に洗わなかったのだろうか。普通ならば一緒にフォークも洗い、テーブルにフォークは残りそうにない。弟が朝食にカップウドンを食べた場合も同じ事が言える。


 つまり、真相はこうだ。


 父と弟は朝食を食べ、食器を洗った。そのあと起きてきた母は、カップウドンを食べたのち、プラスチック容器だけ捨てて出かけた。それだけ。


 分かってみると簡単だなぁ。

 そのとき、玄関の外で飼い犬のチッポの鳴き声がした。


「ただいまぁ」


 母の声だ。チッポはお客さんにまでか、家族の人間にも吠え立てる。


「あら美代、起きてたの」


 そんなに私がこの時間に起きているのが珍しいのか……


「お母さん。朝ご飯にカップウドンたべるのもいいけどさ、テーブルくらい片付けておいてよ」


 母は「あら」と口をおさえ、

「朝からそんなの食べないわよ。それ今から使おうと思って。でもカップウドンが無いから買ってきたところよ」


 なるほど……たしかに朝からカップウドンは少ししつこいかもしれない。

 ああ、寝ぼけてたけど思い出し。私、「なにを食べたのか気になる」と思っていたのに、「フォークの先に付いている食べ物の残りカス」に全く気を払わなかった。

 だって、うんだって、そんなものついていないんだもの。


 あれは、食べたあとの痕跡ではなく、これから食べようとしていた痕跡だったのね。分かるかちくしょう。


「あなたの分もあるわよ。食べる?」

 言いながら母はお湯を沸かしに台所へ入る。


 ……あの、私はこれが朝ご飯になるし、それにフォークよりも箸派だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ