表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

遅い朝の謎

(七味唐辛子とフォーク・・・?)


 とある三連休の一日目。

 私は遅い朝を迎えていた。

 高校の入学祝いに買ってもらったスマートフォンで確かめるともう十二時半だ。


 リビングテーブルの奇妙な組み合わせに、私は寝癖を直しに行くのも忘れて立ち止まる。家族はみんな出かけてしまっているし、昼に誰かが家に来る用事もない。というわけで、髪など気にせず、目の前にある組み合わせに心奪われるままいられる。


 五つの椅子のうち、四つの椅子は綺麗にテーブルにしまわれている。しかし七味唐辛子とフォークが置かれた場所の椅子だけが、テーブルから飛び出ていた。ここで食事をした誰かが、慌てて立ち去ってしまったあと、という感じだ。

 フォークそのものも、テーブルにきちんと置かれていると言うよりも、何かに使い終わったあとそこに放り出したまま、という置き方である。


 台所の流しを見てみたが綺麗で、何も置かれていない。


 椅子をしまわずに立ち去った誰かが、七味唐辛子とフォークを同時に何らかの目的に使ったことは明らかだった。こんな些細なことに、いちいち気をかけてしまうのは私の悪い癖だ。十二分に自覚はあるのだけど……気になる物は気になる。仕方ない。


 とりあえず検証をしてみた。


 まず先にフォークを考えてみる。

 フォークを使う料理。ケーキ、ステーキ、スパゲティ・・・・・・とりあえず我家には、ペペロンチーノにさらに七味を加えてしまうくらいの辛党はいない。まったく思い当たらないなぁ。


 私は見方を変えて、家族の中で誰がこんな事をやりそうかを考えた。当然、私自身と愛犬チッポは除外して考える。


 まずは一番早起きだったと思われる父。今日は知り合いとゴルフに出かけているはずだ。


 父の次、もしくは同時に起床したと思われるのが弟。

 休日はいつも朝早く中学のバスケット部に出かけていく。学校までは自転車で十分ほどなので、昼ご飯を食べに一旦帰ってきた可能性も高い。


 母。看護婦をしているが、今日は休みのはずだ。私と同じく休日は遅起き体質な母だが、そういえば今は家にいない。どこに行ったのだろうか。

 ずぼらな弟は食べ終えた食器を洗ったりなどはそうしないはずだ。台所が綺麗という事は誰も食事をしていないか、弟、母の順に昼食が取られ、その後、母が流しの食器類を片付けた、ということだろうか……?

 

 

 そこまで考えて……私の脳裏に閃くものがあった。

 だれが、そして何を食べたのか。

 なんてことはない。簡単な事だったのだ。

 七味唐辛子とフォーク。そして三人の行動から、その人物が何を食べていったのかは容易に想像がついた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ