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流星の行方

作者: 蒲公英

ああ、よく晴れて良かったね。いくつ見つけた?

よっつ?パパも、同じだ。

本で読むように、願い事をする時間はないだろう?

本当に一瞬だからね。

君と流星群を見に行くなんて、思わなかったなあ。

もうパパとは、出てくれないのかと思ってた。


パパが初めて流れ星を見たのは、初恋の人と一緒だったよ。

君よりひとつだけ、大きかった。

照れるね、こんな話は。

いいや。つきあってたどころか、まともに話なんてできなかったさ。

綺麗な子だなあと思ってるだけでね。

とっても成績が良くて、ちゃんと目標のある子だったなあ。

塾の帰りに待ち伏せたりしてね。


君も、好きな男の子はいるだろう?

どんな男の子かなんて、パパに教える気はないだろうね。

いいんだ。そうやって少しずつ、自分の中に大切なことが増えていくんだから。

大切だと思えることを、たくさん増やしていけばいいんだよ。

それが君の、財産になる。


え?初恋の人の話かい?

転校しちゃったよ、好きだって言う前に。

君が今持ってる天体双眼鏡。

それね、パパの初恋の記念品なんだよ。

彼女の亡くなったお父さんがね、星を見るのが趣味の人だったんだって。

だから、パパとその人が話せるようになったのは、それのおかげ。


何か話したいことがあったんじゃないの?

話せないんなら、別に無理に話さなくてもいいけど。

パパにも中学生時代はあったから、訳もなくイライラするのは知ってるさ。

だけど、ママにはあんまり、辛い顔させるなよ。

ママはパパより真面目だし、忙しい人だからね。

それに、パパにとって、とっても大切な人だからね。


ん?初恋の人のその後?

転校した後、どうしたのかなあ。

連絡先なんて知らなかったし、パパが好きだったってことも知らなかったと思う。

いいんだよ、初恋はかなわないものさ。

流れ星に願っても、そうそう上手くいくものじゃない。


会ってみたいと思わないのかって?

会えるよ、いつでも。

夜中に出掛けた父と娘が、冷えて帰ってくるんじゃないかって、ココアの鍋に牛乳注いでるんじゃないかなあ。

あはは、怒るなよ。


君の初恋が、いつか幸せな記憶になるように、パパは流れ星に祈ったから。

いつか君が大人になったときに、パパと一緒に居た流星群の日を、思い出してくれればいい。

きっともう、君とふたりきりで夜のドライブに出ることなんて、ないんだろうな。


おや、寝ちゃったのかい?

もうじき、家に到着するよ。



fin.


「流星」の本多君でした。

これ単体で、意味は通じるでしょうか?

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― 新着の感想 ―
[一言] 「流星」の本多くんですね。 幸せそうで良かった^^ ほんわかさせていただきました。
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