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そして今の俺

聖、サンタクロースになりました!




「新米サンタクロースな」




一言多いイケメンな相棒と。


















まぁ親が離婚して最高に性格がひねくれていたあの時、俺の元に本物のサンタクロースがやって来た。

よく来てくれたもんだあんなクソ生意気なガキだった俺のところに。



あれから12年経った今、俺は大学へと進学し、友達とふざけ合ったりバイトに明け暮れてたり、普通の生活を送っている。


ただ一つ普通じゃないと言えば



サンタクロースであること



バイトじゃなくて本当に真面目な感じで。

もちろんそれが本職な訳ない。

裏の職業ってやつだ、スパイみたいでカッコ良くね?




始まりは今から二年前。

大学への進学が決まり、浮かれていた時に、突然黒スーツを着た怪しい訪問者が現れた。

男は人の良い笑みを浮かべているがあやしさ全開なオーラを感じ、こいつは悪徳業者に違いないと察した俺はすぐに追い返そうとした。


だが男は必死な様子で俺を引き留めた。

あまりの必死さに、まぁ話だけでも聞いてやるかと思ったのだ。

すると男は名刺を差し出し、



「私はこういう者です」


















『サンタクロース育成委員会』




もちろん俺はすぐさま家から追い出した。

















しかし翌日に中学からの付き合いである秀晃ひであきにこの事を話すと。



「俺の所にも来た」



俺と秀晃(通称ヒデ)には共通点がある。



両親が離婚していること。


そして






たった一度だけ、本物のサンタクロースが来たこと。














それから数日後、黒スーツは再び俺の元へやってきた。




「こんにちは」




相変わらず人の良い笑顔。

俺は警戒心丸出しで黒スーツを睨みながらも一応話を聞くことにした。



「この間はすみませんでした。信じてもらえると思って何の証拠も持たず…」

「いや普通信じねぇから。てか証拠あんのかよ」

「ええ。貴方がお持ちのはずですよ」

「はぁ?」





「10年前の、白いマフラーと白い手袋」



























それから話を聞けば、普通ならとても信じられないような内容だった。


サンタクロースは世界中に存在し、各々の国でひっそりと組織を作って活動しているそうだ。

しかし全ての子供の元へ訪れるのではなく、家庭に何らかの事情があり、親からプレゼントを貰えない子供の元に、たった一度だけプレゼントを渡しに行くそうなのだ。


そして黒スーツは新しいサンタクロースになる者をスカウトし、育成する立場にあるというのだ。

もちろん最初俺もヒデもすぐに信じるわけがなかった。

だが黒スーツは10年前に渡されたプレゼント俺のプレゼントを知っていた。

そしてヒデの青いニット帽のことも。



「あんたの話が本当だとして、なんで俺達をスカウトしに来たんだ?」

「まぁ普通なら信じてもらえないはなしですから。下手をすると通報までされるんですよ!全く私達が働きにくい世の中になったもんですねぇ」

「分かってんじゃねぇか」

「でも貴方達の元へ来たでしょう?サンタクロース」

「…」

「だからですよ。新しいサンタクロースのスカウト対象は、彼等がプレゼントを渡した子供。最初は追い出されても信じてもらえなくても、過去の経験から気になって、話ぐらいは聞く気になってくれるでしょう?」



黒スーツはまた笑った。

やっぱり悪徳業者に似たオーラを感じずにはいられなかった。










それでも半信半疑だった俺達を黒スーツはある所へ案内した。

念の為に俺は鉄バット、高校時代剣道部の主将だったヒデは竹刀を持ってついて行った。

秘密結社(?)の本拠地だ、人がめったに来ない森かなんかに連れて行かれるかと思いきや


普通に都会に建っているビル。

しかもでかい。


呆然としている俺に対し、ヒデはいたって冷静。

ちくしょう、頭から足の指先までイケメンな奴だ。




中に入れば普通に受付があって美人なお姉さんが居る。

お姉さんは俺達二人を、じっと見つめた後、にっこりと綺麗な笑顔を浮かべた。



「ようこそ。貴方達を心から歓迎します」






どうやら、サンタクロースにされることは確定済みらしい













このビルは表上おもちゃの制作会社ということになっているらしい。

黒スーツはここで子供達に渡すプレゼントを作っていると言った。


会社員は思いのほか多く、賑やかで、とても秘密結社とは思えない。




「ここで働いているのは皆、君達と同じなんですよ」





黒スーツは笑っていた。










この賑やかさと黒スーツの笑みが、一瞬、切なく思えた























「さぁ、これからが本番です」


黒スーツはそう言うと、どう見ても何も無い壁へ歩いていき、壁に手をついた。

すると忍者屋敷のように長方形に切り抜かれた壁が反転した。



サンタはサンタでもジャパニーズサンタ。










壁の向こう側にはエレベーターがあった。

そこから地下へと降り、俺達が目にしたのは、


表上のビルにあったような精密な機械は無く、そこにあるのは布や木材、紙、鉄、塗料、とにかく色々な材料が置かれていた。


そしてそれらを使い、忙しそうに働く人々。


彼等は手作りで、人の手で、子供たちへの贈り物を作っていた。


人形、衣服、帽子、そして、マフラーや手袋



「これが…」

「私達の本来の仕事です。表上で売っているおもちゃは全て機械で作っていますが、これだけは全て人の手で作ってます」



皆、一生懸命作っていた。

体を塗料だらけにした者、明らかに寝不足で目元に隈ができている者。

布の切れ端や余った木材、プレゼントの設計が細かく書かれた設計図が部屋中に散らばっていて汚かった。








情けなくも、俺は泣くことを我慢できなかった。




































部屋の隅にトナカイと明らかに農家のおっちゃんらしき人が居た事にはあえてつっこまない




無茶苦茶な設定ですがゆるして!

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