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最後の電話  作者: れんき
第一章「最初の電話」
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第5話 「生きる意味」

ベランダから落ちようとした時、杏奈に助けられたと思っていたが、よくみると田中美雨だった。

俺は何が起きたか5秒ほど理解できずにいた

ただ、田中美雨がいるのは現実であった

「なんで美雨がここに.....」

「私がここにいる理由なんかどうでもいいわ。あんたと話がしたい。リビングに戻ろ」

そう言って手を掴まれリビングへと引っ張られて行った。


〜リビング〜

「私がなんでここにいるのかまず説明するわ。

私はちょうど買い物をしていて浅山の家の近くのスーパーに来ていたわ。その時一通の電話が入ったの。佐藤杏奈からね。

ただ一言、浅山を助けてと言って、杏奈は電話を切ったわ。それで私は急いで浅山の家に行ったってわけなの。」

「そう...なのか...」

正直半分くらい頭に内容が入ってない。秋のこと、今後のこと、杏奈のこと、いろんなことで頭がパンクしそうになっている。

1分くらいの沈黙の間があった。

水道の蛇口が閉まり切ってなく、水の滴る音がリビングへと響いている。

時計はもう午後6時30分を指していた。

その時、美雨が再度口を開いた

「秋がなくなったのは知ってるよ。私はあんまり話したことはないけど、クラスメイトが亡くなったって事は誰でも悲しかった。私は浅山がどれだけ苦しんだかは知らない。でも、秋はあなたがこれでもし死んでたとして、喜んでいたと思う?」

俺は答えられなかった。

自分でもわかっていた。いつまでもこのままではダメだなと。

「いつまでもそんな落ち込んでないで元気だしな。苦しいならいつでも誰でもいいから相談して。」

「ありがとう」

俺はただその一言だけを放った。

会話数はとても少ないのに、もう7:00を過ぎていた。

「台所ちょっと借りるね」

美雨は長い髪を髪留めで結びながら台所へと移動して行った。

俺はその場で硬直していた。

正直いってそんなすぐにポジティブに考える事はできない。秋が亡くなったのだっていまだに信じられていない。

俺はどうしたらいいのだろうか。

「助けてくれ」

俺は気づいたらそう何度も口ずさんでいた。

ほのかに背中に暖かさを感じた。

美雨がバックハグをしてきていた

「大丈夫。大丈夫。心配なんかいらない。思うように生きればそれでいい」

俺は救われた気がした。


8時過ぎ、ようやく気持ちが落ち着き、美雨が作ってくれたチャーハンを食べ終わった頃だ。

美雨は帰りの支度をしていた。

俺は下のロビーまで送ろうと思い、身支度をして美雨と一緒にロビへと向かった。


〜ロビー〜

「じゃあね」

そう言い放つと美雨は何か言いたげそうな感じの顔をしていた。

「.....その...この前は告白断ってごめん。私はあんたのことが好き。私と付き合って欲しい。返事はまた今度でいいから。じゃあね」

そう田中美雨は言い放ち、そそくさと去って行った。

俺はとても驚きを隠せずにいた。美雨が俺を好き?そんなことあるはずがない。

そう思っていると電話が鳴った。

佐藤杏奈からだ。

「もしもし、浅山だけど」

「気持ちは少しは落ち着いた?無理したらダメだからね。」

「うん。気遣いありがとう。気持ちは落ち着いてる。」

「実は優希に伝えたいことがあって電話したんだけど」

「何?」

「実は私前からずっと優希のこと好きだったの。私と付き合ってくれないかな」

俺は再度驚きを隠せずにいた。

まさかの同タイミングで2人から告白されるとは。

俺は今すぐに返事を返す事は到底できないため保留にしておくことにした。

「ありがとう。少し考えさせてもらってもいいかな」

「うん。わかった。なんかあったらいつでも相談してね。」

「うん。じゃあまたね」

そう言って電話を切った。

俺は部屋に帰ってソファーで悩んでいた。

佐藤に関してはまだいいとして、田中はなんで俺のことが好きなんだ?

俺から告って振られたのに、振られた相手から告白された!?んなことあるのか?

それから、風呂に入ってもどちらにしようか選べず、布団に入っても寝れずにいた。

次回 第6話「今と過去」

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