表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《モンブリ》~進化のたびに広がる、オレとモンスターの世界~  作者: 夕幕
第1章 アルカディア王立学園 1年生編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

92/120

第90話 葬翼

「オルフェウスくんは、ネメシスさんにどういうスキルを取得させたいか考えてみて」


 どういうスキルか。

 空を飛べるモンスターを相手にした時、有効的に使えるスキルがいいんだよな。

 とりあえず、スキルを実際に使うのはネメシスだし、直接確認してみよう。


「ネメシスは、どういうスキルがいいとか要望はある?」


 隣に立つネメシスは、少しだけ目を細めてから、静かに首を傾げた。


「……攻撃が届かない相手に対して、無力なのは確かです」


「うん。遠距離ってことだよね」


「はい。それに……できれば、一撃で落とせるような決定力のあるものが好ましいです」


 あ、そっか。

 攻撃して当たっても、また空を飛ばれたら、ダメージを多少与えただけで終わる。

 それを考えると、デバフや状態異常みたいな感じで、当てたら飛べなくなる。

 もしくは、一撃で決められる圧倒的な攻撃力のスキルだよね。


 ネメシスの場合、攻撃力を求めてる感じかな。


「そこまで決まったなら、申請用紙の記入をしよう」


 いつの間にか戻って来ていた店員さんからシャーロットさんが申請用紙を受け取っていて、それを渡された。

 紙は全部で3枚ある。

 1枚目は申請者の情報を記入するみたい。


 ブランをネメシスに預け、エルミナさんからペンを受け取って記入する。


 申請者氏名:オルフェウス

 所属(学年・クラス/研究部署など):1年C組

 モンスター名(対象):ネメシス

 モンスター種族名(対象):リヴィングソルジャー

 支払者:エルミナ

 支払責任者名:同上


 シャーロットさんに支払者と支払責任者名の違いについて教えてもらった。

 支払者はそのままの意味で支払う人。

 支払責任者は、申請者が何かしらの理由で支払えなくなった場合の徴収先だとわかった。

 今回は、エルミナさんの研究費から落ちるので、両方ともエルミナさんになってる。


 1枚目の申請者情報を書き終えたところで、次は2枚目に進む。

 ここには、スキルの概要や目的、そして使用モンスターに応じた想定効果などを記入する欄が設けられていた。


「このページには、スキルの目的や想定効果、それがなぜ必要かってことを書く。考えず、率直に書けばいい」


 スキルの目的:空中を自在に移動するモンスターに対して有効な攻撃手段が乏しい為、それを補えるスキルを求めている。


 想定される効果:遠距離物理攻撃または強制降下効果。高威力の遠距離攻撃、初見での対応は困難が理想。


 想定効果の欄を書き終えたところで、少しだけ悩む。

 3枚目には、スキルの名前とランクを記入する必要があった。


「ネメシスは累計Lvだと、☆☆☆スキルが限界。それより上のランクのスキルはあと2回は進化しないと厳しい」


「え、なんか基準というか目安とかあるんですか?」


 シャーロットさんがオレの知らない何かを知ってそうな感じがした。

 これがこの世界の人からすると、当たり前のことかもしれないけど、オレは違う。

 だから、こういう時に聞いておかないと。


「あるわよ。スキルの取得条件は、モンスターの累計Lvと成長段階によるの」


 エルミナさんは申請用紙の端を指で軽く叩きながら、言葉を続けた。


「累計Lvが20〜40、一度しか進化していない場合、基本的に取得できるのは☆☆まで。ただ、合技とか、なんでもいいから☆☆☆スキルを取得してたら、例外的に取得できるの」


 エルミナさんの言葉に、オレは素直に頷いた。


「ネメシスは合技も使えるし、☆☆☆スキルもすでに取得してる。だから、問題ないってことですか?」


「そう。今のネメシスさんなら、☆☆☆ランクのスキル申請も通るはずよ」


 エルミナさんが自信を持って頷いた。


「それじゃ、あとはスキルの名前とランクの記入だけね」


 シャーロットさんに言われて、3枚目の申請用紙に目を落とす。


 スキル名称(仮):_____

 スキルランク:☆☆☆


 うーん、スキルの名前か……


 自分で考えるとなるとマジで悩む。

 強そうな響きにした方がいいのか、それともネメシスらしい名前を付けるべきか。


「ネメシス。どんな名前がいいと思う?」


 オレが一人で考えても、何も思い浮かばないので、またネメシスに聞くことにした。

 すると、ネメシスは少し考え込む素振りを見せる。


「相手に警戒心を抱かせることのできる名前がいいですね。これを警戒すればするほど、こちらの思惑にハマるようなイメージです」


 なるほどね。

 言いたいことはわかるよ。

 スキルの効果は初見じゃ対応できない系だし、二回目以降はそれを警戒させて、他のスキルで意表をつく感じかな。


「警戒させて、思惑にハメる……かっこいいけど、難しいね……。私は、『列葬』がいいと思うな」


「……『堕翼』とかどう?」


 スキルの名前に悩んでいたら、エルミナさんとシャーロットさんが意見を出してくれた。

 ただ……


「ちょっと、後から出さないでよ!」


「ボクさまの考えた名前の方がかっこいい!」


 どっちの意見を通すかで揉めている。

 正直、どっちもかっこいいし、ネメシスに合った名前に思えるから決められない。

 当のネメシスもブランを抱き抱えながら、かなり悩んでいるように見える。


「キュイキュイ」


「両方ですか?」


「キュイキュイ、キュイ!」


「なるほど。それはいいアイデアですね。ありがとうございます、ブラン」


「キュイ」


 何かブランがいい感じの意見を出してくれたみたい。

 ネメシスも、自分の中でどうするか決めたと雰囲気でわかる。


「エルミナ様、シャーロット様、貴重なご提案ありがとうございます。スキル名ですが、両方を組み合わせ、葬翼そうよくにしようと思います」


 ネメシスが決めたスキル名は、エルミナさん、シャーロットさんも気に入ったことで、申請書にも『葬翼』と記入し、提出した。

次回、『ラグヴァルド』に続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ