表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《モンブリ》~進化のたびに広がる、オレとモンスターの世界~  作者: 夕幕
第1章 アルカディア王立学園 1年生編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/120

第88話 ブランは大人

 収納ケースの中からブランを引っ張り出すと、ピクピク動き、目を覚ました。

 そして、体の向きを反転させ、オレにベトベトになった前肢を向けてくるけど、腕をめい一杯伸ばすことで、服が汚れないようにした。


「キュイキュイ!」


 それに対して、ご立腹のブラン。


「口周りと前肢がベトベトになってるけど、何でかな?」


「キュイ?キュイ、キュイ。……キューイ?」


 左右の前肢を交互に確認してから、トテっと可愛らしく首を傾げるけど、このまま放置はできないから。

 部屋の隅にあるミニサイズの温泉でベトベトを洗い落とす。

 エルミナさんが言うには、この温泉には自動洗浄の魔道具を常設してるから、常に清潔に保てる。

 だから、ブランみたいに汚れたモンスターを洗い流すのに最適だとか。


「この子が君のモンスター?」


「あ、はい。そうです」


「キュイ~」


 シャーロットさんが興味深そう?に温泉に気持ちよく浸かっているブランを見つめる。

 でも、なんか表情というか雰囲気がどこかさっきまでと違う。

 いや、それは当たり前だけど、なんていうか何かに驚いているような気がする。


「珍しい。こんなにも人に懐くなんて……」


「あ、そうそう、それ!私も思った。でも、可愛いから直ぐに気にならなくなっちゃうの」


「それはエルミナだけ。ボクさまを一緒にしないで」


「キュイ、キュイ」


「あ、まだ動いちゃダメ」


 シャーロットさんとエルミナさんが何か気になる話をしてるけど、今は温泉から上がったブランの体を拭く方が大事。

 少し目を離すとびしょ濡れの状態でトコトコと歩いてどこかに行こうとしちゃうから。


「キュイ?」


「もうちょっと我慢して。まだ拭けてないから」


「キュイ?」


「……もういいよ」


「キュイ!」


 相変わらず、我慢のできない子。

 我慢してって言って直ぐにまだ?って言いたげな顔で「キュイ?」って鳴くし。

 ちなみに、ブランがトテトテと向かった先は、もふもふの綿か何かで作られているベッド。

 その上に乗ると、途端に丸くなり、再びスヤスヤと寝た。

 たくさん食べて、寝る。いつものブランだ。


「へえ、マイペースなのも珍しい」


「そこはオルフェウスくんの育て方が良いのよ」


 さっきから気になる会話を続けている二人。

 ブランが寝たこともあって、ようやく話を聞ける。


「すみません、さっきから気になってたんですけど、ブランって珍しいモンスター何ですか?」


「そうね、ブランさんと同種のモンスターって人間になかなか懐かないの」


「それに数も少ないから滅多に召喚できない。ボクさまも、あの子以外だと1体しか知らない」


 エルミナさんもシャーロットさんの言葉に"うんうん"って頷いている。

 いろんなモンスターを知っているであろう二人がそこまで言うなんて。

 オレが思ってるよりもブランってすごいモンスターなのかな?

 ……あ、いや、珍しいだけかな?


「あの子は放っておいても強くなる。だからもう1体の子を召喚してステータスも見せて」


 放っておいても強くなる?

 え、どういうこと?

 シャーロットさんが言うなら、そうなのかもしれないけど、理由とか――教えてくれない感じですか。


 とりあえず、言われた通り、ネメシスを召喚して、ステータスを見せる。


「ふーん、1年生のこの時期でこれならいいんじゃない?何に悩んでるの?」


「正直、オレもブラン、ネメシスと強いと思ってます。でも、空を飛べるモンスターが相手だとかなり厳しい戦いになる。そこをどうにかできないかなと思って」


 今、思ってることをシャーロットさんに正直に話した。

 ブランは遠距離攻撃ができない。

 ネメシスは『飛閃』があって、『返刃ノ構』を使ったカウンターもある。

 だけど、『返刃ノ構』は攻撃してきたモンスターの背後に必ず現われる。

 それを相手が知ってたら、逆にカウンターをくらう。

 どうしても、攻め手に欠ける。


「なるほどね。それでエルミナがボクさまを呼んだのか。でも、それなら新しくスキルを取得するしかない。スキル無料交換券とか持ってないの?学園内のイベントで貰えるでしょ?」


「それ、優勝したら貰えるやつね。でも、オルフェウスくんのクラスってクラス対抗チーム戦で優勝してるから持ってるんじゃない?」


「え、あ、はい。一応、まだ持ってます。ブランとネメシスどっちに使ったらいいかわからなくて」


「それじゃあ、ボクさまが直々に教えてあげる」


 シャーロットさんは鋭い視線を向けてきた。


「まず、空中戦に対する対策を考えるなら、必要なのは三つ」


 右手で"1"と指を立てる。


「一つ、飛んでいるモンスターを地上に引きずり下ろすスキル」


 次に"2"。


「二つ、飛んでいるモンスターにも届く遠距離か追尾性能を持つ攻撃」


 そして"3"。


「三つ、相手モンスターが降りてくるまでの時間を稼ぐ耐久力か防御手段」


「……なるほど。でも、三つ目ですけど、遠距離攻撃しかできなくて、降りて来ないモンスターの場合、どうするんですか?」


「これはあくまでも選択肢を挙げただけ。君が求めているのが、どんなスキルかは自分で考えて」


「オルフェウスくんの話を聞く限りだと、一つ目か二つ目って感じかな?」


 うん、エルミナさんの言う通りだと思う。

 常に空を飛べるモンスターを相手にした時、有効打が無い。

 だから、地上に引きずり下ろすか、遠距離攻撃を可能とするスキルが欲しい。

 でも、問題はブランとネメシスどっちに取得させるか。

 今、現状だとブランには、遠距離攻撃の術が無いし、ここはブランを選ぶべきかな?


「今、ここで考えても何一つ進展しないし、交換所のスキル一覧を見てから決めるのはどう?」


 エルミナさんの提案を受け、オレは今度こそブランを忘れずに抱き抱え、エルミナさんの案内で交換所に向かった。

 一応、ネメシスは召喚したまま着いて来てもらってる。


 そして、交換所に到着すると、タイミングを見計らったかのようにブランが起きた。

 相変わらず、「キュイキュイ」と甘えてくる。


「あ、起きたんだ。ちょうどいい。ブランだっけ?君は、遠距離攻撃のスキルとか新しく欲しい?」


「キュイ?」


 あ、うん。さっきまで寝てたからシャーロットさんが誰かとか。今の状況が何もわかってない。

 オレがブランに何から放せばいいのか考えていたら、先にネメシスが説明してくれた。


「ブラン、この方は一番強いブリーダーです。主様は、私とブランが空を飛べる相手に有効的な攻撃手段を持っていないので、それを相談していた所です」


「キュイキュイ?」


「有効的な攻撃手段とは、"当たる攻撃"という意味ですよ」


「キュイ!キュイキュイ、キュイ?」


「はい、その認識で大丈夫です」


「キュイ、キュイキュイ」


「……ブランはそれでいいのですか?」


「キュイ」


「わかりました。主様にそうお伝えしますね」


「キュイキュイ」


 ねえ、ブラン。ネメシスに何を言ったの?

 こんなにも困惑してるネメシスを見るの初めてなんだけど。


「えっと、ブランがなんて言ったのか教えてもらえるかな?」


「……ブランは大人だから、今回は譲ると」


「……」


 おかしいな。オレの聞き間違いかな。

 ブランが大人?

 いやいやいや、お子様の間違いでしょ。

 何、その褒めて欲しそうな顔。

 本当に大人なら、そんな顔してオレを見ないから。


「ブランさん、すごい大人!えらいね!」


「キュイキュイ~」


 うん、やっぱりお子様だ。

次回、『スキル作成』に続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ