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《モンブリ》~進化のたびに広がる、オレとモンスターの世界~  作者: 夕幕
第1章 アルカディア王立学園 1年生編

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第86話 エニグマ襲来

「ブランとネメシスの強みか……何だろうな?」


 ステータスを見ると、ブランは素早さが高い。

 あと、偶に妙に感が鋭い時がある。

 ネメシスは……比較的バランスが良いと思う。

 最近『返刃ノ構』も覚えて、少し戦いの幅が広がったかな。


「自分の中で整理できたかな?」


「はい。ブランは素早い動きで相手を翻弄するとこ。ネメシスはその逆でカウンター主体の戦いが強みだと思います」


「うん、そうね。でも、カウンターだけで強いモンスターを私は知らない。まあ、それがありえないくらい強いモンスターはいるけどね」


「カウンターがありえないくらい強いですか?」


「攻撃、防御ともにあれ以上のモンスターを私は知らない」


「どんなモンスターですか?」


「ブランさんとネメシスさんを掛け合わせた感じね」


 ……ん?ブランとネメシスを掛け合わせた感じ?

 え、どういうこと?


 ブランとネメシスって対極に位置する戦い方してるよね?

 どう頑張っても掛け合わせるのは無理じゃない?


「まあ、理解できないよね。だから、これから直接見に行きましょう」


「え?」


 その後、エルミナさんに連れられて、学園の外に出ることになった。

 本来なら事前に許可を貰わないと出ることはできない。

 だから、帰省組は事前に申請してるんだけど……

 オレの場合、こうなる事を見越していたのか、エルミナさんが代理申請していたとか。


 向かった先は、王都アルカディアスにある闘技場。

 エルミナさんが言うには、ここに目的のブリーダーがいるらしい。


 中に入ると一人の女性がいた。

 銀白に近いプラチナブロンドの髪を後ろでゆるく結ったサイドポニーテール。

 右耳だけ漆黒のピアスを付けて、赤と黒を基調とし、金の装飾が施されたテーラード型のロングジャケットを身に纏っていて、夏なのに暑そう。


「遅い。時間厳守」


「ごめんごめん。でも、この話を持ち掛けた時、柄にも無くノリノリだったじゃない?」


「昔のことは忘れた」


「つい昨日の話だけど?」


「昨日は昔」


「そう?なのに、今日こうして待ち合わせ場所には来てるのは不思議ね?」


「あ、ホント不思議。でも、世の中そんなもの」


 さっきからエルミナさんが話している人って誰だろう?

 ていうか、すごく掴み所の無い人だな。


 エルミナさんがこっちを振り返って、紹介してくれた。


「この人は、シャーロット・グレイブ。無敗の女王と呼ばれるブリーダーで、チーム"ボクさまは最強"のエース」


「……!」


 名前を聞いた瞬間、全身に軽い衝撃が走った。


「その子がボクさまに会わせたい子?思ってたよりも普通」


 グサッ!


 今、何かがオレの心に突き刺さった気がした。

 いや、実際に突き刺さったかも。

 精神的ダメージが大きい……


「どこをどう見ても普通の学生。この子が『エニグマ』に狙われるとは思えないけど」


「あ、ちょっ、『エニグマ』の名前は出さないでって言ったじゃん」


「昔のことは忘れた。ボクさまに同じこと二度も言わせないでよ」


「……今、『エニグマ』って言いました?それって、オレの名前というか、オレがこの世界の人間じゃ無いってことと関係あるんですか?」


「知ってるみたいだけど?」


「……シャーロット、ちょっとだけ待っててくれる?オルフェウスくんは、こっち来て」


 血相を変えたエルミナさんが、オレの腕を引っ張って、シャーロットさんからどんどん遠ざかって行く。

 ある程度、離れた所で何で知っているのか聞かれたので、期末試験前にあった出来事をそのまま正直に話した。

 フォルリオ先生が紹介してくれたエルミナさんなら信頼できると思って。


「はぁ、なるほど。そういうことね。理解したわ」


 エルミナさんは軽くため息をついた後、少しだけ目を伏せた。

 そして、シャーロットさんの元へ戻った。

 オレも何が何だか理解できてなかったけど、つられるようにあとを追った。


 オレがシャーロットさんの後ろを歩いて数歩。


 ――空間が、揺れた。


 ズン、と地響きのような重たい音とともに、闘技場の上空で光が弾けた。

 その瞬間、空間が割れたかのように、黒い影が二つ降ってきた。


「まさかこんな所で会うとはね。『エニグマ』……!」


 そう呟いたのはエルミナさんだった。

 黒い外套のような装束に身を包み、仮面で素顔を隠した二人の人物。


「君は後ろに下がってて」


 シャーロットさんがオレの前に立ち、これ以上 前に出ないよう、寧ろ下がるように促す。


「ボクさまがいるタイミングで来るのが、どれだけ身の程知らずか教えてあげる」


 シャーロットさんが指を鳴らすと、一陣の風が巻き起こった。

 そして、1体のモンスターが姿を現す。

 紺色を基調とした侍のような服装、左右の腰に一本ずつ刀を帯刀している。


「この子は虎徹。ボクさまの相棒。あ、それからエルミナは手出ししないで。ボクさま一人で十分だから」


「はいはい」


「え、シャーロットさん一人で戦うんですか!?相手は二人なのに……」


「シャーロットは最強だから大丈夫。あ、そうそう。オルフェウスくん、虎徹の戦いをよく見て。ブランさん、ネメシスさんの強みを掛け合わせた戦い方をする唯一無二のモンスターだから」


 いや、最強だから大丈夫って……

 ていうか、シャーロットさんの虎徹がエルミナさんの話に出て来たモンスターなのか。

 刀を二本携えているってことは二刀流かな。

 ネメシスも二刀流だし、相手の攻撃を受け流して反撃するカウンター主体の戦い方をするのか?

 いや、それだとネメシスと似てるよな。

 だとしたら、素早い動きで相手を翻弄する戦い方もできるのかな?

 ……でも、感覚派のブランと理論派のネメシスと根本的な戦い方が違うし、それだけだと掛け合わせてないよな。



 ……あれ?そういえば、ブラン今どこだ?

 ……お菓子と書かれた収納ケースの中に忘れてきたかも。


「我らを前に一人で十分とは。さすがシャーロット殿ですな」


「こちらは、あなたとエルミナ様のお二人を相手にする前提で来ているというのに。舐められたものですね」


「……何言ってるの?ボクさまに人を舐めるなんて歪んだ性癖を押しつけないで。気色悪い」


「「……」」


 挑発してきた相手を挑発し返すなんて、すごい余裕だ。

 オレには、絶対できない。

 とか、思ったけど、隣に立っているエルミナさんが思いっ切り手で顔を押さえて、ため息をついていた。

 ……もしかして、あれ素で言ってる?

次回、『無敗の女王』に続く

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