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《モンブリ》~進化のたびに広がる、オレとモンスターの世界~  作者: 夕幕
第1章 アルカディア王立学園 1年生編

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第77話 カレンVSラミア

 カナリア先輩のおかげで選手は決まった。

 あとは、各自 自分の対戦相手の対策を考えるだけ。

 ブランはくつろぎモードに入ってるから、オレはネメシスを召喚して一緒に対策を考える。

 もちろん、カレンさん、ミューラさんが2連勝をして、出番が回ってこないに越したことないから応援もする。

 ……その場合、ブランがふて腐れそうだけど、その時はその時で頑張るだけ。


「準決勝は楽させてもろうたから、その分の仕事はしっかりしてくるで!」


「うん、カレンなら勝てる。ミューラは信じてるから」


 拳を突き合わせるカレンさんとミューラさん。

 いつの間にか、かなり仲良くなってるみたい。

 でも、ミューラさんの気持ちはわかる。

 正直、カレンさんが負けるとこが想像できない。



 ◇◆◇◆



「それではクラス対抗チーム戦の決勝戦を始めます!C組、G組、第一試合に出場する生徒はフィールドへ!」


 決勝戦の審判とこれまでのC組の試合同様にカリン先生が行う。

 そして、C組からはカレンがフィールドへと向かった。


 G組の出場者、ラミアは、白いふわりとした髪が肩口でやや跳ねており、無邪気な微笑を浮かべ、どこか異質な雰囲気を纏っていた。


「あなたが私の対戦相手?よろしくね」


「こっちこそ、よろしく」


 何気ない挨拶に聞こえるが、カレンとラミアの間では火花がバチバチに散っていた。


 この瞬間、闘技場の空気が重くなった。

 控えスペースで待機しているC、G組の代表生徒、応援席で自分のクラスの応援、もしくは観戦に来ている生徒、教職員にもそれを感じ取っていた。


「二人とも準備はいいですか?」


「はい、問題ありません」


「うちも大丈夫や!」


 ラミア、カレンと交互に見て、準備ができているか確認するカリン先生。

 決勝戦ともなると、審判をする側も緊張するのか、どこか堅い。


「それでは、クラス対抗チーム戦 決勝戦第一試合、始め!」


「いきますよ、フェルノート」


「頼むで、ピリカ!」


 澄んだ知的な瞳、銀灰色のたてがみと尾を持つ八本脚の馬。

 翼を持たないが、蹄が大気を踏みしめ、宙に浮いているように見える。

 その上、他のモンスターとは違い、どこか幻想的なオーラを持っている。


 対して、フェルノートの眼前に舞い降りたのはピリカだった。

 淡い水色の長髪をリボンで束ね、羽根のように軽やかな衣装が風を受け、ふわりと広がる。


「フェルノート、『ストームギャロップ』」


 空中を高速で駆け抜け、ピリカへ向け突進する。

 フェルノートの蹄が空を蹴るたび、風が唸り、銀灰色の残光が線を描く。

 その突進は、まるで嵐そのもの。


「ピリカ、『スパイラルゲイル』や!」


 カレンの声と同時、ピリカの羽衣のような羽根が大きく広がり、空気を巻き込んで渦を作り出す。

 その小さな身体を中心に、螺旋状の風刃がうねるように放たれた。


「正面から来るのですか!」


 ラミアの声が響く。


 直後、二つの暴風がぶつかり合う。


 ゴォォォッ!! バガァァァン!!


 轟音が空へと突き抜け、フェルノートとピリカは衝突の反動で大きく後退する。


 フェルノートは銀灰色の鬣をなびかせ、荒い鼻息を吐く。

 ピリカも羽根を震わせながら体勢を立て直す。


「フェルノート、『ウィンドフェイント』!」


 ラミアの声と同時にフェルノートの身体が風に溶けるように軌跡を残し、ピリカの周囲をぐるりと駆け回る。

 風の幻影が本体と幾度となく交錯することで、本体がどこにいるのかわからない。


「ピリカ、『フェザーバリア』で防御や!」


 ピリカの小さな身体を取り囲むように、無数の羽根が舞い上がり、風と羽根の壁が形作られる。

 その瞬間、フェルノートの残像の一つが鋭く突進してきた。


 ガンッ――!!


 蹄の一撃がバリアの表面を打ち、羽根の盾が大きく弾け散る。

 しかし、バリアは完全には破られていない。


「今や!『ゲイルシュート』で狙い撃ちや!」


 ピリカから放たれた風弾が、フェルノートの幻影を引き裂くように飛んでいく。

 だが、その一撃は残像を貫いただけだった。


「……何でや?今、確かにフェルノート本体に当たった筈やで」


 カレンは、『フェザーバリア』への攻撃からどの個体がフェルノート本体かを即座に見極め、反撃したつもりでいた。

 それ故に、狙い撃った『ゲイルシュート』が幻影を貫いたという現実を理解できていなかった。


「フェルノート、『ジェイルブリーズ』!」


 次の瞬間、ピリカの足元に風の渦を起こすことで、動きを封じる。


「くっ!ピリカ、どうにか頑張って!」


 必死に羽をばたつかせ、風の渦から抜け出そうとするも、一向に抜け出せない。


「それなら、こうや!『ヴォイス・テンペスト・レゾナンス』!」


 羽ばたくことを止め、目を閉じるピリカ。

 本来なら重力に従って落ちるとこだが、フェルノートの『ジェイルブリーズ』により、足元に風の渦が巻き起こっているので、落ちない。

 ピリカが小さく息を吸い込むことで、周囲の空気が収束した。

 そして、口を大きく開け、空間を裂く超音波の咆哮が放たれる。


「キィィィィィン!」


 不可視の範囲攻撃。


「『テンペストラッシュ』!」


『ヴォイス・テンペスト・レゾナンス』をものともせず、フェルノートは、フィールド全体を円状に駆け巡り始めた。

 初速こそ大した速さでは無かったが、徐々に速くなり、残像が見えるまでに至る。


 そして、瞬く間に無数の連撃がピリカを襲う。


「ピリカ!?……『エアロスライス』や!」


 一撃目、二撃目とピリカは無抵抗で受け続ける。

 そのまま、三撃目、四撃目と続いたが、なんと五撃目にして『エアロスライス』をゼロ距離で命中させた。


「っ!?動きを見切られた!」


「よっしゃ!ええで、その調子や、ピリカ!」


 信じられないといった表情のラミアと、テンション爆上がりのカレン。

 このまま、ピリカの反撃開始かと思われたが――。

 ピリカは、足元に巻き起こっていた風の渦が消えたことにより、静かに地面へ向かって落ちた。

 そして、地面にたどり着く前にHPは0となり、クリスタルへ姿を変えた。


 この瞬間、第一試合の勝者と敗者が決し、審判のカリン先生の声が闘技場全体に高らかと響き渡る。


「勝負あり!第一試合、勝者 G組 ラミアさん!」


 応援席の一部からは大歓声が上がる。

 恐らく、G組とその応援をしている他クラスの生徒。


 当然、C組の生徒が固まっている応援席は静まり返っている。

 そんな中、カレンはフィールド上に転がっているクリスタルを回収し、ボソッと呟いた。


「ピリカ……よう頑張ったな」


 カレンの頬に一筋の涙が流れた。

次回、『ミューラVSカティア』に続く

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