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《モンブリ》~進化のたびに広がる、オレとモンスターの世界~  作者: 夕幕
第1章 アルカディア王立学園 1年生編

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第70話 ブランの寝突き

「キュイキュイ」


 ああ、抱っこして欲しいのね。

 はいはい。


「キュイ」


 今度はなでなでをご所望ね。

 よしよし。


「キュイ〜」


 ご満悦のブランを連れて、控えスペースへと戻る。

 その前にネメシスはルームに戻しておこう。


「ありがとう、ネメシス。お疲れ様。ルームに戻って」


「はい」


 ネメシスは一瞬だけオレとブランを見たが、いつも通り、優しい眼差しだった。


 ブランに踏み台にされた事で何か言ってくるかと思ったけど、いつも通りかな?

 まあ、ネメシスはブランと違って大人だからね。


「さすがオルフェウス。相手に自分の戦いをさせず、完封した」


「特にブランがネメシスの頭を足場に大ジャンプしたのはおもろかったで」


「あははは……」


 いや、面白いとか以前に、あの時ブランが何しようとしてるのかさっぱりわからなくて、焦ったよ。


「キュイキュイ~!」


 カレンさんに褒められたと思って、ブランが更に上機嫌に。

 面白かっただけで、褒められてるわけじゃないんだけどな。

 ていうか、ダブルバトルであんなことしないで欲しいよ。

 ネメシスが上手く対応してくれたからなんとかなったけど。


「それじゃ、次はうちの出番やな。行ってくるわ」


「カレン、応援してる」


「頑張ってね」


「キュイキュイ~」


 ここ最近、気づいたというか、ネメシスが教えてくれたけど、今ブランの中で前肢を振って見送るのがマイブームだとか。


 カレンさんの相手は消去法でF組 準優勝のトミーくんになる。

 正直、ジルさんのリベラスに負けただと、実力は全然わからない。

 それもこれも、ジルさんとリベラスが強すぎるから。

 ただ、カナリア先輩の情報によるとトミーくんのモンスターは、ヘビーボアのグラビオル。

 どこをどう考えても空を飛べるカレンさんのピリカの方が有利。


 ……正直、オレ カレンさんと戦っても勝てる気しないんだよな。

 ニューみたいにスキルで飛んでるわけじゃないから、地に落とすなんて普通に無理だろうし。


「俺がトミーだ!君が俺の対戦相手か?」


「そや!うちはカレン。よろしくな」


 フィールドの向かい側には、金髪で前髪が少しだけ跳ねている、どこか熱血漢を思わせる男の人がいる。

 たぶん、声がやたらと大きくて、全身汗だくだからだと思う。


 その後、カリン先生の合図で試合が始まった。

 1試合目、2試合目同様にかなり苦戦すると思ったけど、そんなこと無かった。


「くっ……!ジルのリベラスと同じで空を飛べるのか!攻撃が届かん!」


 ピリカが空中から一方的に攻撃をしているだけ。

 トミーくんが清々しいまでに大きな声で攻撃が届かない宣言をしたから、さすがに何かの罠の可能性を考えたけど、雰囲気的にガチっぽい。

 グラビオルは、パワー型のモンスターで、一撃はかなり重そう。

 まあ、脳筋の一つ覚えのように、地上を駆け回っているだけだけど。


「キュィィ……~」


 試合が始まったばかりの時は声を高らかにして、「キュイキュイ!」と応援していたブランも今では、あくびをし、眠たそうな目をしている。


「グラビオルだっけ?思ってたよりも強い。飛行禁止の条件で戦ったら、たぶんニュー、ブラン、ネメシスと誰も勝てない」


「え、そんなに?」


「ピリカの攻撃をあれだけ受けて、ダメージが全く入ってない。☆☆☆スキルを使わないとダメージの入りは良くなさそう」


 確かに、言われてみると、ピリカの攻撃が全然 効いてない。

 防御力が高く、恐らく攻撃力も高い……

 あんなパワー型のモンスターって雰囲気で攻撃力が低いなんてことは無い……よね?


「キュイ……」


 そして、我関せずとブランは寝てしまった。

 さっき頑張ったからお疲れだったのかな。


「まだまだ!グラビオル、諦めたら負けだぞ!!」


「グルル……ブォアアアアアッ!!」


 トミーくんとグラビオルの奮起も虚しく、空中からピリカが一方的に攻撃を続け、1時間ほど掛け、グラビオルのHPを削り切った。


 最後まで☆☆☆スキルを温存して、時間を掛けて削り倒すとは……

 こういう戦い方じゃなくていいから、ブランも"時には我慢"を覚えて欲しいな。


 ……まあ、スヤスヤと寝てて、開始数分しか見れない子だから望み薄かな。


「勝ったで!」


「ありがとう、カレン。お陰で次に進める」


「どういたしまし……ってブラン、寝とるやん!折角、時間掛けて他クラスに情報を与えんように勝ったのに……」


「キュイキュィ……」


 カレンさんの"ブラン"に反応したのか、寝ながら頷いているように見えた。

 相変わらず、器用な子と思いつつも、カレンさんがちょっと、いや、かなり可哀想に思えた。



 そんなこんなしていたら、F組の三人がこっちに向かって来た。


「C組、強いね。僕 驚いたよ。正直、僕とボルドなら2連勝できると思ってた」


「ほんとほんと。オルフェウスくんの作戦は早々に見抜けたし、ネメシスだっけ?あの厄介な子を倒せば、勝てると思ったのに。この寝てる子と違って、立ち回りが上手かったからね」


「キュイ」


 グサッ!


「痛った!!」


「ちょ、ブラン!?ごめん、ボルドくん。大丈夫?」


「ああ、大丈夫、大丈夫。思ってたより痛くなかった」


 ……寝てる、よな?

 うん、たぶん寝てる。寝息は聞こえるし、目も閉じてる。

 ……でも、なんかちょっとドヤ顔っぽく見えるのは気のせい?


 ブランって偶に寝相が悪いときがあるし、それが偶然にも角でボルドくん突く結果になったとかかな。

 ……でも、あれはさすがに怪我するとこだったし、起きたらちゃんと注意しなきゃ。


「クスッ……。ブランって面白いね。仲間の頭を踏み台にしてたしね」


「ああ、あれな!俺、ジルと一緒に控えスペースで見てたけど、予想外すぎて、目の前の出来事が理解できんかったわ!」


「いや、笑い事じゃないんだけど。勝負に出たらあんな返しをされた人の身にもなってよ」


 いや、急にそれをされたオレの立場にもなって。

 もうさ、ブラン、何してるの!?って感じだよ。

 ……あ、それはいつもの事か。


 ……ん?いつも?

 いつもならブランってシエルの腕の中で寝てないかな?


 シュッ!サッ!


 そうそう、こんな感じの風切り音が聞こえて、気づいたらブランを抱きかかえてる感覚が……ない。


 目の前にいるF組の三人もブランが風切り音の直後、突如として消えたから驚いてる。

 でも、何でかミューラさんとカレンさんはいつも通りというか、何事も無かったかのように平静でいる。


「……あれ?僕の目がおかしいのかな?ブランが消え……てるよね?」


「……うん、そうだね」


「……だな」


「あ、気にしないで。C組にとってブランが消えるのは日常だから」


 え、ちょ、ミューラさん!?

 F組の三人に変なこと教えないでよ。

 あながち間違ってないから否定できないけど。


 ……ブランは案の定、応援席にいるシエルの腕の中でもふもふされていた。

 もうシエルには距離という概念が通じないと理解しつつある自分が怖い。



 なんだかんだブランの事であったけど、この後ジルさんたちF組の三人とミューラさん、カレンさん、オレで夕食を食べに行くことになった。

 そこで、ジルさんのリベラスですらトミーくんのグラビオルには苦戦したという話を聞いた。

 もちろん、ニュー戦みたいなギリギリの試合じゃなく、ダメージが全然入らなかったから。

 だから、最終戦でカレンさんがピリカを召喚した瞬間、負けを悟っていたとか。


「おい、そこは仲間の勝利を信じて応援するとこだろ!」


「だって、グラビオル、遠距離攻撃できないじゃん」


 トミーくんの反論はジルさんの正論によって沈んだ。

次回、『痛いの痛いの飛んで行け』に続く

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