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《モンブリ》~進化のたびに広がる、オレとモンスターの世界~  作者: 夕幕
第1章 アルカディア王立学園 1年生編

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第64話 オルフェウスVSミューラ

「ブラン、頼んだよ」


「キュイ!!」


「ニュー、お願い」


 やっぱり、ミューラさんはニューか。

 これでもし、ニュー以外のモンスターだったらブランのモチベーション下がりそう、どうしよう?とか考えてたけど、良かった。


「ニュー、『焔翼顕現えんよくけんげん』『フレイムブレス』」


 背中から爆ぜるように真紅の翼が現れ、飛び上がり、上空から『フレイムブレス』がブランに解き放たれる。


「ブラン、躱して!」


「キュイ!」


 あ、ヤバっ!

 咄嗟の事でブランの動きがいつもより重いの忘れてた。

 いつもなら回避できると思うけど、今のブランだとさすがに……


 あれ?いつもより動きが良いような……

 ブランもその自覚があるのか、無駄に動き回ってる。

 まあ、ニューが攻撃しづらそうにしてるから、しばらくの間、ブランの好きにさせよう。


「これで太って動きが鈍い?本来ならもっと速い……。やっぱり、ブランは厄介」


 ミューラさんが何か盛大に勘違いしてそうな声が微かに聞こえてきた。

 ……オレの予想外でもあったけど、ここまで動きがいいなら、ワンチャン狙うのもありかな。

 昨日の夜、ネメシスと話したブランの新たな合技の可能性。

『ホーンラッシュバースト』を一発で取得したブランならネメシスやフィアみたいに試合中に取得することもできると思う。


 イメージはフィアがカレンさんのピリカにしたあの攻撃。

 後でルナに確認したら『ソニックスラッシュ』と『ソニックスラスト』の合技、『ソニック・クロスブレーカー』だと教えてくれた。

 あんな感じで『ソニックホーンブレイカー』に更なる加速を。


「ブラン、『ジェットアタック』と『ジェットペック』『一角突き』!」


「キューイ?……キュイ!」


 今、一瞬 ぽてって首を傾げたような……

 器用なのか、同時に耳もペタっと折れてたけど、直ぐにオレの意図を察してくれたのか、耳がピン!と伸びて元気に鳴いた。

 ただ、ちゃんと察してくれてるのかは不安だけど、カナリア先輩との特訓を思い出してくれると信じる。

 あの時もこんな感じで指示したよね?


「キュイー!キュイ-!」


 どこか突進前の闘牛のように前肢で地面を数回ほど蹴る。

 猛烈なスピードで地面を駆け、ジャンプする。

 本来なら重力で減速し、落ちるはずだが、ブランの勢いは徐々に増す一方。

 空中でありえない加速《伸び》を発揮し、空中にいたニューを捉えた。


 攻撃を受けたニューは背中から翼が消滅し、ブランと共に地面へと落ちていく。


「なに、今の加速……」


【ブランが『ジェット・ブレイクスルー』を取得しました】


 ブランならワンチャン三つでも……とか思って指示を出したけど、本当に一発で合技を取得するとは。

 てか、今の完全に物理法則を無視してたよね?

 まあ、そのおかげでニューに攻撃が届いたけど。

 ……ミューラさんは、イマイチ現実を理解できてなさそう。

 オレも逆の立場だったら、きっとあんな感じに呆然とするだろうな。


「……ニュー、大丈夫?」


「はい」


「ダメージ的に☆☆☆スキル。ネメシスが使ってたからブランもとは思ってたけど、即興で合技を取得したのは予想外」


「っ!?」


 ミューラさんは今のが合技であること、この試合中に新たに取得したことに気づいてる!

 オレなんてカナリア先輩に教えてもらわなかったら、合技の存在すら知らなかったのに。

 やっぱり、ミューラさんは凄いな。

 特別授業のダンジョン攻略もミューラさんのチームが一番最初にクリアしてるしね。

 でも、模擬チーム戦の時みたいに負けるつもりはない。

 今度はブランでニューに勝つ。


「合技には合技で返す。ニュー、『熾烈気拳しれつきけん』」


 地上にてブランと向き直ったニューは真紅のオーラを身に纏う。

 オーラは徐々に大きく膨れ上がり、やがてニューの右手一点に集中する。

 腰を落とし、深く膝を曲げ、前方へ跳躍する。

 猛烈なスピードでブランへ接近しながら、右手を握りしめ、大きく後ろへと引く。

 そして、ブラン目掛けて右拳を突き出す。


「キュイ!キュイ!」


 だが、咄嗟に『ホーンラッシュバースト』を発動したブランが前肢で二度蹴ることで相殺した。

 その勢いのまま、今度は後ろ肢で蹴り飛ばそうとするが、真紅のオーラを纏ったニューの左拳との力勝負で押し切られ、殴り飛ばされた。


「キュイっ!キュっ……」


 地面をバウンドするかのように吹き飛ぶ。

 途中、体勢を上手く立て直し、肢で「キュイー!」と踏ん張ったが、すぐ目の前にニューが迫っていた。


「キュイ!?」


「ニュー、『紅蓮脚撃ぐれんきゃくげき』」


「ブラン、『ソニックホーンブレイカー』!」


「キュイ!!」


 ブランの角と紅蓮の焔を纏ったニューの右足が衝突する。

 その衝撃でブランとニューの間の空間が歪んで見えた。

 2体はそれぞれのスキルが反発し合うかのように後方へ大きく弾かれた。


 くっ、ブランが使える合技は今ので全てクールタイムに入った。

 さすがにニューもこれ以上 合技を取得してるなんてこと……

 いや、ここまで物理攻撃が続いた。

 オレだったら遠距離攻撃の合技を一つくらい取得させる努力をする。

 安易にニューが遠距離攻撃の合技を取得していないと考えるとヤバイかも。

 ……使える前提で考えた方がよさそうかな。

 とりあえず、今は先手を取り、距離を詰めて攻める。


「ブラン、『ダブルペック』」


「ニュー、『ファイアボール』『フレイムランス』」


「躱して!」


『ファイアボール』と『フレイムランス』を「キュイ、キュイ!」を躱し、ニューとの距離を着実に詰める。

 あと少しでブランの攻撃が届く。

 そのタイミングで、


「ニュー、『フレイムナックル』」


 炎を纏ったニューの右拳がブランの角と衝突する。

 今度の力比べは助走有りで突っ込んだブランが制し、ニューが突き飛ばされた。

 地面を転がりつつ、その胸元から、わずかに煙が立ち上っていた。


 ん?あれって煙?

 何だろう。これだけは放っておいたらダメな気がする。


「ブラン、『ダブルアタック』!」


 ブランもオレと同じことを感じ取ったのか、指示を出した時には既に地面を颯爽と駆けていた。


「遅い。『業火奔流ごうかほんりゅう』」


 ニューの胸元から炎が吹き溢れ、やがて、喉、背中をはじめ全身から紅蓮の焔が立ち上り、何度も光滅する。


「すぅ――――」


 大きく息を吸い込む。

 そして、口から地を這うような炎の奔流を解き放れた。


 攻撃を試みる為に接近していたブランは、これを回避することができず、飲み込まれた。

 地面は焦げ付き、一部ドロドロに溶けている。

 ニューが放った今の一撃がどれだけ強力だったか、これを見たら誰の目からしても一目瞭然だった。


 ……ブランの姿が見えない。

 つまり、そういうことか。


 オレは負けた。


 ミューラさんはどこかホットした表情をしていて、ニューは地面に座り込んで、休んでいる。


「……」


 ……あれ?フォルリオ先生の試合終了の宣言してない、よね?

 もしかして……そんなわけないか。

 オレが聞き逃した――


「――キュ……」


「っ!?」


 今のは、間違いない。

 そっか、どうやったかはわからないけど、そういうことか。

 だから、フォルリオ先生は何も宣言しないのか。


 ……まだミューラさんとニューは気づいていない。

 でも、フォルリオ先生が何も宣言しない事をどこか不思議に思ってそう。


「……っ!?もしかして……」


 この感じ、ミューラさんは気づいたかな。

 闘技場全体を見回している。

 ただ、雰囲気からブランを見つけることはできてなさそう。

 まあ、ブランの現在位置を把握してないオレも人のこと言えないけど。


「ニュー、まだ終わってない!ブランはどこかに隠れてる!探して」


 こんなにも焦ってるミューラさんはどこか新鮮だな。


 ニューも必死になってブランを探している。

 炎の奔流に飲み込まれた直前にブランがいた場所周辺を念入りに。


 きっと届くよね。


「ブラン、『一角突き』!!」


 いつもみたいに「キュイ!」と元気な鳴き声は聞こえない。

 でも、大丈夫。理由は無いけど、そう思えた。


 次の瞬間、ドロドロに溶けた地面の下からもっそりと顔を出す子が。

 そして、ニューの背中を角で突いた。


 背後からの『一角突き』で体勢を大きく崩したニュー。

 しかし、これだけではニューのHPを削り切れない。


「ブラン、『ジェットアタック』!」


 そこは丁度 今、クールタイムが明けた『ジェットアタック』で追撃する。


 体勢が崩れたまま立て直せていないニューに高速体当たりが炸裂した。

 これにより、ニューのHPが0となった。


「勝負あり。1年C組 クラス内トーナメント 優勝はオルフェウスくん!」

次回、『ブランの神回避、その全貌』に続く


最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます!

読んで感じたこと、心に残ったシーン、どんな小さなことでも大歓迎です。

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