表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《モンブリ》~進化のたびに広がる、オレとモンスターの世界~  作者: 夕幕
第1章 アルカディア王立学園 1年生編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/120

第63話 丸くなったブラン

 シエルが泣きじゃくるブランを連れ去った直後、準決勝第二試合、ミューラとカレンの試合が始まった。


 ミューラはドラゴニュートのニュー。

 カレンはルナ戦と同じハーピーのピリカ。


 この試合はルナの時と同じで、ピリカが空中から一方的に攻撃を仕掛ける展開となった。

 ここまで遠距離から一方的に攻撃する事が多かったニューはかなり苦しい。

 その表情からも窺えた。


「仕方ない。オルフェウスとの再戦に温存したかったけど……。ニュー、『焔翼顕現えんよくけんげん』」


 ニューが地を蹴った瞬間、全身に紅蓮の紋様が走る。

 その背から爆ぜるように現れたのは、真紅の半透明な竜翼――炎そのものを纏ったような、戦場に燃え盛る双翼だった。


「え、何それ?そんなの知らないんだけど……」


 これにより、空中はピリカだけの領域だったのが一転した。

 ピリカのスキルがほとんどクールタイムに入っていたこともあり、そこからは戦局が逆転した。


 遠距離からは『フレイムブレス』など、距離を詰めたら『フレイムナックル』などで攻撃。

 それに加えてニューの火属性はピリカの風属性と相性が良い。

 同じ土俵で戦った結果、ニューに軍配が上がった。


 こうして、決勝戦はオルフェウスとミューラの対決に決まる。



 ◆◇◆◇



 決勝戦の相手はミューラさんか。

 模擬チーム戦以来だから1ヶ月振りくらいかな?

 あれから、カナリア先輩に合技を教えてもらい、強くなった。

 それに今度はダブルバトルじゃないから、ニューはヒューの支援をもらえない。

 でも、ニューもあの時とは違う。

焔翼顕現えんよくけんげん』を使われて、空を飛ばれると正直、厳しいな。

 たぶん、次こそはブランが出たがるだろうな。

 本当ならネメシスの『飛閃』や『返刃ノ構(へんじんのかまえ)』頼みの戦法は使いたいけど。


 試合は明日だし、この後ゆっくり……ネメシスと一緒にブランがどう立ち回るといいか考えよう。


 翌朝、教室に入ると、昨日あれだけ泣きじゃくっていたブランは元気に無邪気な笑顔で「キュイ!」とシエルの腕の中で出迎えてくれた。


 昨日、あれだけ泣きじゃくっていたのに……


「キュイ?」


 何も無かったかのように、いつも通りだ。

 うーん、でも、どこかいつもと違う気も……

 気のせいかな?


「はい、オルフェウス。ブランちゃん、元気になったよ」


 いや、根本的な原因は……もういいや。

 気にしたら負けの気がする。


 そのままシエルからブランを返してもらい、さっき感じた違和感が気のせいじゃなかったとわかった。

 ていうか、シエルがあっさりとブランを返したのって……


「ブラン、昨日の夜、シエルと何してたの?」


「あ、ちょっと、オルフェウス、それは待った」


「キュイ?キュイキュイキュイ!」


「ネメシス、お願い」


「甘いものをたくさん食べさせてもらったと」


 うん、道理で。

 違和感の正体は、ブランが少しだけ丸くなってることか。

 実際、抱っこするといつもより重い。


「キュイ?」


「ブラン、しばらく甘いもの禁止ね」


「キュイィィィ……!?」


「昨日、たくさん食べたんでしょ?食べ過ぎはダメ!」


 しょぼんと落ち込むブラン。


「それと、少し丸くなってるからダイエットも」


「キュイィィィ……!?キュ、キュイ……」


 ぐすんと涙ぐみ、いつもなら甘やかしてくれるシエルの方を何度もチラチラ見る。


「ブランちゃん……応援してるよ!」


「キュイ……!」


 あ、拗ねた。



 放課後、決勝戦が行われる闘技場へ向かう直前に一つだけ確認したいことがあって、合技取得に利用した演習場へやって来た。


「ブラン、ちょっとだけ走ってみようか」


「キュイ……」


 ものすごく渋い顔をしている。

 たぶん、甘いものを控えるって言われたこと、まだ根に持ってるな。


「ブラン、この後、ミューラさんのニューと戦うんだよ。ダブルバトルで負けて悔しくなかった?あの時のリベンジするチャンスなんだから軽く身体を動かさないと」


「……キュイ」


 しぶしぶながら頷き、ブランはゆっくりと助走をつけて――ドスッ。

 足元がもつれて転び、ごろんごろんと数回転して、最後はぺたんと横たわる。


「え、ちょ、ブラン、大丈夫?」


「キュイ……」


「怪我はありません。ただ……体が少し、重いそうです」


「キュイ……キュイ……」


 ああ、これは相当ショック受けてるな……。

 大丈夫かな、この調子で。


「……キュイッ」


 いや、大丈夫そうかな。

 さっきとは表情が違う。

 ブランもやる気を出してくれてる。


「キュイ、キュイ」


「ん?ネメシス、ブランは今なんて言ったの?」


「……少し走れば、元通りと」


「……そんなわけないでしょ!」


「キュイキュイ!!」


 怒った様子のブランはどこかへと走り去った。

 このまま迷子になると困るので、直ぐネメシスに追いかけてもらった。

 ブランを回収し次第、闘技場に連れて来てもらう。


 オレは、どんなに頑張って走っても追いつけるわけないので、先に一人闘技場へ向かう。

 時間までに来なさそうな場合、フォルリオ先生とミューラさんに事情を説明して待ってもらうしかないかな。


「あれ?オルフェウス、ブランちゃんは?」


「ああ、演習場で少し動きの確認したら身体が重かったらしくて、転んじゃってさ。その後、なんだかんだあって、少し走れば元に戻るとか言ってどっか行っちゃった。今は、ネメシスが追いかけてるとこ」


「あ、そうなんだね」


 事情を知るとスーっと遠ざかっていくシエル。

 その代わりなのか、ミューラさんがこっちにやって来た。


「ブラン、大変そうだったけど、大丈夫?」


 さすがに朝のやり取りで全部 筒抜けだよな。

 この状態で隠し通すのは、無理!


「うーん、たぶん……」


 正直、これが今のオレの気持ち。


「先生に伝えて、試合を後日に延期してもらう?ミューラはそれでもいいよ」


「さすがにそれは……。折角、見に来てくれてるクラスのみんなに申し訳ないよ」


 この後、ミューラさんに了承をもらい、ちょっと諸事情でブランとネメシスが遅れているから待って欲しいとフォルリオ先生に頼んだ。


「なるほど。わかりました。ギリギリまで待ちましょう。それで来なかった場合は、またその時にでも考えましょう」


 そう、快諾してくれた。


 当初の試合開始時刻は過ぎ、そこから更にブランとネメシスを待つこと十数分。

 ようやく闘技場にブランを連れたネメシスがやって来た。

 その表情を見るだけで如何に大変だったかが窺える。


「主様、遅くなり、申し訳ございません」


「ありがとう、ネメシス。おかげでブランがここまで来られた」


「キュイキュイ!!」


「……?」


「身体が軽くなったっと」


 ネメシスがすかさず訳してくれた。


 いやいやいや、そんな直ぐに……あれ?さっきまでもう少し丸くなかったかな?


「オルフェウスくん、そろそろ準備はよろしいですか?」


「あ、はい!すみません、お待たせして。ミューラさんも待ってくれてありがとう」


「どういたしまして」


「ブラン、早速だけど、準備はいい?」


「キュイ!」


 よし、身体が軽くなったかどうかはさておき、これで試合を始められる。


「それでは決勝戦、始め!!」

次回、『オルフェウスVSミューラ』に続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ