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《モンブリ》~進化のたびに広がる、オレとモンスターの世界~  作者: 夕幕
第1章 アルカディア王立学園 1年生編

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第61話 ルナVSカレン

 二回戦も残するルナとカレンの試合のみとなった。

 二人とも既にフィールドに待機しており、準備はできている。

 あとは、フォルリオ先生による試合開始の合図を待つのみ。


「それでは二回戦第四試合、始め!」


「うちはこの子、ピリカ!」


「フィア、今日もお願い!」


 カレンのモンスターは、少女の上半身に鳥の下半身を持つ亜人モンスター、ハーピー。

 銀白に近い淡い水色の長髪をリボンでまとめており、大きな金色の瞳、キュッと尖った耳、口元には小さな八重歯が見える。

 身長は130cmほどとかなり低いが、翼を広げると両翼だけで約3mはある。

 足は猛禽のような鋭い鉤爪で、召喚時から宙を舞っている。


 対するルナは一回戦と同様にフィアだ。

 自己紹介の時にカレンは相棒モンスターとして、ハーピーのピリカを紹介していた。

 飛行能力のあるピリカ相手では魔法が使えるフィアじゃないと勝負にならないと考えたのか、ルシウスは温存の構え。


 ピリカ、フィアと相手の出方を窺い、動かない。

 膠着した状態が続くが、それも直ぐに終わる。


「ピリカ、こっちから仕掛けるで!『エアロスライス』!」


「フィア、来るわよ!」


 ピリカが空中で手を横に一閃。

 すると空間が裂けるように鋭い風刃が走る。


「躱して!」


「まだやで!ピリカ、『スクリームボイス』!」


「キャァアアアァアアアーーッ!!」


 ピリカが翼を強く打ち鳴らし、空中でくるっと回転しながら鋭い悲鳴を放つ。

 音が波となって広がり、空気が歪み、ルナとフィアの耳に刺さるような響き渡る。


「うっ!」


 ルナはたまらず耳を両手で塞ぐ。

 それと同時に何か大声で叫び、フィアに指示を出そうと試みるが、ピリカの『スクリームボイス』によって掻き消されている。


 フィアもまた、ルナ同様に耳を塞いでいる。


 次の瞬間、最初に躱したと思っていた『エアロスライス』が、まるで時間をずらしたかのようにフィアを切り裂いた。

 このスキル最大の特徴は、目に見えず、音もしない静かな一撃。

 空中で手を横に一閃するという明確な動きを見せることで、そこで攻撃を放ったと相手に誤認させる。

 だが、実際には『スクリームボイス』を発動する直前、相手の動きを見てから放っていた。


「音が止んだ……。今よフィア、『ウインドカッター』!」


「ピリカ、躱して!」


『スクリームボイス』による悲鳴が止まって反撃の狼煙を上げたが、容易く回避された。


 空中を自由自在に動き回れるピリカに遠距離からの攻撃を当てるならどうにかして、動きを止める必要がある。

 それを痛感したルナ。


 この時、ルナには一つだけこの状況を打開する策が思い浮かんでいた。


 一回戦でネメシスがやったように、フィアもできたらと。


「フィア、カナリア先輩との特訓、覚えてる?」


「はい。やるのですね?」


「うん、信じてるから。『ソニックスラスト』『ソニックスラッシュ』」


 ルナとフィアの間には目には見えない絆が存在した。


「ん?なんや、わからんけど、何かされる前に倒すだけやで!」


「うん!」


 それは同時にカレンとピリカに火をつけた。


「ピリカ、『スパイラルゲイル』!」


 ピリカはフィアの真上に飛び、翼を高速回転させて竜巻状の風圧を下へと撃ち下ろす。

 フィールド全体が軋むような風鳴りとともに、地面が抉れ、フィアの視界は砂埃と風圧で乱される。


 そんな中、フィアは剣を胸の前で横に傾けるように構え、静かに目を瞑っている。


 ――スっと目を開けると、剣は銀色の光が明滅していた。

 剣が光を纏うのはスキル発動の合図。

 しかし、明滅している現状、スキル発動が上手くできておらず、不安定である事を示している。


「フィア!!」


 ルナの声がフィールド、いや、闘技場に響き渡る。

 その瞬間、ピリカとカレンの視界からフィアが消えた。


「え?消えた……?」


「どこ!?」


 戸惑いの声が上がる。

 それでも必死にフィアの居場所を探すピリカ。

 そして、小さくガッツポーズをするルナ。

 これが意味することは一つ。

 ルナとフィアの行った一か八かの賭けに勝った。


 ピリカの真下から一筋の銀色の光の矢が穿つ。

 そして、180度 Uターンした光の矢が今度はピリカの片翼を斬き裂いた。

 あまりに速く、一瞬の出来事だった為、何が起きたのか、そもそも攻撃された事にすらカレンは気づけていない。

 しかし、片翼を斬き裂かれたピリカは、空中でバランスを崩し、小さく旋回するように姿勢を乱す。

 羽根が舞い、焦るように羽ばたき直すが、高度はじわじわと、確実に落ちていく。


「今のそういうこと。……いた!ピリカ、真下に『ゲイルシュート』!」


 ピリカが真下にいるフィアの方を向き、口笛のように息を吐くと、細く尖った空気の矢が一直線に走る。

 放たれた瞬間に「シュッ」と鋭く高い音がフィールドに響く。


「フィア、『ウインド・セヴァランス』!」


 鋭い風刃が取り巻く渦巻く風球が『ゲイルシュート』を貫き、その先にいるピリカへと迫る。


「うそ……。あ、『フェザーバリア』!」


 ピリカは翼で自身を丸めるように包み、羽根が風に乗って舞い散る。

 フィアの『ウインド・セヴァランス』が直撃したように見えたが、舞い散った羽根がその軌道を僅かに逸らした。

 結果、『ウインド・セヴァランス』は 当たらなかった。


「うっ、まだそんなスキルがあったなんて……」


 ルナにとって『ウインド・セヴァランス』は決めにいった攻撃だった。

 それがピリカにダメージを与えられずに終わった。


 両者の想定外がぶつかり合い、均衡は崩れている。

 そして、この状況をいち早く理解し、流れを引き寄せたのはルナだった。


「フィア、今なら届く!『ソニックスラスト』!」


 ルナの指示と同時にジャンプするフィア。

 そして、空中で『ソニックスラスト』を発動させる。

 これにより、スキルの効果による加速が空中でのブースト剤となり、猛烈な勢いでピリカへと迫り、勢いそのままに突き抜けた。


「これでラスト!『ソニックスラッシュ』!」


 突き抜けることで『ソニックスラスト』の発動は終わる。

 その直後、空中で体勢を立て直し、身体の向きを上手く変えて方向転換したフィアはピリカへ向け、トドメの『ソニックスラッシュ』を放つ。


「後ろに『ヴォイス・テンペスト・レゾナンス』!」


 羽ばたくことを止め、翼を広げ、目を閉じるピリカ。

 必然と重力に従って地面へと落ちていく。

 ピリカが小さく息を吸い込むと同時に、周囲の空気がぶわっと吸い寄せられるように収束する。

 次の瞬間、口を大きく開け、空間を裂く超音波の大咆哮を放つ。

 フィールド全体に不可視の音速刃と衝撃波が波紋のように拡がる。


 その瞬間、フィアの剣がピリカの背中に届いた。

 そう見えた刹那。


「キィィィィィン!」


 空気が爆ぜ、空間が震えた。

 その刃は、音速の乱気流によって逸らされ、虚空を裂いただけに終わった。

『ソニックスラッシュ』による加速も費え、そのまま地に落ちる。


「『ウインドブレイク』!」


 そこをすかさず追撃し、小型の竜巻がフィアのHPを削り切り、フィアのクリスタルが地上に落ちて来た。


「勝負あり。勝者、カレンさん!」


 間合いを取って攻撃できるという利点を最大限活かしたカレンとピリカが、最後の最後で逆転勝利を収めた。

次回、『オルフェウスVSシエル』に続く

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