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《モンブリ》~進化のたびに広がる、オレとモンスターの世界~  作者: 夕幕
第1章 アルカディア王立学園 1年生編

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第56話 オルフェウスVSエマ

 さてと、もうすぐオレが出る一回戦第一試合が始まる。

 ブランとネメシス、どっちで戦うか悩んだけど、今回はネメシスにする。

 負けたら終わりのトーナメント。

 ちょっとお子様気質でやる気にむらがあるブランには向いてない気がする。

 当の本人も「キュイキュイ〜」とシエルの膝の上から前肢を振って見送ってくれた。

 最初から出るつもりが無いと言わんばかりに。


「オルフェウス、これまで接点無かったけど、とりあえず よろしく」


「うん、こっちこそよろしく」


「せっかくのトーナメントだし、お互い本気で頑張りましょ!」


 場所は模擬チーム戦を行った時と同じで学園内にある闘技場の一つ。

 フォルリオ先生の話によると他のクラスも別の闘技場にて、同時進行でトーナメントが行われるみたい。


「それでは1年C組 クラス内トーナメント 一回戦第一試合を行います。両者 準備はよろしいですか?」


「もちろん!」


「はい、大丈夫です!」


 フォルリオ先生はエマさん、オレの順に自分の目でも直接 準備万端か確認した。

 そして――。



「それでは一回戦第一試合 始め!」


「お願い、リーン!」


「頼んだよ、ネメシス!」


 確か入学式直後の自己紹介の時にフェアリーって言ってたよな。

 でも、あの時とは外見が全然違う。

 当然、進化しているよね。


 輝く羽が2枚から4枚に増え、身体も一回り大きくなり(人間で言えば小学生~中学生くらいのサイズ)、ドレスは花と光の粒でできている。

 髪は淡い金~ピンク色のグラデーションで、瞳は虹色のように光を反射しており、周囲に光の蝶や花びらが舞っているように見える。


 対してネメシスは初めてクラスに連れて行った時と外見の変化は少ない。

 エマさんはあの時、一回だけ僅かな時間しか見ていない。

 もしかしたら まだ進化していないと誤認してくれるかも。


「……ブランが応援席にいたからもしかしてと思ったけど、やっぱりその子なんだ」


「ははっ……」


 あ、やっぱり最初からブランを出さないって事には気づかれてたよね。

 だって、応援席であれだけ元気に「キュイキュイ!」と鳴いてたら嫌でもわかるしね。

 普通にここまで聞こえてくるし。

 まあ、本人は応援しているつもりだろうし、聞こえて当然なのかもしれないけど。


「それじゃあ先手必勝!リーン、『ルミナ・チャーム』からの『グリッター・レイ』!」


 リーンはウインクしてから指先でハート型の光弾を作り、それをネメシスへ向けて飛ばす。

 真正面から飛んできた為、ネメシスは余裕を待って躱す。

 直後、リーンが手のひらを前に出し、そこから直線状の閃光を発射した。

 さっきとは対極であまりにも速く、ネメシスが身を翻すよりも早く、脇腹をかすめた。


 ……光属性。外見からもしかしたらって思ったけど、やっぱり。

 光属性と闇属性はお互いに弱点。

 魔法を防御するスキルとが無い以上、回避した後に距離を詰められるかが勝敗を分けるな。

 こっちの手の内は知られてないはず。

 だから『飛閃』は温存して積極的に近接戦を仕掛ける。


「ネメシス、距離を詰めて!」


「させないよ、飛んでリーン!」


「なっ……!?」


 いや、冷静に考えたら飛べるなんて わかりきった事だ。

 実際、ネメシスは一切動揺せず、真っ直ぐにリーンを視界に捉えている。

 ……でも、打つ手無しに変わりない。

 地上にいる限り、こちらの攻撃は届かない。

 逆に、向こうからの魔法は容赦なく降ってくる。


 以前、壁を走って登ることで対処したこともあるけど、こんな開けた場所じゃそれもできない。

 くっ……どうすれば……


「主様、全て任せていただけますか?」


「……うん、何か考えがあるんでしょ?なら、任せるよ」


「ありがとうございます」


 ネメシスは静かに息を吸うと、剣を構え直した。その動きに、迷いは一切なかった。


 リーンが上空から新たな光弾を生成し始める。その手のひらに、『グリッター・レイ』――直線状の閃光が集まり出す。


 ネメシスは静かに目を細めた。


「……次の発動まで、おそらく5秒。光が手のひらに集まるタイミングは――」


 この時、刀匠が一太刀のために、無駄を削ぎ落とすかのような静けさをネメシスから感じた。

 ネメシスは剣を納め、ゆっくりと腰を落とした。

 両脚に重心を乗せ、全神経を目と耳と気配に集中させる。


「避けられるもんなら、避けてみて!」


 リーンの掛け声と同時、閃光が鋭く射出された。


 しかし、その瞬間―― その場からネメシスの姿が霧のように消えた。


「えっ……!?」


 ネメシスが消えた?

 ……え、どういうこと?


 光の一撃が地面をえぐる直前、ネメシスの身体は文字通り、霞のように消えていた。

 次の瞬間、リーンの背後に剣閃が走る。


「ッ――っ!?」


 ギリギリで振り返るリーンの視界に、振り下ろされる剣が映る。


 鋭い一太刀。

 咄嗟に反射で回避行動を取ったことで、直接的な致命傷は避けられたものの、その衝撃でリーンは空中で大きくバランスを崩した。


【ネメシスが『返刃ノ構(へんじんのかまえ)』を取得しました】


 リーンの後を追うようにネメシスも地上へと落下する。

 だが、完全に地上へ落ちる前にリーンは体勢を立て直し、再び空中へ戻ろうとする。

 そこをすかさず、ネメシスは『飛閃』で狙い打ち、今度こそ地に落とす。


「リーン、『ルミナ・ブレス』!」


 リーンが胸元に手をあてると、やわらかな金色の光が包む。

 すると、ネメシスが与えたダメージが全回復され、その上 攻撃力デバフと猛毒の状態異常も治る。


 しかし、間髪入れずに『斬哭冥華ざんこくめいか』を叩き込み、さっき治されたばかりのデバフ・状態異常に加え、素早さデバフと疫病の状態異常を付与した。


 これにより、急激に動きが鈍くなったリーンは距離を取ろうにも思うように動けず、ネメシスの攻撃をくらい続けた。

 その結果、一度は回復して全回復したリーンのHPも気づいたら0になっていた。


 フォルリオ先生の「試合終了!」の声が闘技場に響き渡る。


 ネメシスは静かに剣を納めた。

 そして、応援席から小さな声が届く。


「キュイ……!」


 ブランが、誇らしげに目を細めている。

 ネメシスはその姿を見て、小さく微笑んだ。


「ブランのアドバイスのお陰で勝てました。ありがとうございます」


 ネメシスの感謝の言葉は、決して形式ではなく、本当に、心からのものだった。


 ……っていうか、ブランはいつネメシスにアドバイスなんてしたの?

 普通、立場が逆の気がするのはオレだけ?

次回、『シエルのリベンジ』に続く

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