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《モンブリ》~進化のたびに広がる、オレとモンスターの世界~  作者: 夕幕
第1章 アルカディア王立学園 1年生編
33/120

第33話 ミューラからのお誘い

「キュイ〜」


『甘味之秘境』でミューラ、ニューと一緒にスイーツを堪能したブランはお腹一杯と言わんばかりにお腹をさすっている。

 幸せそうでなにより。


 それからオレは門限が迫っているので、ミューラとニューに別れを告げて帰ろうとした矢先、何故か呼び止められた。


「オルフェウス、少しだけ時間あるかな?」


「え、いいけど、どうかした?」


「もし良ければだけど、今度都合が良い時に模擬チーム戦をしない?」


「それって入学試験でやったチーム戦のこと?」


「ちょっと違う。ダブルバトルがある一般的なやつ。あ、シングルバトルは入学試験と同じでモンスター1体だと助かるかも」


 そういえば、本来ならチーム戦ってモンスター2体同時に戦うダブルバトルがあったっけ?

 入学試験の時はそれが無くて1体だけのシングルバトルのみだったからすっかり忘れてた。


「一回ルナとシエルに相談しないとなんとも言えないかな。返事は明日以降でもいいかな?」


「大丈夫。今直ぐ返事をもらてるとは思ってないから」


 その後、門限ギリギリだったけど、自分の部屋に戻ったオレはルナとシエルにメッセージを送ろうか迷っていた。

 今日の出来事を全てそのまま話すとシエルに何を言われるか。

 誤魔化すならメッセージでのやり取りは必須となる。

 直接、話すとシエルはオレが嘘をついていると気づくからだ。


 そしてこれ以上無いくらいベストな解決策を思い付いた。

 先にメッセージでルナに全部話して、ルナからシエルに一部ブラン関連の話を省いて話してもらえばいいと。


 ということでルナにメッセージを送る。

 すると何故かシエルから「明日、とっても!大事なお話があります」とメッセージが届いた。

 もしかして、ルナとシエル一緒だったのかな?

 うん、これは諦めよう。


 翌日、教室に入るとむすーと頬を膨らませたシエルが待ち構えていた。


「オルフェウス!ボクが何言いたいかわかるよね?」


「なんとなく」


「キュイ?」


「何でブランちゃんとスイーツを食べに行くのにボクを誘ってくれないのさ!!」


「いや、成り行きだったから」


「ボクもブランちゃんが美味しそうにスイーツ食べてる所見たかったのに!!」


 あ、そっちなのね。

 シエルのことだからブランに食べさせたかったとかだと思った。

 ……昨日、ルナに送ったメッセージにその辺のこと書いてなかったかも。

 うん、このまま何も言わずに隠し通そう。


「キュイキュイ」ペチペチ


「はぁ~ブランちゃん、ボクを慰めてくれるの?」


「キュイ」


 ブランがシエルの頬をペチペチと前肢で蹴っているようにしか見えないが、オレはしばらく放置することにした。

 あ、流れに身を任せたブランはシエルの腕の中にいる。

 触らぬシ、……なんちゃらに祟りなしってやつだよ。


「ごめんなさいね、昨日は偶々シエルが私の部屋に遊びに来てて……」


「いいよ、気にしなくて。その可能性を考慮していなかったオレも悪いし」


「ありがとう。……本題に入るけど、模擬チーム戦をするって話だけど、いつどこでどういうルールで行うの?」


 オレはとりあえず、ルナに知っていることは全て話した。

 シングルバトルはモンスター1体のみ、ダブルバトル有りの模擬チーム戦だと。

 ただ、それ以外のことはまだ決まっていない筈。


「なるほどね。私は折角のお話だし受けて良いと思うわよ。経験にもなるし、クラスメイトの実力を知る良い機会。一先ず、話の続きは放課後にしましょ。シエルがあんなだし」


「うん」


 ブランはシエルに預けたまま放課後まで過ごした。

 その頃には朝とは全くの別人と化したシエルが幸せそうな顔をしてブランを抱きしめていた。

 この状態のシエルに朝、オレとルナが話した模擬チーム戦の事について共有する。


「そんな感じで話が進んでたんだ。ボクはいつでも大丈夫だよ」


 それからミューラさんとチームメイトのガイドくん、ダインくんを交えて細かい部分を決める。


「まずはいつやるかね。私たちはいつでも大丈夫だけど、できれば明日以降でお願い」


「それなら早速、明日でどう?」


 チラッとオレとシエルを見て大丈夫そうか確認するルナ。


「わかったわ。それでいきましょう」


 ということで明日、模擬チーム戦を行うことに。


「ルールは入学試験で行われたチーム戦にダブルバトルを追加する。初戦と最終戦はシングル、2戦目はダブルの流れ。ここは通常のチーム戦と同じ」


「シングルバトルはモンスター1体って認識でいいのよね?」


「そう」


 教室で必要最低限の確認を終え、オレたちは明日の模擬チーム戦に備えて準備を進めることに。

 その為に学生ラウンジに移動した。


「誰がどのバトルに出場するかを決めるわよ」


「一番の問題は2戦目のダブルバトルだね。まだ誰がダブルバトルを担当するとか決まってないし……」


「え、ダブルバトルってチーム内で担当者を決めるの?相手チームによって臨機応変に変えるとかじゃなくて」


「最初からチーム内で担当者が決まってることが多いね。ダブルバトルは慣れもあるから一人が重点的に取り組むって感じだよ」


 なるほどね。

 三人しかいないし、相手チームによってダブルバトルに誰が出るかを変えてたら固定で担当者を決めてるチームに比べて練度で劣るわけか。


「チーム戦が本格的に始まるのはもっと後だし、今回は模擬戦。いろいろと試してみるのはどう?」


「うん、オレはそれでいいと思う」


「ボクも」


 それで肝心要のダブルバトルに誰が出るかをどう決めるのかな。

 モンスターの相性だと進化して魔法が使えるようになったフィアと近接主体のルシウスが一番かな。

 いや、小柄な体格を活かしてオルクが相手を翻弄し、ウィルが持ち前の攻撃力で相手を倒すのもありかな。

 ブランとネメシスは正直、子供と大人って感じだし、一緒に戦うってのは向いてない気がするな。


「キュイ?」


 あー、よしよし、いい子いい子。

 今、大事なお話中だから静かにしててね。

 なんなら寝ててもいいよ。


「キュイ〜」スヤスヤ


 シュッ!サッ!


 秒で寝かし付けることに成功したブランを目にも留まらぬスピードでシエルに奪い去られた。

 それに気づいていないのか、いつもの事で慣れたのかブランは静かに寝ている。


「……オルフェウス、ダブルバトルお願いできないかしら」


「え?オレ一番向いてない気がするけど」


「ルシウスとウィルは『秘密道場』を使って短期間でLv上げをしたからフィアやオルクとの連携が危うい。それに進化しても使えるスキルの数が少ない。これも『秘密道場』を使った事の弊害。現状、一番バランスが良くて強いのがブランとネメシスだと思うの。それに、ブランとネメシスの連携が上手くいけば、オルフェウスの戦術の幅も広がると思うわ」


 うーん、ルナの言いたいことは理解できた。

 ただ、ブランとネメシスが上手く連携できるかは未だに不安だな。

 だって最初があれだったしね。

 だいぶ仲良くなったとは思うけど。

 いや、これを機にブランが少し大人になってくれたら。


「了解。それならオレがダブルバトルに出るよ」


「ありがとう」


 その後、ブランの寝顔に見惚れているシエルが初戦のシングルバトル、ルナが最終戦のダブルバトルに出ることになった。


「模擬チーム戦だから勝ち負けよりもこの経験を次に活かせるように頑張りましょ」

次回、『一緒に応援』に続く

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