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《モンブリ》~進化のたびに広がる、オレとモンスターの世界~  作者: 夕幕
第1章 アルカディア王立学園 1年生編
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第31話 オレにしかわからない

『秘密道場』でルシウスとウィルのLv上げを終えてオレたちは『機生の工場跡地』の再調査をすることに。


「ブラン、『ダブルペック』!ネメシスは『ダークスラッシュ』!」


「フィア、『ウインドカッター』!ルシウスは『ハンマークラッシュ』!」


「オルク、『スタンアックス』!ウィルは『鉄壁突進』!」


 倒すのに手間取ると前回の二の舞になる。

 そうならないよう反省点を活かして速攻で機生を倒す。



 近未来の工場跡地を再現しているのか見るもの全てが新鮮。

 それにかなり入り組んでいて、行き止まりが多い。

 だけど、『石工の炭鉱』みたいに行き止まりだと思ったら隠し扉がって可能性もあるので、念入りに確認している。


「ブラン、ここはどう?」


「キュイィ」プイプイ


 こんな調子でブランの勘は不発のまま探索を続けた。

 しかし、今回はブランの勘に頼らずに済みそうだった。

 今、オレたちの目の前には怪しげに扉が開いたままのエレベーターがある。

 しかも電源が入っているのか電気がついた状態だった。


「オルフェウス、どうかした?」


「うん、ちょっとこれが気になって……」


 オレが何に気になっているのか理解できていないであろうルナとシエルを置いて、ブランを抱き抱えたままエレベーターの中に入る。

 開閉以外にボタンが二つ存在して一つは1F、もう一つはB1と記されていた。


「これがどうしたの?ちょっとした窪みにしか見えないけど」


「えっと、何て説明したらいいのかな?上手くは言えないんだけど、これが乗り物?に見えたというか……」


「「の、乗り物!?」」


 あ、うん。さすがにルナとシエルが困惑してる。

 エレベーターを知らない二人からするとこれが乗り物って言われると違和感しか無いよね。

 ていうか、これがちょっとした窪みに見えるのか。

 オレ的にはそっちの方が驚きだよ。


「キュイ?キューイ、キュイ」


「あ、ちょっ、ブラン!?」


 ガチャン!!


「え、何!?」


「うわっ!?もしかして、動いてるの?」


 玩具か何かだと勘違いしちゃったのかな。

 B1と記されたボタンをブランが押してしまった。

 その後、間髪入れずに開閉ボタンも押した為、直ぐ扉が閉まってエレベーターは動き出してしまった。

 ルナとシエルは初めて乗るエレベーターに困惑中。

 そして事の発端を作ったブランはオレの腕の中で楽しそうに大はしゃぎ。

 ……上にブラン以外のモンスターみんな置き去りにしちゃったけど、大丈夫かな。


 ゴトン!


 扉が開くと同時にモンスターが襲ってくるという最悪の展開にならず一安心。


「ここって隠しエリアかな?だとしたらブランちゃんお手柄だよ!」


「キュイ!」


「それよりもモンスターを召喚し直しましょ」


「あ、そうだった」


 気づいたらルナとシエルは上に置き去りにしてしまったモンスターを再度、召喚していた。

 詳しく話を聞くと一度でもルームに入ったことのあるモンスターなら距離が離れていてもルームを経由して再召喚できるとか。

 これを聞いたオレは戦闘中の緊急回避に使えないかな?と考えたけど、どうやらダメみたい。

 戦闘中はモンスターをルームに戻すことができないらしい。

 詳しい原理はルナとシエルも知らない。


「とりあえず、どうしてこれが動いたのかを調べましょ。フィア、ルシウス、周辺の警戒をお願い。モンスターが来たら直ぐに教えて」


「了解しました」


「了解した」


「オルク、ウィルもお願いね」


「ゴブ!」


「クゥーン!」


「ブラ……ネメシスもお願いできる?」


「承知しました」


 ブランにも本来ならネメシスたちと周辺の警戒をお願いしたいとこだけど、意地でもオレの腕の中から動かないという確固たる意思を感じた。

 これは折れないと判断したオレはブランを抱き抱えたままエレベーターの動かし方を調べているルナ、シエルと合流する。


「あ、オルフェウス、これブランがどうやって動かしたのかわかる?」


「えっと、さっきはこのB1を押した後に"CLOSE"ってのを押してたと思うよ」


 試しにオレが話した二つのボタンを押してみるルナだったけど、何一つ反応が無い。


「うーん、ブランちゃんは何かわかるかな?」


「キューイ?」


「ぐはっ!」バタッ


 ブランが可愛く首を傾げることでシエルがダウンした。

 いつものことだけど、ダンジョン内でくらいしっかりしてほしい。


「……動かないわね。まだ二つボタンが残ってるし、押す順番に意味があるのかしら?だとしたら元いた場所に戻るには残る二つが関係してる?」


 ダウンしているシエルを完全に無視してエレベーターを動かすにはどうしたらいいか考えを巡らすルナ。

 ここに来た時、使ったであろうボタンは二つということから残る二つが元いた場所に戻る為にボタンを推測し、試しに押した。

 すると扉は再び閉まってエレベーターは上へと動き始め、元いた場所に戻って来た。


 それから何回か繰り返しボタンを押してエレベーターを動かすことで仕組みについてルナにそれとなく教えることができた。

 そして、ここにある装置がルナたちには未知過ぎるあまり、一度戻って報告をする事になった。


 何度目かわからない再召喚を終え、記憶を頼りに来た道を戻ろうと思った矢先、ネメシスから驚きの事実が明かされた。


「主様、ここに来るまでの道中、これと似たような物がありましたが、確認に行かれますか?」


「え、嘘!ホントに!?」


「はい。どうされますか?」


「ここに来る道中ってことは帰り道でしょ。いいんじゃない?」


「それも確認しておこう。報告材料は大いに越したことないし」


 ネメシスの案内で他にもエレベーターが存在するかを確認しに行く。


 ここって最初に機生と戦った辺りだよね。

 この辺りは調査よりも戦闘に意識がいってたから見落としてたのかも。

 実際、完全に見落としていた。

 特別わかりやすい場所にあるわけじゃないけど、ダンジョンゲートからも近く、本来なら一番最初に見つけないといけないように思えた。

 中を確認すると先ほど見つけたエレベーターと同じで1FとB1、それから開閉ボタンがあった。

 B1の行き先は恐らく、先ほどのエレベーターで移動したフロアのどこかだと思われる。

 複数エレベーターがあることが確認できたので、他にも存在する可能性が有ることを踏まえて学園に報告する。

 それで今日の調査は一旦終えることに。

次回、『甘味之秘境』に続く

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