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第3話 初戦闘

 その後、ルナとシエルからモンスターのステータスの見方を教えてもらった。

 実は、昨日の自己紹介のときに少し聞いてたけど、改めてちゃんと教えてもらうのは初めてだ。


 HPは体力のことで物理防御力と魔法防御力を足した数値の10倍。

 SPはステータスポイントの略称でLvが1上がると1増えて、ステータスに割る振ることができる。

 SPは1ポイントで物理攻撃を1上げるとか、そういう感じで自分好みに育てられるってわけね。

 そうなると物理攻撃力に全部振って脳筋にするのもありか?

 でもバランス型の方が扱いやすいっていうし……

 いや、ブランに脳筋は合わないか。


 モンスターが進化するとLvがリセットされてSPは振り直せる。

 それからスキルの横にある☆はスキルのランクを示して、詳細はアルカディア王立学園に入学してから教えてもらえる。


「そういやあ、ブランのステータスの魔法攻撃力が0だけど、これは何でかわかる?」


「魔法適性が無いって意味ね。要するに魔法が使えない」


「一応、補足すると進化して魔法適性を得ることもあるからね。あ、進化はLv20毎に必ずするって覚えとくといいよ」


 なるほど。やっぱりモンスターは進化するのか。

 しかもLv20毎と決まっているのはわかりやすくていいね。

 ゲームによってはモンスターによって進化に必要なLvが違ったりしてわかりづらい。

 そういう数字とか覚えるの苦手だから助かる。


「ねえ、ブランのステータス見せてもらえる?こっちも見せるから」


「うん、いいよ」


 ルナとシエルのモンスターのステータスはこんな感じ。


 名前:フィア Lv1

 種族:エルフ ♀

 HP:80

 物理攻撃力:2

 物理防御力:1

 魔法攻撃力:5

 魔法防御力:7

 素早さ:2

 SP:0


 <スキル☆>

『剣適性』『魔法適性』


『スラッシュLv1』


 名前:オルク Lv1

 種族:ゴブリン ♂

 HP:50

 物理攻撃力:3

 物理防御力:3

 魔法攻撃力:0

 魔法防御力:2

 素早さ:4

 SP:0


 <スキル☆>

『斧適性』


『スラッシュLv1』


「この『剣適性』とか『斧適性』って何?」


「武器の適性だよ。フィアは剣が使えてオルクは斧が使える。適性の無い武器は使えないってこと」


「それからフィアには『魔法適性』のスキルがあるけど、魔法スキルが無いから魔法は使えない」


 そうなるとフィアは魔法よりも物理面に適性のあるエルフになるのか。

 良い感じに前衛と後衛が分かれてると思ったけど、違ったな。

 オルクが前衛でフィアが後衛、ブランが素早さを活かして相手を掻き乱す的な戦いをイメージしてたんだけど。


 ステータスの確認を終えたオレたちはここを拠点にブランたちのLv上げをするので、近くの村へ行き、寝床を確保することにした。

 だが、ここで大きな問題が一つ。


 オレ、お金持ってない。


 ただ、お金を持っていないのはオレだけじゃなく、ルナとシエルも同じだった。

 例外はあるけど、家が特別裕福でも無い限り、お金を持って家を出るなんてこと無いらしい。

 そこで村へ行くまでの道中に金策をすることに。その方法はというと、


「モンスターを倒すと必ずクリスタルを落とすからそれを売ってブリーダーはお金を稼ぐの」


「クリスタルはモンスターを召喚する以外にも魔道具を動かす動力にもなるんだよ。あ、魔道具は……えっと……便利な道具だと思ってくれたら大丈夫!」


「それ以外にもクリスタルには使い道があるからそれなりの金額で買い取ってもらえるの」


 そうルナとシエルが教えてくれた。


「そういえば、オルフェウスってここに出現するモンスターが何か知ってる?」


「知らない」


「だよね」


 シエルが言うにはここはアラナの森。

 浅層にはスライム、奥に進むとゴブリン、深層には上位種のホブゴブリンが出現する。

 今のオレたちだとスライムと戦って金策をするのが無難みたいだ。


「そういえば、モンスターがもし倒されたらオレたちどうなるの?」


「ホントに何も覚えてないのね」


「普通のモンスターはモンスターしか襲わない。今まで人間を襲ったモンスターがいたって話は聞いたことないよ」


「あとHPが0になったモンスターはクリスタルに戻るけど、少ししたら再召喚できるわ」


 はあ、よかった。心底ホッとしたよ。

 これがもし、モンスターが人を襲うとかで死のリスクがあったらオレがブリーダーになるとか絶対に無理だった。


「キュイ、キュイキュイ」


 もしかして、オレの元気が無いと思って励ましてくれてるの?


「キュイキュイ」


 よしよし、ありがとな。


「キュイ〜」


 それからオレたちは金策の為にスライムを探した。


「いたわよ、スライム」


 目の前にはスライムが1体。ゲームでは序盤に登場する最弱モンスターの定番だが、リアルとか関係なく≪モンブリ≫初めての戦い。

 誰も声を出さず、モンスターたちも静かだった。ピリピリした空気が肌に刺さるようで、心なしか息が浅くなる。


 スライムがぷるぷると震え、体の中の液体がぽよんと波打つ。思った以上に生っぽい……


「フィア、『スラッシュ』!」


「ナイスだよ。ルナ、フィア」


 あれ?一撃って……スライム弱くね。

 え、あの緊張感なんだったの。

 マジで中学の時、校長先生が全校集会で土下座した時と同じくらい空気が重かったんだけど!


「この調子でどんどん倒すよ!スライムのクリスタルは大したお金にならないしね」


「ええ」


 その後、スライムを何体か倒したところで予定を変更する。


「このままだと効率が悪くてあまり稼げないからバラバラに行動するのはどう?」


「うん、ボクは賛成!スライムなら一撃だしね。オルフェウスは?」


「オレもそれでいいよ。ブランも暇してるし」


「キュイ……」


 現にブランはオレの腕の中で気持ちよさそうに寝てる。

 さっきまで頑張って起きようとしていたけど、暇すぎて睡魔に負けてしまった。


「日が沈み始める前にはここに戻る。いいわね?」


「うん、ボクは大丈夫」


「オレもたぶん大丈夫だ」


 時計が無いから正確な時間はわからんが、太陽の位置を常に把握しておけば、そろそろ日が沈むなくらいはわかると思う。

 ただちょっとだけ不安だからあんまり遠くには行かないようにしよう。


 この愛らしい寝顔を見せてくれてるブランを起こすのはちょっと心苦しいけど、これも無一文を脱却する為。許してブラン。あとで美味しいご飯を食べさせてやるから。


「キュイ……キュイ、キュイキュイ~」


 よしよし、いい子いい子。


 オレがブランを起こしている間にルナとシエルは既にフィアとオルクを連れてどこかへ行ったみたいで気づいたらオレとブランだけが残されていた。

 土地勘が無いので、迷子にならない程度にスライムを探しに行こうと思った矢先、直ぐ近くの草むらからスライムが出てきた。


「キュイ!」


 それを見たブランは颯爽とオレの腕から飛び出した。


 プルプル


 うん、遅い。


「ブラン、『つつく』!」


「キュイ」


 小さな体を目一杯に使って、角を前に突っ込むブランの姿は、ちょっとだけ勇ましく見えた。


 あ、やっぱり一撃か。スライム弱いな。

 さっきまで睡魔と戦ってたからスライムと戦うのはこれが初めてだけど、心配はいらなかったな。


「キュイ、キュイ」


 うんうん、勝って嬉しいよな。

 でも、一々甘えに来なくていいんだよ。


「キュイ?」


 あ、やっぱり可愛いから積極的に来ていいよ。


「キュイ~」


 サワサワ、サワサワ


 ……草むらがさっきより揺れてる?いや、スライムにしては大きい気が……


「ゴブ?ゴブゴブ!」


「キュイ!」


 うわっ!スライムじゃなくてゴブリン!?

 ルナとシエルの話じゃ奥に進まない限り、遭遇しない筈でしょ。

 何でこんな所にいるの!

 どうする?ここは逃げるのも……

 いや、もう無理だ。

 こうなったら目の前にいるゴブリンを倒すしかない。

次回、『VSゴブリン』に続く

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