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《モンブリ》~進化のたびに広がる、オレとモンスターの世界~  作者: 夕幕
第1章 アルカディア王立学園 1年生編
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第29話 召喚陣について

「どうやら何事も無く、召喚を終えることができたようですね。ベルナデッタ、ありがとうございます。戻って下さい」


「えっと今、何かあったんですか?普通にモンスターを召喚しただけですよね?」


「これは失礼しました。まだ授業で教えてませんので、召喚陣についてご存知ありませんでしたね。お二人がクリスタルを使われた際、魔方陣のようなものが出現しました。あれは厳密には魔方陣とは似て非なるもの。私たちは召喚陣と呼んでいます」


「それって何か問題でもあるんですか?フォルリオ先生、かなり慌ててましたし」


「召喚陣の召喚は通常とは異なり、戦闘に発展するケースが多い。このように狭い空間で強力なモンスターが暴れたらどうなるか想像できますよね?」


 ここでモンスターが暴れる。

 そんなの当然、会議室が滅茶苦茶になって……

 あ、建物そのものが倒壊するかも。


「モンスターが人を襲うことはありません。ですが、モンスターが戦ったことによる二次被害が原因で人が亡くなることはあります。その為、モンスターの召喚は開けた空間で行うのが一般的ですが、今回は私の立ち会いの下、許可をした形になります」


「ほら、最初にモンスターを召喚した講習会もそうだったでしょ?あの時も監督官が一人いて、場所も開けた空間だった」


「あ、言われてみるとそうだった気がする。でも、ネメシスの時はダンジョン内で勝手に召喚したけど、あれって……」


「それは何も問題ありません。これまでの研究で自分たちの力で倒したモンスターを召喚する時に召喚陣が出ることは無いと結論付けられています。現状、召喚陣が出現する可能性があるのは他者からクリスタルをもらう、または購入し召喚した場合のみです」


「なるほど。勉強になります」


 ルナは当然のように知ってた感あるな。

 シエルは……どうだろう?

 未だにブランを片手にウィルだっけ?をもふもふしてるよ。


 その後、フォルリオ先生はルナが提出したクリスタルをどこかへ持って行った。

 オレたちは新しくモンスターを召喚したからモンスター管理棟で登録した。

 今日はそれで解散となり、明日からはルシウスとウィルのLv上げをすることに。

 ちょっと遠回りになるけど、2体のLv上げを行い、進化させてから『機生の工場跡地』の調査に取りかかる。


「キュイ、キュイ、キュイー」スポッ


 シエルとウィルに挟まれて身動きが取れなくなっていたブランが苦労の末、抜け出すことに成功し、オレの所までやって来る。


「キュイキュイ」


「はいはい、抱っこね」


「キュイ〜」


「はぁ〜もふもふ〜」


 シエルはブランがいなくなってもウィルをもふもふし続けていた。

 このままだと永遠とこの場でウィルをもふもふしてそうだし、どうにかして現実に引き戻さないと。

 そう考えていた矢先のことだった。


「オルフェウス、ブランをちょっと借りるわよ」


「え、いいけど、何するの?」


「それは見てのお楽しみ」


 そう言ってブランを連れて行くルナ。

 向かう先はウィルをもふもふしているシエルの下。


「ブラン、少しだけ大人しくしててね」


「キュイ?」


 制服のスカートのポケットから何やら小さな容器を取り出し、それの蓋を開けるルナ。

 そしてブランの目にポトンと何か垂らす。

 もう片方の目にも垂らし、まるでブランが涙を流しているかのように見える。


「ちょっとの間、このままでいてね」


「キュイ」コク


 そしてブランを抱き抱えてシエルの下へ行き、スっとブランをシエルに近づける。


「もふも……ブランちゃん!?どうしたの?ルナに嫌なことされた?」


「キュイ?」


 シュッ!サッ!


「もう大丈夫だからね。泣かないで」


 サッ!


「さてとシエルが戻って来たことだし、今日は帰りましょう」


 そう言ってルナはシエルから奪い返したブランの涙?をハンカチで拭ってオレに返してくれた。


「ブラン、ごめんね。大丈夫だった?」


「キュイ!」


「そう、なら良かったわ」


「ルナ、今ブランの目に何を垂らしたの?」


「モンスター専用の目薬。あ、目薬と言っても目の健康剤みたいなものよ。だから健康な子が使っても問題ないの」


「あ、そうなのね」


 何でそんなものを持っているのか聞かなくてもわかっちゃうのは何でかな。

 世の中、不思議なこともあるんだな。


「さ、ウィルをルームに入れて帰るわよ」


「えー、まだもふもふし足りないのに……」


「何か言った?」


「ウィル、少しの間ルームに入って」


「クゥーン」


「よし、帰ろう!」


 ルナの放った謎の圧によってシエルの態度は急変。

 まだここでウィルをもふもふするという確固たる意志が一瞬にして霧散した。


 さすがルナ。シエルの扱いは手慣れてるね。


 翌日、ブリーダー基礎学の授業の冒頭でフォルリオ先生から召喚陣に関する説明があった。

 昨日の一件が関係していると思われる。

 それから前回の続きを行うことに。


「実力のあるブリーダーは人類不可侵領域、魔境に挑戦することがあると話しました。魔境は国王陛下に認められた限られたブリーダーしか入ることを許されていません。その為、その全貌もまた王族と許可を得たブリーダーしか知りません。もし、魔境について知りたいと思うなら強くなって実力を認めていただくことです」


 なるほど。やっぱりエンドコンテンツっぽいね。

 詳しい事は何もわからないけど、何かしらのストーリーで国王に実力を認めてもらい、魔境に挑戦する感じかな。

 オレたちがそこまで辿り着けるのかはわからないけど、最終的な目標はそこかな。

 いつか必ず国王に実力を認めてもらえるようなブリーダーになる。


「次に教育型ブリーダーについて説明します。前提として一つ覚えて欲しいのは学園を卒業し、直ぐに学園教師になることはありません。先ずは育成型か研究型になります。そして実力、実績を学園長に評価されたらスカウトが来ます。それを受け、試験に合格すれば晴れて教育型ブリーダーになれます」


 へえ、そういう感じなんだ。

 元いた世界だと教員になるには教員免許が必要だったけど、この世界はちょっと違うな。

 でも、試験を受けて合格すればなれる仕組み自体はかなり似てる気がする。


「学園教師にはなれませんが、王国専属のトレーナー見習いならなれます。こちらは必ず見習いを一定期間経験します。一定期間が過ぎると昇格試験を受けることができ、受かれば見習いを卒業できます」


 なるほど。学園の教師は実力、経験と豊富な即戦力を求めているけど、王国専属のトレーナーは一からしっかりと教育してもらえるのか。

 でも、王国専属のトレーナーって普段は何をしてるんだろ。

 ブリーダーの教育とか?いや、それなら学園でこうして学んでいる意味あるの?って話になるか。


「では、次に王国専属のトレーナーの仕事についてお話ししましょう。端的に言いますとブリーダーが関与する事件の捜査などを行っています。警邏部隊と役割が似ていますが、こちらはモンスターが関わっていない事件の捜査。モンスターが少しでも関与している可能性があれば、トレーナーが捜査します」


 つまり、モンスターが関わっている事件を専門に取り扱っている警察組織だね。

次回、『秘密道場』に続く

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