第24話 進化
え、何これ?確か天の声だったよね。
ネメシスがLv20で進化するのはわかるけど、進化ルートって何?
自動的に進化するとかじゃないの?
「どうかしたの?」
「え、あ、えっと、ネメシスがLv20になったんだけど、これどうしたらいいの?」
「そっか。フィアが今、Lv19だから1高かったネメシスはLv20に至っててもおかしくないか。確かネメシスのステータス画面の種族欄をタッチすると進化先の選択肢が出たと思うわ」
「ありがとう。確認してみる」
ルナの言う通り、ネメシスのステータス画面を見ると種族欄が点滅していた。
ここをタッチするのか。
今まで見るだけでタッチとかしたこと無かったけど、触れるんだな。
今、初めて知ったよ。
……両手でブランを抱き抱えてるからステータス画面をタッチできない。
「キュイ?」
「シエル、少しだけブランを預かってもらえないかな?」
サッ!シュッ!
「いいよ~」
おかしいな。「いいよ~」って返事が返ってくる頃には既にブランはシエルの腕の中にいた気が……
普通は逆の気がするけど、見間違いかな?
「キュイ!キュイキュイ!」
「はーい、ブランちゃんはいい子だからここで大人しくしてようね」
「キュイ~」
さてとブランはシエルに預けたことだし、これでステータス画面をタッチできる。
・リヴィングソルジャー
ステータスは全体的にバランスが良い
闇属性への適性を持ち、デバフや状態異常を付与する攻撃を可能とする
・ゾンビソルジャー
ステータスは攻撃力が高いが、それ以外は低く、特に防御力は吹けば飛ぶ
闇属性への適性を持つ
表示された進化ルートは二つ。
これどう考えてもリヴィングソルジャーの方が良いと思うけど、ネメシスも確認しておくか。
「一応確認するけど、ネメシスはどっちがいいかな?」
「リヴィングソルジャーでお願いします」
「りょーかい。そうするね」
ということでネメシスの進化先はリヴィングソルジャーで決定。
〖リヴィングソルジャーでよろしいですか?〗
"はい"と"いいえ"の二つの選択肢が目の前に出る。
何も問題無いから"はい"を選択する。
するとネメシスが光り輝く球体に覆われる。
進化が始まったってことかな?
「キュイ~!!」
ブランの目がすごく輝いてる。
気持ちはわかるかも。すごく綺麗で神秘的な光景だし。
暗かった炭鉱内が明るく照らされて、やがて球体は霧散し、光の粒子になって散った。
肝心のネメシスはというと、装備していた剣の見た目が少しだけ黒くなり、部分的に鎧を身に纏っている。
ステータスはこんな感じ。
名前:ネメシス Lv1(20)
種族:リヴィングソルジャー ♀
HP:540→660(+100)
物理攻撃力:26→32(+5)
物理防御力:29→35(+4)
魔法攻撃力:0
魔法防御力:25→31(+6)
素早さ:27→33(+4)
SP:19→0
<スキル☆>
『剣適性』『二刀適性』『闇適性』
『二刀・受け流し』
『ダークスラッシュLv4→5』『ガードスラッシュLv4』
<スキル☆☆>
『デバフ付与攻撃』new『状態異常付与攻撃』new
『飛閃Lv2→3』『クロススラッシュLv1』new
※Lv横の()は累計Lv
幾つか新たにスキルを取得したけど、『デバフ付与攻撃』と『状態異常付与攻撃』って常時発動している類いのスキルかな?
ネメシスに確認してもまだ感覚を掴めてなく、わからないと返ってきた。
どうしたらいいかなと考えていたらオレとネメシスの話を聞いていたルナが教えてくれた。
「それならステータス画面の確認したいスキルをタッチすれば、わかるわよ」
ということで試してみる。
『デバフ付与攻撃』 常時発動型
スキルの発動有無に関わらず、全ての攻撃に効果が付与されており、相手に当たるとデバフを付与でき、攻撃を当てた数だけ悪化させられる
付与できるデバフは攻撃力、防御力、素早さの三つの内一つ
どのデバフを付与するかは事前に設定し、決める必要がある
設定していないとランダムで一つ付与される
『状態異常付与攻撃』 常時発動型
スキルの発動有無に関わらず、全ての攻撃に効果が付与されており、相手に当たると状態異常を付与でき、攻撃を当てた数だけ悪化させられる
付与できる状態異常は猛毒、疫病、盲目の三つの内一つ
どの状態異常を付与するかは事前に設定し、決める必要がある
設定していないとランダムで一つ付与される
※猛毒は相手のHPを毎秒削る効果がある
※疫病は相手の身体の状態を悪化させ、動きを鈍らせる効果がある
※盲目は一定時間、相手の視界を暗闇にする効果がある
うん、すごく強いスキルだと理解したよ。
これでまだ☆☆のスキルか。
☆の数が増えると一度に付与できるデバフや状態異常の数というか種類が増えるのかな。
オレが知ってるモンスター育成のゲームだと状態異常に睡眠に麻痺、混乱とあったけど、リアルでそれが使えたらただのチートか。
いや、一定時間の盲目もか。これは効果時間にもよるけど。
オレはネメシスと話し合って、デバフは防御力、状態異常は猛毒で設定した。
理由は当然、ゴーレムの物理防御力が高くてなかなかダメージを与えられないからだ。
それから進化してステータスも上がったネメシスがどれだけ強くなったのか、デバフと状態異常の効果を確かめる為にゴーレムを探した。
ついでにさっき奇襲された理由も探ってる。
少し進むと再びゴーレムに奇襲を受けるが、今度は珍しく歩いていたブランの女の勘?が働いて回避に成功。
ネメシスを中心に金属音を響かせてブランの反感を買わないように攻撃する。
デバフと状態異常の効果が大きいのかさっきよりも随分と楽に倒せた気がする。
ブランの通常攻撃のペチペチ蹴りでも目に見えるくらいにはダメージを与えられた。
それからゴーレムに奇襲される理由もわかった。
どうやら壁に擬態していたみたいで、オレたちが近くを通ると擬態を止めて攻撃してくる。
奇襲の原因も明らかになり、安心して前に進める。
何体目か数えてないけど、目の前にいるゴーレムを倒した所でブランたちのLvが20になった。
〖ブランがLv20に到達しました。進化します。進化ルートを選択して下さい〗
・ジャッカロープ
全体的にステータスはバランスが良いが、魔法防御力がやや低く、素早さが高い
「キュイキュイ」
「主様、ブランも見たいと言ってます」
「いいけど、落ち込まないでね」
「キュイ?……キュイ!?キュイ、キュイキュイ!」
はぁ、こうなる気はしてたよ。
直前に進化したネメシスには選択肢があってブランにはそれが無い。
どうにかしてブランを慰めないと。
「……主様、これ、これがいい!と言ってます」
あ、うん、思ってたよりも単純な子だったかも。
オレはブランの希望通り、ジャッカロープを選択する。
進化を果たしたブランはネメシスとは違って、見た目の変化ゼロだと思う。
もしかしたら細かいとこで何か変わってるかもだけど、正直わからない。
同じタイミングでフィアとオルクも進化したみたいだし、ここでネメシス以外のステータスを確認する。
名前:ブラン Lv1(20)
種族:ジャッカロープ ♀
HP:430→540
物理攻撃力:24→32(+8)
物理防御力:23→30
魔法攻撃力:0
魔法防御力:20→24
素早さ:27→36(+11)
SP:19→0
<スキル☆☆>
『ダブルアタックLv1→2』『ダブルペックLv1』new
『ジェットアタックLv3→4』『ジェットペックLv3→4』
『体当たりLv5』+『つつくLv5』→『一角突きLv1』new
名前:フィア Lv1(20)
種族:ハイエルフ ♀
HP:460→610
物理攻撃力:21→25(+5)
物理防御力:20→25(+5)
魔法攻撃力:24→34
魔法防御力:26→36
素早さ:21→24(+9)
SP:19→0
<スキル☆>
『剣適性』『魔法適性』『風適性』new
『スラッシュLv6』
<スキル☆☆>
『ソニックスラッシュLv3→4』『ソニックスラストLv1→3』
『チャージスラッシュLv3→4』
『ウインドカッターLv1』new『ウインドボールLv1』new
名前:オルク Lv1(20)
種族:ホブゴブリン ♂
HP:430→550
物理攻撃力:22→29(+10)
物理防御力:22→29
魔法攻撃力:0
魔法防御力:21→26
素早さ:23→30(+9)
SP:19→0
<スキル☆>
『斧適性』
『スラッシュLv6』
<スキル☆☆>
『スタンアックスLv3→4』『スマッシュブレイクLv1→3』
『アックスハンマーLv3→4』
『アックスクラッシュLv1』new『パワーブレイクLv1』new
この後、ルナから種族によっては進化ルートが少ない場合があると教えてもらった。
次回、『ダンジョンの地図を求めて』に続く