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《モンブリ》~進化のたびに広がる、オレとモンスターの世界~  作者: 夕幕
第1章 アルカディア王立学園 1年生編
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第21話 作戦会議

 翌日、シエルの下でお泊まりを楽しんだであろうブランはスヤスヤと授業中は寝ていた。

 この光景を見ると自然と安心しちゃうのは何でかな。


 授業が終わるとキュイキュイ~と起きたブランを抱き抱えてオレたちは『子豚の草原』へと向かった。

 昨日は何も調査できなかったからその分、今日頑張ろうと思っていた矢先、ブランがキュイキュイ!と隠しエリアへ繋がっているであろう地下への階段を見つけた。


「こんな所に……ダンジョンボスがいるボス部屋の更に奥とはね」


「普通、ボス部屋の奥なんて行かないよ。ブランちゃん、よくわかったね」


「キュイキュイ~!」


 うん、ブランは本当にすごいよ。『亡者の墓場』の時もだけど、何でわかるんだろ。

 やっぱり天性の感ってやつなのかな。


 階段を下って隠しエリアに入ると何一つ変わらない光景が目に入った。

 辺り一面草原が広がっている。

 階段を下った先にこんな場所があるなんて想像できなかった。


「主様、お気をつけ下さい。このエリアには上とは別の強力なモンスターの気配を感じます」


「え?気配!?そんなのわかるの?」


「はい。どこにいるかはわかりませんが、なんとなくでしたら。ブランが隠しエリアを見つけられるのと同じ道理です」


 えぇ、同じ道理……

 そう言われてもちょっとわからないよ。

 でも、ブランとネメシスが頼りになるってことはわかった。


「まだ時間に余裕はあるし、ここに出現するモンスターくらいは調査しましょ」


 ということで手探り状態で調べて回ることに。

 その甲斐あってここに出現するモンスターがスモールピグではなく、アングリーピグだと判明した。

 正直、ネメシスがここに来て直ぐに警戒を促すから強いと思っていた。

 しかし、実際に戦ってみるとそこまで強くなかった。

 いや、確かにスモールピグと比較したら強かったよ。

 ただ、戦い方がすごく単調で猪突猛進。

 真っ直ぐ突進するしか脳が無かった。

 だからアングリーピグとの戦闘はただの作業みたいな感じだった。


 その後、ブランがキュイキュイ!と急に声を上げる。

 ネメシスに通訳してもらうと「あっちに行こ!」と言ってたらしい。

 この隠しエリアを見つけたのもブランだし、他の当ても無いので、ブランの行きたい方向へ行ってみる。

 するとその先にボス部屋らしき場所を発見する。

 上の通常エリアと同じダンジョンゲートに似たものがポツンと存在する。


「主様、間違いありません。この先にいるモンスターはマザーピグよりも遙かに強いです。しっかりとした作戦を立てるべきかと」


 ネメシスがそこまで言うのか。

 上でマザーピグと戦う時はそういう話をしなかった。

 つまり、ネメシス的にマザーピグは大した敵じゃなかったということだ。


「うん、ありがとうネメシス。そうさせてもらうよ」


 ボス部屋に入る前にルナとシエルを交えて、作戦を考えた。

 ここまで出現したモンスターの傾向からボスモンスターは恐らく、物理に特化した豚だと思われる。

 だけど、隠しエリアのボスモンスターだ。

 もしかしたら物理よりも魔法に長けている可能性もある。

 だからその両方の可能性を視野に入れて作戦を考える。


 まずは物理特化の場合。


「誰かが攻撃を引き受けて、その隙に他のモンスターが攻撃ってできないかな?」


「ああ、タンクを擁立するって話だね。ボク的にはヘイトを稼ぐ類いのスキルを誰も持ってないし、厳しいかな。それに防御に特化したモンスターだっていないし」


 うーん、確かにシエルの言う通りの気がする。

 安定して攻撃を引き受けるのはちょっと無理があるかな。

 でも、それができるとできないで全然違うと思うんだよな。


「ネメシス、一ついいかしら?」


「はい」


「あなたならスキルが無くてもヘイトを稼いで維持し続けるってできる?」


「相手次第ではありますが、できます。ですが、相手によってはできませんので、あまり当てにされても……」


「それならできる範囲で構わないわ。お願いできないかしら?」


「主様の了承がいただけるのでしたら何も問題ありません」


「うん、オレは大丈夫。無理しない範囲でお願いね」


「承知しました」


 物理特化ならネメシスがタンクとして攻撃を引き受ける。

 回復とかはできないけど、ネメシスなら受け流したりして上手くやってくれると思う。

 問題は魔法特化の場合だ。

 ネメシスがどれだけ凄くても魔法を受け流すのはさすがに無理だ。

 たぶん。……もしかして、ネメシスの『二刀・受け流し』ならできたりするのかな?

 念のために確認だけしておこう。


「一応、確認するけど、ネメシスって魔法を受け流すとかはできないよね?」


「申し訳ございません。剣で受け流す特性上、物理攻撃を受け流すことしかできません」


「いや、そんな気にしなくていいよ。念のための確認だから」


 その後、いろいろと話し合った結果、魔法特化の場合は回避に専念しつつ攻撃できそうな時は積極的にとなった。

 要は行き当たりばったりの作戦。

 その為、物理特化だとありがたいなと祈りつつ、ボス部屋へと入る。


 中にいたのはスモールピグやアングリーピグより大きいけど、マザーピグより小さいファザーピグというモンスターだった。


「ブヒー」


「キュイ!?キュイキュイ」


 スッ


「キュイ?」


「ブラン、相手の挑発に乗ってはいけません」


 ファザーピグが何て言ったのかはわからないけど、挑発されてたみたい。

 ブランがそれに思いっ切り反応してたけど、ネメシスが剣でブランを止めてくれて助かった。

 いきなり作戦が崩壊するとこだったよ。

 ていうか、ブランはちゃんと作戦を聞いてたのかな?


 まずはファザーピグが物理と魔法どっちかを見極めないと。

 それがわからないと動きづらいな。


 お互いに何も動きを見せないままただ時間だけが過ぎる。

 ファザーピグは自分から動く気がなく、待ちの姿勢だ。

 こうなると我慢比べとなるが、それにはあまり向いていない子がいる。


「キュイキュイ?」


「ダメです。主様を困らせるだけですよ」


「キュイ……」


 うん、そろそろブランが限界だね。

 でも、どうしたら……


「もしかして、ファザーピグは動かないんじゃなくて動けないんじゃ」


「え、シエル、どうしてそう思うの?」


「だって、魔法に限らず遠距離攻撃の術があったらボクならもう使ってるよ」


「「っ!?」」


 言われてみると確かに。

 オレでも相手が攻めてこないなら速攻で遠距離攻撃を選択する。

 今、それをしないのは遠距離攻撃がネメシスの『飛閃』しか無くて貴重だから。

 ん?貴重……


「ちょっと待って。使えないじゃなくて温存してる可能性は?例えば、ネメシスの『飛閃』みたいに遠距離攻撃スキルが一つしか無いとか」


「無いって短絡的に考えるよりそっちの方が良さそうね」


「うん、その前提で基本は物理特化パターンだね!」


 よし、作戦は決まった。


「ブラン、ネメシス、話は聞いてた?」


「はい。問題ありません」


「キュイ?」


「ブラン、パターン1ですよ。あと遠距離攻撃の警戒は怠らないようにです」


「キュイキュイ!」


 なんかオレが知らない間にブランとネメシスで作戦がパターン1とかで伝わるようになってる。

 てか、ブラン、今の話何も聞いてなかったの?

次回、『ファザーへの反逆』に続く

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