表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《モンブリ》~進化のたびに広がる、オレとモンスターの世界~  作者: 夕幕
第1章 アルカディア王立学園 1年生編
18/120

第18話 マザーへの反抗

 ネメシスってやっぱり強い。

 でも、ちょっとイメージしてた戦い方とは違ったな。

 思ってたよりも攻撃的だったというか……


「主様、戦闘において選択肢が無数に存在します。ですが、実際には焦りや視野の狭さなどから無意識に選択肢が狭まってしまいます。今回の主様たちは敵が弱いという先入観から戦い方そのものが雑になっていました」


 選択肢は無数にある。

 攻めるか守るかもだけど、どう攻めるか、どう守るか。

 どのタイミングで動くか、それとも動かずに待つか。

 大雑把だけど、ネメシスが言いたいのはこういうことだよね。

 さっきのオレたちは先手を取って攻めるしか選択肢が無かった。


 ネメシスの言う通りだ。

 フォルリオ先生から受け取った情報にスモールピグは弱いとあったからさっさと倒して調査しなきゃって考えてた。

 ああ、まだまだだな。

 ……ふう、よし!気持ちは切り替えた。


「キュイ、キュイキュイ」


「ブランにさっきの私と同じ戦い方はできませんよ。ブランには遠距離攻撃の術がありませんから」


「キュイ!?キュイィ……」


「そんなに気落ちしないで下さい。『ジェットアタック』や『ジェットペック』といった高速攻撃、『ダブルアタック』のように高い攻撃力のスキルがあるではありませんか」


「キュイ?」


「私には無い強みがブランにはあります。それをどう活かすかは主様を交えてまたお話ししましょう」


「キュイ!」


 ブランはブラシと鏡効果が出てるね。

 このままネメシスと良い感じの関係性を築いてくれると嬉しいな。

 ん?ああ、抱っこして欲しいのね。

 オレの腕の中がもうすっかりブランの定位置だね。

 ダンジョン内でくらい自分で歩いてもいいんだよ。


「なるほどね。勉強になるわ」


「うんうん」


 それからルナとシエルもフィアとオルクを交えてネメシスにいろいろと質問していった。

 それが一段落した所で『子豚の草原』の調査を再開した。


 最初に決めた予定通り、オレたちはダンジョンボスがボス部屋を目指して進む。

 その道中、再びスモールピグが出現したが、ネメシスの言葉を思い出し、いろいろと試行錯誤しながら戦った。

 すると最初に戦った時、攻撃が全然当たらなかったのが嘘のように当たって、簡単に倒せた。

 こうしてオレたちはダンジョンボスがいるボス部屋まで辿り着いた。


『亡者の墓場』の隠しエリアにあったボス部屋は重厚な扉によって入口が閉ざされていたけど、ここは全く違う。

 ダンジョンの入口にあるゲートと同じものが草原の中にポツンとある

 すごい違和感のある光景だね。


 ルナとシエルはこの後どうするかを検討中。


「ダンジョンボスと戦うのもありだけど、目的は調査だし……」


「うーん、時間的にダンジョンボス戦なら大丈夫かな。でも、調査ってなると厳しいか」


 ちなみにオレは甘えん坊を可愛がってるとこ。


「キュイキュイ!」


 よしよし、いい子だからネメシスと一緒に静かに待とうね。


 よし、これでオレもルナとシエルに合流してこの後、どうするかを考えられる。


 寮には門限が設定されていて、その時間まであと1時間とちょっと。

 このLv帯のボス戦は平均で30分程度。

 これは以前、図書館で調べた情報だ。

 ルナとシエルも当然、それを知っているようでどうするか悩んでいる。

 まあ、オレもだけど。


「迷ってる時間がもったいないし、とりあえず挑戦しない?今から手当り次第に調査しても大した進展は無いだろうし」


「そうね。そうしましょう」


 ダンジョンボスの名前はマザーピグ。

 ここまで出現したスモールピグよりもかなり大きい。

 フォルリオ先生から受け取ったダンジョンボスに関する情報はこれだけだった。

 うーん、攻撃方法とかも書いてあったら助かったけど、そんなに甘くないよね。

 まあ、ダンジョンの攻略じゃなくて調査が目的だから自然とダンジョンボスの情報は少なくなるか。


 全体で共有するような情報は何一つ無かったので、必要最低限、連携面の確認だけしてボス部屋に入る。

 中には全長が最低でも4、5メートルはありそうな巨大豚がいた。

 これだけ大きいと謎に迫力がある。


「プピ――――!!」


「っ!?みんな散って!」


 オレたちがボス部屋に入った直後、一目散に突っ込んで来た。

 まさか入って直ぐに戦闘開始するとは思ってなかったオレは反応が遅れてブランとネメシスに何も指示を出せなかった。

 でも、ルナのおかげでみんな回避に成功した。


 よし、とりあえず落ち着こう。

 焦りは視野を狭くし、選択肢を狭めることに繋がる。

 さっきネメシスに教わったばかり。

 今、ブランたちは咄嗟の回避でバラバラになっている状態。

 まずはみんな合流するべき……

 いや、マザーピグの攻撃を回避しながらの合流はリスクが高いか。


 なら、このまま戦おう。

 連携面の不安は拭えないけど、それがベストだと思う。


「プピ――――!!」


 あの勢いのままUターンするの!?

 しかも狙いはブランか。

 ネメシスはブランのフォローに動こうとしているけど、ちょっと距離がある。

 たぶん、いや、間違いなく間に合わない。


「フィア、『ソニックスラスト』でマザーピグの脇腹を抉って!」


「それならブランはマザーピグをギリギリまで引きつけて!ネメシスは今の内に距離を詰めていつでも攻撃できるように!」


「オルク、フィアの反対側から『スラッシュ』!」


 ブラン目掛けて突進するマザーピグの両脇腹をフィアをオルクの攻撃が抉った。

 これよって突進を中断し、左右で武器を構えているフィアとオルクを警戒する。

 特にフィアを警戒しているように見える。

 ソニックスラストによる高速突きがそれだけ効いているってことだ。


「よし、今だネメシス!『飛閃』!」


 マザーピグの意識から完全にネメシスが消えている今なら確実に『飛閃』が決まる。


「プピー!?」


「ブラン、『ダブルアタック』!」


「キュイ、キュイ!」


「プピプピ!!」


 うん、いいダメージ。☆☆のスキルなだけあって『飛閃』と『ダブルアタック』は与えるダメージ量が多いな。

 だけど、後に攻撃したブランがマザーピグのヘイトを買ってるな。

 フィアとオルク、それにネメシスに目もくれず、ブランへと突っ込んで行く。

 どうしようか……あ、そうだ。この手でいこう!


「ブラン、ギリギリまで引きつけてから『ジェットアタック』で右に逃げて」


「キュイ?……キュイ!」


 そうそうその調子。ちゃんとオレの考えを理解してくれたみたいだね。

 そのまま真っ直ぐでいいよ。そしたらそこにネメシスがいるから。


「ネメシス、『二刀・受け流し』から『ダークスラッシュ』!ブランは左に回り込んで『ジェットペック』!フィアとオルクがいる方にマザーピグを吹っ飛ばして!」


「ナイス!フィア、『チャージスラッシュ』!」


「オルク、『スタンアックス』!」


 よし、上手くいった。

 マザーピグの巨体を吹き飛ばせるか不安だったけど、ネメシスとブランが上手くやってくれた。

 今の猛攻でマザーピグのHPもだいぶ削れた。

 残りは4割ほど。これならいける!


 それから程なくしてマザーピグのHPを削り切った。

 攻撃手段が突進ばかりで単調だった分、かなり戦いやすかった。

 一応、突進以外にも踏みつけや鼻息のような遠距離攻撃もあったけど、なんとかなった。


 たぶんだけど、『亡者の墓場』でこちらの攻撃を受け流したり、カウンターを狙って来たりとかなり高い技術を誇るモンスターと戦ったからマザーピグの攻撃が単調に感じたんだろうな。

次回、『ブランちゃんの為なら』に続く

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ