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《モンブリ》~進化のたびに広がる、オレとモンスターの世界~  作者: 夕幕
第1章 アルカディア王立学園 1年生編
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第16話 学園クエスト

 キーンコーンカーンコーン


「本日の授業はこれにて終了とします。オルフェウスくん、ルナさん、シエルさんの三人はこの後、職員室まで来て下さい」


 そう言ってフォルリオ先生は足早に教室を立ち去った。


「キュイキュィ……キュイ?」ピクピク


「おはよう、ブラン。よく寝られた?」


「キュイ!」


 ブリーダー基礎学が終わって次の授業以降も終始寝ていたブランだけど、終わると自然と起きていた。

 そして直ぐにシエルがやって来て寝起きのブランを可愛がっていた。

 週にたったの2回しかお泊まりに来ないのだから休み時間は存分に愛でないと気が済まないらしい。


「ブランちゃん、はぁ~可愛い~」


「キュイキュイ~」


「オルフェウス、私たち何で職員室に呼ばれたと思う?」


「うーん、やっぱり昨日の『亡者の墓場』の隠しエリアを発見したことと関係あるんじゃないかな」


「でも、わかってる事は全部スマホで伝えたけど……」


 結局、行ってみないと要件はわからないという結論に至った。

 その為、自分の世界に入っているシエルからルナがブランを奪い取り、三人一緒に職員室に向かう。

 ブランはというといつもの事ながらオレの腕の中にちゃっかり収まっている。

 それもあってシエルからの圧というか視線が痛い。


「むー」


「……」


「むー」


「シエル、少しは落ち着いてよね」


「だって……」


「だってじゃない」


「……はい」


 コンコンコン


「失礼します。1年C組のルナです。フォルリオ先生に呼ばれて来ました」


「申し訳ございませんが、こちらで待っていただいてもよろしいですか?急ぎの案件を抱えてしまいまして」


「はい」


 ルナの後に続く形でオレとシエルは忙しそうにしているフォルリオ先生の下まで行く。

 待つこと数分でフォルリオ先生は急ぎの案件とやらを終わらせ、オレたちをここに呼んだ理由を話す。


「お待たせして申し訳ございません。お呼びしたのは先日、発見された『亡者の墓場』の隠しエリアについて直接お伺いする為です」


 やっぱり。


「それに関しては先日、スマホで詳細をお送りしたと思いますが」


「……ふむ、ここでは他の生徒に聞かれる可能性がありますし場所を変えましょう。着いて来て下さい」


 フォルリオ先生は何か思案する様子を見せてから場所を移す事を提案してきた。

 正直、このまま職員室の中で立ち話は気まづかったので、場所を移すのはありがたい。

 ただ、それならそうと最初から別の場所に呼んでくれたらよかったのに。


 オレたちがフォルリオ先生に案内されたのは会議室だった。

 そのまま促されるままに手前の席にオレたちが座り、奥の席にフォルリオ先生が座った。


「早速、本題に入らせていただきます。オルフェウスくん、ルナさん、シエルさんの三人に学園クエストが発行されています」


「学園クエスト?」


「「学園クエスト!?」」


「キュイィ!?」


 ほーら、よしよーし、なでなで。

 いい子だから静かにしてようね。


 ……よし、静かになった。

 これでフォルリオ先生の話に集中できるけど、学園クエストって何だろう?

 ルナとシエルは何か知ってるのかな?

 なんかすごい反応してたけど。


「その様子では、オルフェウスくんは学園クエストをご存知ないようですね。先ずはその説明からしましょう」


「すみません、お願いします」


「学園クエストとは、学園側からの特定の生徒に対する何かしらの依頼を示します。今回は、オルフェウスくん、ルナさん、シエルさんの三人が対象となっています」


 要は学園からの指名依頼だね。

 へぇ、そんなのあるんだ……

 ん?学園から指名依頼?

 まだオレたち入学して1日しか経ってないけど。

 あ、だからルナとシエルがあの反応だったのか。


「何かわからない点はありますか?」


「あ、大丈夫です」


「では、学園クエストの詳細をお伝えしましょう。三人への依頼内容は学園が指定する三つのダンジョンの調査です」


「調査ですか?」


「はい。今回、調査対象となっているダンジョンには『亡者の墓場』同様に未発見の隠しエリアが存在すると思われますが、未だに発見には至っておりません」


 え、それってちょっと変じゃない?

 だってフォルリオ先生の話を聞く限り、未発見の隠しエリアが無いか調査ってことでしょ。

 ここまでは百歩譲って理解できるけど、未発見の隠しエリアが存在する前提で話をしてない?

 その存在が知られてないから未発見なわけで、存在が知られてたら未発見じゃなくない?


「ちょっと待って下さい。ダンジョン調査なら私たちじゃなくて先生方や上級生が行った方がいいと思います。何で私たちに依頼するのですか?それに何で隠しエリアがあると思われるのですか?」


「以前、とある研究員の方に学園内にあるダンジョンの調査をお願いした所、学園にある四つのダンジョンから異質なエネルギーが検知されました。直ぐに調査を行いましたが、何一つ手掛かりは掴めませんでした。そんな中、昨日その一つから隠しエリア発見されたと報告がありました」


「その一つが『亡者の墓場』だったという事ですか?」


「はい。ルナさん、貴方の仰る通りです」


 さすがにそこまで言われたら話の経緯は理解した。

 学園が調査しても手掛かり一つ掴めなかったけど、入学したその日にオレたちが隠しエリアを発見した。

 だから他の三つのダンジョンもって感じかな。

 それで入学したばかりのオレたちに学園クエストの話が来たと。


「報酬は4万ユルドともふもふモンスターのクリスタルの二つですが、如何でしょうか?」


「はい!ボクやります!」


「では、お願いします。調査対象となるダンジョンの詳細は今、三人のスマホに送りましたので、そちらを確認して下さい」


「「……」」


「はい!ありがとうございます!」


 シエルが了承したことでフォルリオ先生は自身のスマホを操作する。

 直後、オレたち三人のスマホの着信音が鳴る。

 きっとフォルリオ先生が言っていたダンジョンに関する詳細な情報でしょ。

 ていうか最後、よくわからない内に話が纏まったな。

 まあ、学園クエストを拒否する理由は無かったからいいけど。


「断る理由が無いから今回はいいけど、次からは一言相談してよね」


「あ、ごめん。つい……」


「とりあえず、これからどうするか考えない?調査対象のダンジョンは三つあるわけだし、どれから調査するかだけでも決めよ」


「そうね。スマホに送られてきた学園クエストの詳細によると期日は無いから時間を掛けてやれるけど、早く終わらせるに越したことないしね」


「あ、報酬のもふもふモンスターのクリスタルはボクがもらうからね!!4万ユルドはルナとオルフェウスの二人で分けていいから」


「わかってるから安心して」


「やった~」


 今回、調査対象となるダンジョンは『石工の炭鉱』、『子豚の草原』、『機生の工場跡地』の三つ。

 フォルリオ先生が送ってくれた情報によるとこの中で『機生の工場跡地』が最も攻略難易度が高く、攻略推奨Lvが20を超えている。

『石工の炭鉱』と『子豚の草原』は共に攻略推奨Lvは15と『機生の工場跡地』に比べると低く、今のオレたちでも頑張れば攻略もできそう。

 ただ、今回の目的は攻略じゃなくて調査。

 ただダンジョンを攻略するよりもこっちの方が大変だと思う。

次回、『強さの秘訣』に続く

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