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《モンブリ》~進化のたびに広がる、オレとモンスターの世界~  作者: 夕幕
第1章 アルカディア王立学園 1年生編
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第13話 もう!まったくもう!

 え、ネメシス強っ!全ステータス20を超えてる。

 正直、今はどのステータスにSPを割り振るべきかわからない。

 どれに振っても強くなりそう……

 そこでネメシスとも相談の上でバランス良く割り振った。

 てか、ブランとネメシスが☆☆のスキルを取得してる。

 オルクとフィアはまだ取得してないのに。


 それから隠しエリアのボスモンスターを倒したことでこのボス部屋に新たに魔法陣が出現した。

 ルナとシエルが言うにはダンジョンの特定モンスター(基本的にはボスモンスター)を倒すと外に出る為の転移魔法陣が出現するとか。

 仕組みはルナとシエルに聞いてもわからず、ダンジョンには必ずあるとのこと。


 実際に転移すると驚きというか何というか……

 予想通り、パッと目の前の景色が変わった。

 ただ、ブランはルナとシエルの説明が難しく理解できなかったのかキュイ!?と驚いていた。

 その後、みんなで夕食を食べて解散とはならなかった。

 それもこれもオレが新しくネメシスを仲間にしたからだ。


「在学中に仲間にしたモンスターが増えた場合、学園を通して国に申告し、登録する必要があるのよ」


「ブランちゃんは既に登録済みだけど、ネメシスはまだ登録してない。このままだといろいろ問題になるからね」


「へぇー、そうなんだ」


 というわけで学園のモンスター管理棟という場所にやって来た。

 中に入ると職員の方に出迎えられ、要件を聞かれた。


「新しくモンスターを仲間にしたので、登録をお願いします」


「それでは、こちらの登録用紙に必要事項をご記入ください。ご不明な点があれば仰ってくださいね」


 えっと、オレの名前、モンスターの名前、種族、どこで仲間にしたかの四つを書けばいいのか。

 必要事項って思ってたよりも少ないね。


「書けました。お願いします」


「はい、承りました。あとはこちらで手続きしておきますので、もう大丈夫ですよ」


「ありがとうございます」


 ちょっと拍子抜けだったけど、簡単というか早く終わってよかった。


「あ、オルフェウス、モンスターが進化した時もここに来て再登録をする義務があるって覚えておいて」


「え、そうなの?」


「誰がどんなモンスターを仲間にしているのかは国が厳重に管理してるの。モンスターを犯罪に悪用する輩もいるから」


 犯罪に悪用できそうなモンスターを仲間にしてたりするとマークされるとかかな。

 あとは実際にモンスターを使った犯罪が行われた時に容疑者をそこから絞り込むとか。

 パッと思い浮かぶ用途はそれくらいかな。

 あ、でも、犯罪をするような輩がモンスターを登録する義務を守ってるとは思えないけどな……

 まあ、何も無いよりはマシか。


 ルナたちと別れたオレはブランとネメシスを連れて寮の部屋に戻った。


「キュイィィ!!」


 よしよし、ブランはいい子だからね。

 ネメシスを威嚇しないの。


「キュイ!」プイ


「主様、私のことはお気になさらず」


「さすがにそういうわけにはいかないよ」


 よしよし、なでなで、いい子いい子。


「キュイ〜……キュイィィ」


 この日はブランが威嚇し疲れて寝付くまでこれが続いた。


 翌朝、オレはブランとネメシスを連れて朝食を食べに食堂へ向かう途中、シエルと遭遇した。


「おはよう、オルフェ……ああ!ブランちゃんのお毛毛が!?」


 シュッ!サッ!


「もう!女の子なんだから身だしなみはしっかりしなきゃダメだよ!」


「キュイキュイ、キュイ」


「言い訳はダメだよ」


「キュイ……」


「もう!まったくもう!」


 もうもう言いながらどこからか取り出したブラシでブランの毛並みを整えるシエル。

 オレに助けを求めるかのような目でブランが見てくるけど、さすがに擁護できないよ。

 だってネメシスを威嚇し続けた結果、毛が逆立ったわけでしょ。


「キュイ!?」ガーン


 ブランの抵抗も虚しく、シエルによってボサボサな毛並みが嘘のように整えられていく。


「よし、これで完璧!どうブランちゃん?あ、これ鏡ね」


「……キュイ?……キュイ〜!!」


 可愛らしく首を傾げた直後、先ほどまでの抵抗が嘘のように目が輝く。

 キュイキュイ!とはしゃぎ、勢いでシエルからキュイ!と手鏡を奪う。


「キュイ!キュイ!キュイキュ……」コケッ


「はぁ、頑張ってるブランちゃん可愛い……」


 頑張って?肢で手鏡を持って自分の姿を見ようとする。

 しかし、体勢的にシエルが整えてくれた毛並みの一部しか見ることができず、苦戦した結果、横に倒れた。

 その後も悪戦苦闘するブランだが、何を思ったのかオレの足元まで来て抱き抱えるようキュイ!と強請ってくる。

 そしてオレに抱き抱えられた状態で前のめりになり、無造作にも床に置かれているシエルの手鏡を通して自分の姿を見る。

 微妙な位置調整はブランがキュイキュイと鳴きながら上下左右に首を振るので、それに従ってオレが対応する。

 ネメシスが通訳してくれて助かった。


 それからというものブランがネメシスを威嚇することは無くなった。

 少なくともオレが見ている所ではしていない。

 それほどまでに威嚇して毛が逆立つことを嫌うようになったみたい。

 昨日、あれだけ苦労したのが嘘のようだった。


 まあでも、オシャレというか見た目に気を使う辺り、ブランも女の子なんだなって思う。

 ここまで気を使うようになると今までみたいになでなですると毛並みが乱れるからしない方がいいかなと思ったけど、それとこれは別みたい。

 猛烈にキュイキュイ!と反対されたよ。


 その後、朝食を終えたオレは上機嫌のブランをシエルに預け、ネメシスを連れて教室へと向かう。

 教室に入るとオレがネメシスを連れているからかザワザワした。

 まあ昨日、入学したばっかだからね。

 他のクラスメイトがたった1日で2体目のモンスターを仲間にしてたらオレも驚くよ。


「はぁ、もふもふ〜」


「キュイ〜」


「おはようさん、オルフェウス。その子、もしかして2体目のモンスターか?」


「あ、おはよう、リユウ。うん、『亡者の墓場』の隠しエリアのボスモンスターを仲間にしたんだ」


「ん?『亡者の墓場』に隠しエリア?あのダンジョンにそんな場所があったのか。初めて知ったわ。スマホで昨日、ちょっとダンジョンについて調べたけど、隠しエリアの情報は無かったと思うけどな」


 ズボンのポケットからスマホを取り出し、何やら調べ始めるリユウ。

 たぶん、『亡者の墓場』の隠しエリアについて調べてるんだろうな。

 オレも昨日の夜に調べようと思ったんだけど、ブランがネメシスを威嚇するからその対応で結局、何も調べられてないんだよね。


「キュイ?」


「ん?やっぱり隠しエリアの情報は載ってないな。どういうことや?」


「おはようオルフェウス。それとリユウくんだっけ?もしかして今、『亡者の墓場』の隠しエリアについて話てたりする?」


「おはようルナ。そうだけど……そういえば昨日、『亡者の墓場』の隠しエリアがあるの聞いたことないって言ってなかったっけ?」


「そう。あの隠しエリアは未発見エリアなの。昨夜、スマホの"報告"アプリから位置情報と共にメモを送信しておいたから近いうちに接触があると思うわ。それを踏まえて学園側が調査をすると思うからそれが完了するまで学園関係者以外には何も話さないで」


「え?あ、そうなの?」


「そういうわけだからごめんねリユウくん。詳しいことは何も話せないの」


「いや、かまわんで」


 危なかった。ルナが声を掛けてくれなかったらリユウくんにいろいろ話すとこだったよ。


「ところで何でネメシスをルームに入れてないの?」


「え?」


「ん?」


「……あ、ブランがルームに入りたがらないからすっかり忘れてた」


「キュイ!キュイキュイ!!」


「オルフェウス、ブランちゃんが悪いみたいな言い方しちゃダメだよ。ブランちゃん怒だよ」


「キュイキュイ!」


「え、あ、ごめん」


「もう!まったくもう!……あ、怒ったブランちゃんも可愛いかも」

次回、『週7交渉』に続く

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