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《モンブリ》~進化のたびに広がる、オレとモンスターの世界~  作者: 夕幕
第1章 アルカディア王立学園 1年生編

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第108話 騒樹の密林

 授業が終わって、オレの膝の上で丸くなっていたブランがピクピクし始めた。

 それを瞬時にシエルが奪い去り、今にも起きそうなブランの顔を見て、頬を緩めている。


「2学期が始まった時にも言いましたが、1学期とは違い、大きなイベントは学園祭しかありません。3学期まで残された時間を各自 Lv上げに費やして下さい。3学期には、クラス内チーム戦があります」


 クラス内チーム戦?

 1学期にクラス内個人トーナメントがあったけど、あれとは違うのかな?


「クラス対抗チーム戦は、クラス代表三名によるチーム戦でしたが、クラス内チーム戦は通常のチームによるチーム戦となります。入学試験で行ったのと形式としては似ています」


 あ、それって、オレの場合だとルナ、シエルと一緒に戦う感じか。

 でも、クラス内ってどういうことだろう?

 C組自体十二人しかいないし、チームだと四つ。

 個人戦ならともかく、チーム戦をトーナメント方式でやるってこと?


「クラス内チーム戦は、四チームの総当たり戦となります。これは3学期、ひいては1年間の成績を決める重要なものとなっています。まだ時間はありますので、しっかりと照準を合わせて、準備を進めて下さい」


 連絡事項を告げたフォルリオ先生は、教室を後にした。


 オレはルナ、シエルとこれからどうするか話し合おうと思って、後ろを振り返る。


「はぁ〜、ブランちゃん、可愛いよ〜」


「キュイ……〜」


 シエルのこれはいつものことだから、オレはルナと二人でこの後どうするかを話し合うことにした。


「とりあえず、ブランたちのLv上げをする感じでいいかな?」


「そうね。ダンジョンへの挑戦をメインに、スキル交換券が景品のイベントとかに出るのもありかなと思ってる」


「ああ、確かに」


 ブラン、ネメシスと使えるスキルや戦い方はクラス対抗チーム戦でクラスメイトには知られてるしな。

 一応、ネメシスが新規で取得した『葬翼』は知られてないけど、オレはクラスで一番不利と言っても過言じゃない。


「今すぐにイベントに参加するのは無理だと思うし、今日はダンジョンへ挑戦するってことでいいよね?」


 静かに頷くルナ。


「問題はどこのダンジョンに挑戦するかだよね?」


「『騒樹そうじゅ密林みつりん』はどう?」


「そこってジャングルのように木々が生い茂るダンジョンで、視界が悪かったよね」


 草むらから奇襲されるのが当たり前のダンジョン。

 常に全方位に気を配らないといけないから推奨攻略累計Lvに達してても攻略できない人は多数いる。

 それだけに不人気ダンジョンとして有名な上にあまりモンスターについて情報が無い。


「キュイキュイ」


 ブランも起きたことだし、揃ってダンジョンの入り口に向かう。

 中に入る前にネメシスたちを召喚し、すぐに奇襲されても大丈夫なように備える。


 ダンジョンの中は、樹々が密集し、頭上を覆う枝葉のせいで昼間でも薄暗い。


「キュイキュイ〜」


 外と違って、気温は快適だからブランがのびのびとしている。

 教室を出てすぐに丸くなって、オレの制服の中に潜り込もうとしていたのに。


 カサカサッ、カサ!


「来ます!」


「キュイ!」


 どこからかわからないけど、何かがいる。

 一体どこに……


「下だよ!飛んで!」


 シエルが叫んだ。

 それに反応し、ブランたちは一斉にジャンプする。

 すると、ブランたちの真下を蔦のようなものが通り抜ける。


「フィア、蔦が飛んできた方に『ウインドカッター』『ウインドボール』!ルシウスは他方向からの攻撃警戒」


「ブラン、ネメシスも全方位警戒して!」


「オルク、ウィルもだよ!」


「主様、近くに他のモンスターの気配はありません。一方向に集中してよろしいかと」


 あ、そういえば、ネメシスって何でかはわからないけど、遠くにいるモンスターはわからないけど、近くならわかるって話だったな。

 入学したばかりの頃は、それを頼った時もあったな。


「ネメシス、まだ姿が見えないから慎重にね!ブランはここに残って待機してて」


「キュイ!?」


「何かあったらネメシスのフォローをお願い!」


「キュイキュイ」


 ネメシスのフォローという言葉を耳にしたブランはどこか満足そうに鳴いた。

 前肢でネメシスに早く行ってと催促しているようにも見えたけど、それはオレの気のせいかな?


 ネメシスが蔦が飛んできた茂みの方へゆっくりと歩みを進めると、細長い体にツタを纏ったモンスターが姿を現した。


「何体いるの……」


 つい声に出た。

 でも、とにかく数が多い。

 ワラワラと茂みから出てくる。


「1体ずつ倒していくしかないわね。フィア、『ウインド・セヴァランス』!ルシウス、『ぶん回し斬り』『ハンマークラッシュ』」


 ルナがいち早く、フィアとルシウスに指示を出す。

 オレとシエルは様子見というか、何かあった時にすぐフォローできるよう待機。


「……!?防御力がかなり低いわ!☆☆スキルでも一撃で倒せる!」


「よーし!一気に倒すよ!オルク、『スタンアックス』『スマッシュブレイク』!ウィル、『鉄壁突進』『裂爪乱舞』!」


「ネメシス、『飛閃』『クロススラッシュ』!ブラン、『ダブルアタック』『ダブルペック』」


 数こそ多いけど、1体1体は大して強くないどころか一撃で倒せる。

 だから、時間もそこまでかからずに全滅させることができた。

 けど、何か違和感を感じた。


「何かおかしいよね?」


「奇襲が厄介で攻略がままならないって聞いてたけど、今の感じだとそう思えないわね」


「もっと厄介なのが先にいる可能性もあるけど、それなら諦めずに挑戦する人いそうだしね」


 ルナとシエルも同じことを思ってた。

 あれだけ防御力の低いモンスターがいるなら、その情報があってもおかしくない。

 なのに、それすら無く、攻略を諦める人が一定数いる。

 正直、その理由が今のとこわからない。


 ドシ!ドシ!ドシン!


「うわっ!?え、何 今の!?」


「っ!?いつの間に接近を……。主様、もう1体来ます!」


 え、もう1体……!?


 ギィィイイィィッ!!


 ダンジョン内の樹々を薙ぎ倒す用にオレたちの目の前に現れたのは、巨大なモンスターだった。

次回、『暴蔓樹グローダイン』に続く

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