第106話 結果が全て
第一層のエリアボスを倒したところでオレたち1年生はダンジョンの外へ出ることになった。
理由は二つあって、一つは第二層のエリアボスの攻略推奨累計Lvが70だから。
累計Lvがその半分にも満たないオレたち1年生はこれ以上ついていけない。
ただ、理由としては二つ目が大きくて、純粋にボス部屋が狭い。
だから、Lvが低い者から切り捨てられる。
そういうわけでオレたちはいち早く自分たちのクラスの出し物の撤収作業に入っている。
クラスでやった縁日は大盛況で、シエルお手製ブランぬいぐるみをはじめ用意した景品は全て無くなった。
こういう景品って残ると後処理が面倒だから全部無くなったのはありがたいことだけど、シエルだけはどんよりしてる。
「ボクのブランちゃんぬいぐるみが……」
これを見たルナは、シエルがブランぬいぐるみをあれだけ大量に用意した理由を教えてくれた。
「数あれば、何個か残って、それを貰うことができるって考えてたのよ。あのぬいぐるみ、学園からお金出てるのをいいことに素材は全て一級品を使ってたし」
「……そうなんだ」
あれ、そんな高級素材を使ってたのか。
学園から予算をいくら受け取ったのか知らなかったから初めて知った。
ていうか、よくクラスのみんなから反対意見出なかったよね。
今 思うとそこが不思議だ。
縁日で使った飾り付けを処分するために学園から指定された処分場に向かう途中、カナリア先輩と遭遇して、声をかけられた。
「オルフェウスくん、今はお片付けかな?」
「はい。えっと、第二層以降の攻略ってどうなりました?」
「最初は第一層と同じで2、3年生中心に戦って、後半はブリーダーのみで戦う。私たちはそれを見て勉強だね。第二層攻略が終わって、2年生は撤収して、3年生のみ着いていって、今は第三層のエリアボスと戦ってるところ」
「そうなんですね」
第一層では1年生、第二層では2年生がそれぞれ離脱してるってことは第三層を攻略したら3年生もかな?
でも、これのおかげでゴミの処分場とかいろんな場所が混雑を避けられてるよな。
学年問わず全てのクラスが同時に出し物を撤去しようとすると、とんでもないことになるし。
あ、もしかして、それを見越してこのイベントは設けられてるのかな?
ダンジョンも人工的に作られたわけだし。
「オルフェウスくんは、学園祭が終わったらどうするの?」
「え?えっと、まだ何も決めてないです」
「そっか、そっか。それなら、一つでも多くのダンジョンを攻略するといいよ」
「ダンジョンですか?」
「そう、2年生になると授業は選択制で、好きな時に学外に出ることができる。学園内のダンジョンに時間を割けるのって、1年生の時だけだから。せっかく外に行けるなら外のダンジョンに挑戦したいってみんな思うから」
「なるほど」
そういえば、初めて会った時だったかな?
学園から授業の時間割が決められるのは、1年生だけって教えてもらったな。
「極端な話をすると、2年生以降は、試験にさえ合格すれば授業を何一つ受けなくてもいいの。だから、試験の時以外ずっと学園の外にいる人もいるよ」
「それって個人で判断してるんですか?ダンジョンへの挑戦するのは、チームでしかできないって夏休みに言われたんですが……」
「うん、基本的にチームでどうするか決めるね」
「それって、行動力のある人が揃ったチームは、積極的に外に行来ますよね?やっぱり、そういうチームの方が強いんですか?」
「うーん、それはチーム次第かな。学園に残って授業を受ける選択をするチームもあるし、それで実際に強いチームもいる。今、3年生で最強と言われてるチームは学園の外にはあまり行かないしね。私のチームと違って」
3年生最強のチームか。
どんな人たちがいるのかな?
ちょっと気になる。
……ていうか、カナリア先輩は2年生で最強って言われてるよな。
カナリア先輩のチーム、あと二人どんな人か気になるな。
『幻影迷廊』では、カナリア先輩が単独でオレたち1年生のいる後方に来てたから見てないんだよな。
どんな人たちで、どんなモンスターを仲間にしてるのか。
カナリア先輩のフィロネアがサポート特化のような気がするし、やっぱり攻撃的というか戦いに長けたモンスターなのかな。
「あ、そろそろ私行くね」
「あ、はい。ありがとうございます」
カナリア先輩は軽く手を振ると、処分場とは反対方向へ歩き出した。
「オルフェウスー!まだ終わってないー?」
遠くからブランを抱えたシエルの声が飛んできた。
オレが全然戻ってこないから念の為に確認に来たみたい。
その後、ブランを抱えたシエルと一緒に処理場にゴミを捨てて、教室に戻る。
既にほとんど作業は終わっていて、机と椅子を元の配置に戻すだけだった。
そうして、全ての作業が終わり、フォルリオ先生がやって来た。
「皆さん、3日間お疲れ様でした。中には『幻影迷廊』の情報を独自に入手し、参加した方もいると思います。今回、何もお話をしなかったのは、一つブリーダーになる上で大事なことを皆さんに覚えてほしかったからです」
大事なこと?
カナリア先輩からは、担任の先生によってはまだ早いって理由で言わないって聞いたけど。
「情報収集能力が高いブリーダーと低いブリーダーでは、天と地ほどの差があります。モンスターのLvには上限、つまり限界があります。ブリーダーになれば、遅かれ早かれそこに辿り着きます。その時、ブリーダーとしての能力を決めるのは、情報収集能力の差です」
情報収集能力の差がブリーダーとしての能力の差になる、か。
今回、オレたちは偶然カナリア先輩のクラスの出し物に行った時、教えてもらった。
あの時、カナリア先輩がクラスにいたから教えてもらえたけど、いなかったら知らずに終わってた。
「今回、どのような経緯で情報を得たかは関係ありません。結果、どうだったのか。この先、ブリーダーになる上で最も重要視される点になります」
結果が全てってことか。
次回、『アルカディア王国史』に続く




