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《モンブリ》~進化のたびに広がる、オレとモンスターの世界~  作者: 夕幕
第1章 アルカディア王立学園 1年生編

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第103話 ゾディアックのアルカナ

 学園祭も2日目を終え、遂に3日目を迎える。

 今日は、模擬店など各クラスの出し物が午前中に全て終わる。

 午後は、片付けをする流れだと思っていたけど、昨日、カナリア先輩が『幻影迷廊』という人工ダンジョンに集団で挑戦できると教えてくれた。


 今はルナ、シエルと一緒に『幻影迷廊』に挑戦する人全員に配布されている攻略ガイドのアプリに目を通している。


 まさかこの世界に来て、QRコードを目にするとは思わなかったよ。

 学園内の至る所に設置されていて、挑戦する人は読み込んで、攻略ガイドのアプリをインストールできる。

 それと挑戦申し込みも併せてできた。


 攻略アプリの画面を一緒に見ながらルナが画像を拡大して、確認する。


 第一層のエリアボスは、影樹獣えいじゅじゅうイグゼリオ。

 外見は、全長4mを超える黒紫の大樹のような獣で、背中からは枝のような触手が何本も伸びている。

 それに地面に根を這わせて、ダンジョンと一体化している。


 基本的な攻撃パターンは、地面に這わせている根を伸ばし、複数のモンスターを同時に足止め。

 そこを伸縮自在の背中からは枝のように伸びた触手で距離に関係なく、突きや薙ぎ払い。

 他にも、自身の影を変化させて枝状の腕と化し、遠距離から多段攻撃を行う。


 基本的な攻撃パターンはこれだけみたい。

 これだけだと、大して強くなさそうに思えるかもしれないけど、ここに幻影が加わる。

 ただ、幻影に引っかかるのは、モンスターだけで人に効果は無い。

 だから、上手く指示を出せば、幻影に惑わされていても的確にイグゼリオを攻撃できるらしい。


「ただの幻影なら、なんとかなりそうね」


「うん、オルクたちの動きが変だったら、その度に指示出す感じで修正できるかな」


「でも、認識を惑わされるのは、どうしようもないわね……」


 そう、ルナの言う通り、イグゼリオは一定時間、視覚・位置認識を歪ませる結界を展開する。

 それによって、過去には味方同士で攻撃し合う状況に陥ることもあったとか。


 イグゼリオと戦う推奨累計Lvは50だけど、もし、ブランたちの累計Lvが50だったとしても攻略の為の道筋が思い浮かばない。

 どう頑張っても味方同士で攻撃し合う状況を打開できる気がしない。

 毎年恒例イベントみたいだし、既に何かしらの攻略方法が確立されてるとは思うけど、どうするのかな?


 結局、イグゼリオの攻略方法が思い浮かばないまま午後を迎えた。

 いつもならスヤスヤと夢の世界にいるブランも今日だけは張り切りモード。

 珍しくオレやシエルに抱っこされることなく、自分の足で歩いている。


 そうして人集りができている一帯、人工ダンジョン『幻影迷廊』のある場所へと到着した。

 かなりの人数がいる。

 多すぎて正確な数はわからないけど、最低でも百人は超えてると思う。

 そんなことを考えていたら、ルナとシエルが辺りを見渡し始めた。


「やっぱりいないわね」


「うん」


「ん?誰か探してる人でもいるの?」


 わざわざ目で見て探すってことは、学外の人だよね。

 学内の人ならスマホで連絡先を交換する機会があっただろうし。


「えっと、前に話したっけ?最強のブリーダーが誰か」


「あ、それってシャーロットさんのこと?」


「キュイキュイ」


 あ、抱っこしてあげるから静かにしてようね。


「キュイ」


 なでなでもしてあげるからね。


「……」


 よし、静かになった。


「……そうよ。シャーロット様が所属するチーム"ボクさまは最強"を始め、上位チームのブリーダーが誰もいないの。毎年、誰かしら来るんだけど」


「今年は誰もいないってこと?それって、去年までよりも難易度上がってない?」


「忙しい人たちだから今年はきっと来れない理由があるんだよ。それより、ブランちゃんをボクに――」


 シュッ!サッ!


「――預けていいんだよ」


 なんで言い終わる前にブランがいなくなってるのかな?

 まあ、オレはいいけどさ。


 それから程なくして、人集りの前方から大きな声が上がった。

 そして、徐々に前に進み始め、オレたちもダンジョンの中へ入った。


 薄暗い通路を抜けると、そこには別世界のような光景が広がっていた。

 天井は遥か頭上にあり、全体的に柔らかな薄明かりが広がっている。

 地面には木の根のようなものが広がっている。

 奥には、巨大で重厚な扉が見える。

 きっと、あれがエリアボスのいるボス部屋に繋がる扉。


 緊張で震えていると、誰かしらがこっちに背を向け、飛んだ。

 銀紫色、サイドは編み込み、後ろは緩やかにウェーブがかかったロングヘアで高身長の女性、かな?

 一瞬、モンスターが空を飛んでるのかと思ったけど、遠目でも違うとわかった。

 下を向き、手で何かしら合図らしきものを送ると身体の向きを反転させ、こっちに向き直った。


「今回、上位陣がいないから、チーム"ゾディアック"のリーダー、アルカナが取ることになった!初めての者は急に感じると思うが、今からここで配置分けをする。ブリーダーを主力に正面。学園の3年生は右に!2年生は左。1年生は後方でサポート」


 うわっ、すごいテキパキしてるな。

 誰もアルカナさんって人の指示に異論を唱えないで、従っている。

 これだけの人がいる中でしっかりとリーダーシップを発揮して、指揮を取れる

 のはすごいな。

 カリスマ性ってやつなのかな。


「先に言っておくが、この配置を必ずしも守る必要はない。学園の1年生だろうと、状況によっては私の指示を無視して構わない。ただし、個人ではなく、チーム全体の輪を乱さない範囲で頼む」


 あ、その辺は割と自由なのか。

 まあガチガチに固めると動きが窮屈になって、デメリットの方が大きいって考えかな。

 でも、自由に動きすぎないようにって釘を刺してるとこは経験からくるものかな。

次回、『集結』に続く

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