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《モンブリ》~進化のたびに広がる、オレとモンスターの世界~  作者: 夕幕
第1章 アルカディア王立学園 1年生編

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第102話 学園祭のメインイベント

 縁日の担当時間が終えて、ぬいぐるみに混じって三度寝を堪能していたブランを回収し、他のクラスの出し物を見に行くことに。


 ブランは朝ごはんを食べたからいいけど、オレはまだ何も食べれていない。

 ルナもシエルのあれやこれでまだみたいなので、これから三人でご飯を食べに模擬店に。

 近くまで行くと匂いでか、ブランが再び目を覚まし、キョロキョロと周り見る。

 でも、さっきみたいなアピールをしてこないから、お眼鏡に適った料理は見つからなかったのかな。

 いや、お腹一杯なだけだと思いたいな。


 少し模擬店が並んでいる通りを進むと懐かしい料理を提供しているお店が。

 二枚のパンにお肉や野菜を挟み込んだ食べ物。

 時間的に食事時じゃないけど、人が並んでいるから人気店なのかな。

 買って食べてる人たちみんな美味しそうに食べてるし、ここにしよう。


 ルナもここにするみたいで、一緒に並ぶこと数分。


「いらっしゃい。何にする?」


「えっと、チキンとアボカドのやつひとつください」


 ルナが最初に頼む。

 続いてオレもメニューを見ながら――


「じゃあ、ベーコンとエッグのやつで」


「あ、ボクも頼む!スパイシーチキンお願い」


「はいよ、三つねー。ちょっと待ってて!」


 香ばしい香りが漂う鉄板の上で、カリカリに焼かれたベーコンがジューッと音を立てる。

 その隣ではチキンを焼いており、同時並行でパンが軽くプレスされ、こんがりと焼き色がついていく。


「キュイ……」


「ブランはもう食べたでしょ?」


「キュイキュイ」


「……一口だけだからね」


「キュイ!」


 お望み叶って満面の笑みを浮かべ、オレの腕の中でまだかな?まだかな?と肢をぶらぶらさせる。


「お待たせー! アツアツだから気をつけて!」


 受け取ったパンは、紙に丁寧に包まれていて、手に取った瞬間に伝わる温もりが心地いい。

 屋台の横にある簡易ベンチに三人並んで、座る。


「キュイキュイ」


「はいはい。あーんして」


「キューイ……キュイ〜」


 小さな口でかぶっと齧り付く。

 前肢で頬を押さえて美味しそうな顔で食べている。

 これを見てると、食べさせて良かったと思える。


 さてと、オレも一口。

 カリッとしたパンの中から、ジューシーなベーコンととろけたチーズが溢れる。

 シンプルだけど、たまらなく美味しい。

 元いた世界で食べた味と大して変わらない。

 寧ろこっちの方が美味しいかもしれない。


「これ……、ソースも絶妙ね」


「うん、香辛料の配合は自前かな?こんなの食べたことないよ」


 ルナとシエルの評価も高く、オレの手にあったパンは気づいたらブランに持って行かれていた。

 しかも、パクパクと小さな口で食べ進めていた。


「キュイ!?」


「一口だけって話だったでしょ?」


「キュイ……」


 危うくオレの分が全部食べられるとこだった。

 一瞬、不満気な顔を見せたけど、すぐに大人しくなり、その目は他の模擬店に向いていた。


 その後、三人で模擬店を回って学園祭1日目は終わった。

 2日目は、模擬店以外の出し物(お化け屋敷以外)を見て回った。

 中には講堂を貸し切って、演劇をするクラスもあった。

 かなり人気で人が講堂に入り切らない問題が発生していたからオレたちは見るのを諦めたけど。


 それでも全部のクラスを見て回るには、時間ギリギリだった。

 特にカナリア先輩のクラスに行った時、一瞬にしてブランが持っていかれて、もふもふされたり。

 しかも、シエルがそれに対抗してブランを奪い返し、もふもふしたりしてたから。


「キュル……ン」


「あ、フィロネアのこと忘れてないよ」


「キュルン♪」


 カナリア先輩の頭の上に引っかかっているフィロネアが悲しそうな声で鳴く。

 すると、立ち直ったカナリア先輩がフィロネアの頭を優しくなでる。


「よしよし……」


「キュルルン♪」


 今度は嬉しそうな声で鳴くフィロネア。


「うんうん。……あ、そうだ。オルフェウスくんたちは、明日行われる学園祭のメインイベントについて知ってる?」


 メインイベント……?

 あ、そっか。明日は学園祭の最終日。

 何かしら目玉となるイベントがあってもおかしくないのか。

 でも、フォルリオ先生からは特に話は無かったよな。


「メインイベントって何があるんですか?担任の先生からは何も聞いてないですけど」


「あ、そういう先生か。これ言う言わないが先生によって別れるんだよね」


「え、そうなんですか?」


「うん、1年生にはまだ早いって考えと、経験は積める時に積むべきって考える先生とね」


 うーん、どういうことだろう?

 まだ早いって考えようによって意味が変わるけど、さすがにゲームの世界だし、それに合ったイベントだよね。

 そうなると、1年生じゃモンスターのLvが低いってことかな。


「明日は、年に一回の『幻影迷廊げんえいめいろう』っていうダンジョンが開かれる日。学園に来てる人の中には、これ目当ての人もいるんだよ」


「年に一回?」


「そう。人工ダンジョンって聞いたことある?」


「あ、それって『秘密道場』とかですか?」


「そうそう!よく知ってるね。『幻影迷廊』も学園が保有する人工ダンジョンで、起動するのに莫大なコストが必要になるから年に一回、学園祭の最終日に目玉イベントとして使われてるの」


「なるほど。でも、それがなんで1年生にはまだ早いってなるんですか?そんなにLvが高いんですか?」


「うん。中にいるのは、エリアボスとダンジョンボスだけ。通常のモンスターは出現しない特殊ダンジョン。第一層のエリアボスでも累計Lv50。2年生以上じゃないと厳しいね」


 累計Lv 50!?しかも、エリアボスとダンジョンボスしか出ない!?

 え、ちょっと待って。

 今、ブランたちですら累計Lv30に届くかどうかだよ!

 どう考えても参加するだけ無駄じゃ……


「だけど、私は参加するべきだと思う。私も去年参加して、すごく勉強になった。普段とは違って、実力が圧倒的に上の上級生や、ブリーダーと一緒に大人数で戦える。勉強の場にはもってこいだよ」


 あ、そういう感じか。

 でも、言われてみるとそうだよな。

 ゲームみたいにサーバーが別れてるわけじゃないからな。

 みんな一緒にレイドみたいなの組んで戦う感じだよな。


「ルナ、シエル、どうする?」


「参加するに決まってるでしょ」


「ボクもルナと同じ意見」


「オルフェウスは?」


「キュイキュイ!」


 ルナのオレに対する質問だったけど、元気に出たいと言いたげな雰囲気で答えるブラン。


「はいはい。オレも参加したいかな」


 ブランの頭をなでながら、自分の考えを伝える。

 三人とも意見が一致したことで、出る方向性で話が固まった。

次回、『ゾディアックのアルカナ』に続く

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