第101話 お化け屋敷
「キュイキュイ〜!!」
ダンジョンボスを倒した瞬間、もういいよね?といった雰囲気でブランが溶岩の泉に飛び込もうとする。
だけど、それはシエルによって、阻止され、いつものようにもふもふされている。
「キュイー!キュイィィー!」
ブランは、必死にシエルの腕の中から抜け出そうとしている。
それが叶う前に外に繋がる転移魔法陣から外に出る。
その瞬間、ブランが涙目で「キュイキュイ……!」と訴えかけてきたけど、それは無視した。
それからブランはシエルとスイーツを食べに行くって話になった途端に満面の笑みを浮かべた。
寧ろ、「キュイキュイ」と急かすようにシエルに甘え出した。
「……相変わらず、変わり身が早いなブランは」
「スイーツ>溶岩ってことでしょ。むしろ安心したけどね」
シエルには食べさせ過ぎには注意するよう言って、ブランを託した。
オレとルナはネメシスたちをルームに戻して、寮の部屋に戻った。
迎えた学園祭当日。
学園の正門前には、すでに長蛇の列ができていた。
普段は外部立ち入り禁止(一部例外あり)の学園が、この3日間だけは門戸を開く。
オレたちのクラスの出し物は縁日だから、当日になってやらなきゃいけないことはない。
クラスによっては、最終確認とかをしているけど、オレたちはそれを見て、大変そうだな〜と思ってる。
「キュイ〜……」
あ、オレたちと思ってたけど、口をむにゃむにゃさせながらブランは寝てるからオレしか見てないわ。
一応、今は自由時間で、いろいろ見て回ってるとこ。
シエルとルナがいないのは、実家から両親?なんかよくわからないけど、身内が来てるらしくて、そっちに向かった。
今日は、朝ごはんを模擬店で買って済ませようと思ってる。
だから寝ているブランを抱いたまま、模擬店が並んでいる通りの近くまでやって来た。
近づくにつれて、いい匂いが漂ってくる。
「キュッ、キュイキュイ」
そして、匂いに釣られて、ブランが目を覚まし、キョロキョロと周りを見る。
「キュイキュイ!」
ブランの鋭い?嗅覚で匂いを嗅ぎ分けたみたいで、前肢を伸ばし、あっちあっちとお目当てと思われる模擬店を示す。
その先は、案の定スイーツの模擬店だった。
しかも、他のお店よりも一際甘そうなスイーツを取り扱っている。
「ブラン、朝ごはんって言ったよね?スイーツはおやつじゃなかったっけ?」
「キュイッ!」
ブランはドヤ顔でスイーツは主食と言わんばかりの迫力で鳴いてくる。
ため息をつきながらも、結局その店の前に並ぶことにした。
そこには小柄な女の子が立っていて、手際よくスイーツを並べている。
「いらっしゃいませ〜。本日のおすすめは『焦がし蜜いちごパフェ』ですよ〜」
「キュイッ!!」
「すみません、ひとつお願いします」
「は〜い、ちょっとお待ちくださいね!」
受け取ったパフェは、思った以上に豪華だった。
とろけるような焦がしカラメルの層の上に、濃厚なクリームといちごが贅沢に盛られていて、その上には金箔入りの飴細工まで刺さっている。
これで500ユルドは安いな。
学園祭の模擬店価格かな。
「キュイイイイ〜〜!!」
もう我慢の限界だったのか、ブランが前肢をばたばたさせて催促してくる。
スプーンで一杯すくって、あーんすると、パクッっと舐め取るようにスプーンを咥える。
「キュイ~……」
そのまま勢いでパクパクと食べ続けて、秒で食べ終わった。
その後、あくびをしたブランは二度目を始めた。
オレは空になったカップをゴミ箱に捨てながら、再びブランを抱え直す。
ちょうど、このタイミングでシエルから教室にブランを連れて戻って来てと言われたから、戻ることにした。
シュッ!サッ!
「もふもふ〜」
教室に戻ると同時にブランを持って行かれた。
シエルは完全に自分の世界に入っている。
……オレなんで呼ばれたの?
まだ、教室に残って縁日の出し物を回す担当者じゃないよね。
「ごめんなさいね。シエル、ブランが……ってちょっと暴走しかけてね」
「ああ、それで呼ばれたのね」
「……うん」
ルナが申し訳なさそうに言った。
その後、三人で他のクラスの出し物を見て回ることになった。
教室の外に出ると、見計らったかのようにブランが目を覚ました。
そして、隣のクラスの出し物、お化け屋敷に興味津々のご様子。
というわけで、オレたちはブランを連れて、お化け屋敷に入ることにした。
中は真っ暗な通路が続いていて、時折、壁の隙間や天井から動く人形やホラー系のエフェクトが飛び出してくる仕組みになってる。
見ても、どういう原理はわからないけど。
「キュイーーーー!!」
演出はかなり凝っていて、普通に怖いけど、楽しそうにブランがはしゃいでいるからなんか怖く無くなる。
「ブラン、少しは大人しくしてね」
宥めようとするけど、ブランのテンションMAX。
通路をぴょこぴょこと跳ねるように走っている。
さすがにこれは、はしゃぎすぎだったみたいで、このクラスの子から注意されて、ブランはシュッとなった。
それから静かになったブランを抱きしめ、ゆっくりと進んだ。
そこからは、純粋にお化け屋敷を楽しめた。
お化け屋敷を出る頃には、時間的に縁日の当番の時間が迫っていたので、クラスに戻る。
ブランは自分にそっくりのシエルお手製ぬいぐるみ混じっている。
そこですやすや〜と三度目を満喫している。
次回、『学園祭のメインイベント』に続く




