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[完結]捨てられ聖女と森の主・妹のためにと捨てられたんですけど?  作者: 安ころもっち


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66.ニコレッタ、フェルとの関係に悩む

汗を流すフェルにキュン死しかけた私。


「フェル……あのさ、私も、フェルが、好き」

「そうか。私もニコが好きだ。嬉しいぞ」

その返事を聞き、ちらりと見るととっても爽やかな笑顔でこちらも見ている。


私は「ギャー」と悲鳴を上げて拠点に戻り、ベッドにダイブして布団を被った。


無理無理。無理だよ?

顔面が普通極まりない私があんな男と恋に溺れるなんてできるわけがない!


そりゃーさ?多少異世界で美少女と持て囃されてはいるさ?だけどフェルは次元が違う!

パーフェクトな顔、そして何者にも負けない強さを持ち、そして私を一番に考えてくれる神獣様だ。釣り合うはずが無い!


そうやって一人悶え足をばたつかせていると、ディーゴが「犬っころとは言え、あれはさすがに可哀想だ」とため息をついて教えてくれた。


ガバリと布団をめくると、寝室の入り口にはしっぽを股に挟んでしゅんとしている元の姿のフェルがいた。


それから私は、ゆっくりとフェルの前に行き「そのままの姿で聞いてほしい」と話しはじめた。


「フェルが好き。異性という意味で好き。フェル的に言えば番?そんな感じで好き。でも恥ずかしくてまともに顔が見れない。さっき逃げ出したのもそう。どうしたら良い?あと、フェル的には私と同じ感じの好き?」

思ったことを聞いてみる。


『私は、多分だがニコと同じように考えることはできない。少なくとも今までは。だが私もニコとこのまま共にありたいと思っている。人間的な営みはうまくできるか分からんが、ニコが望むなら頑張って……』

「そんなことを言ってるんじゃない!」

顔を真っ赤にしてフェルに声を荒らげる。


『いや、人として子孫を残す為に交尾をと思っているのかと……』

「なに言っちゃってるの!」

私はまた布団にダイブした。


「ニコもニコだが、さすがに今のは犬っころが悪いわ」

ディーゴのため息が聞こえた。


「では!私がフェル様に女心の何たるかを教えてあげましょう!」

そう言うクラリスだが、多分恋愛経験は無いと思われ。


そして、勝手なことをしないでほしい。


そんな私は、さっきからフェルの言葉が何度もリピート再生されていて布団を出る勇気がでない。よりによってこ、こ、こ……だめだ。今日はもう布団と一体化しよう。


「クラリスさんも、勝手に主様の気持ちを妄想しないように。フェル様には吾輩が少しお話するゆえ。主殿、あまり無理はなさらずに。少しフェル殿にはお話しますゆえ、今日は2人で留守にします。

明日の朝には帰ってきます。ディーゴ殿、後はお任せしますよ」


カーリーにそう言われた後、沈黙の続く雰囲気に耐え、布団の中で心を落ち着かせつつやり過ごす。そのまま眠ってしまった私は、腹時計の主張に合わせ夕食時に目を覚ました。


「ディーゴにクラリスおはよう。フェル達は?」

「まだ帰ってねーぞ?」

ディーゴの返答に「そう」と短く返しておく。


そのまま肉を焼いてるディーゴの隣に座ると、クラリスがササッと私の前に飲み物とお肉を出してくれた。


「ニコは少し緊張しすぎだな。犬っころ如きに何をそんなに緊張することがある?」

「いや、フェルは普通に顔が良いし、直視するのはは恥ずかしい……」

自分でもなんだそれと思うぐらい手の指を胸の前で絡ませモジモジしてしまう。


「そうだ!」

そう言ったディーゴは黒髪を後ろに綺麗にまとめると、いつものドレス姿からスーツのような姿に変身した。どことなく中性的な雰囲気も感じる。


そしてニカっと笑みを浮かべ私に顔を近づける。


「どうだ!俺も中々の見た目だろ?」

そう言って笑うディーゴは、確かにイケてるメンズに見えた。


「ディーゴなら、大丈夫……」

そう言いつつも、顔が勝手に横を向く。


「いや大丈夫じゃなさそうだけど?」

そう言ってまた私の視界に入ってくるディーゴ。


「なら私も!」

そう聞こえた後、赤髪を後ろにまとめた女騎士クラリスは、同じように私に顔を近づける。


「うん、クラリスはその髪型でも可愛いね」

私が笑顔を向けてそう言うと、顔を赤らめモジモジするクラリス。


それから暫く、イケメンディーゴの顔面に慣れるよう、何度も至近距離で見つめ合ったり抱き合ったりしていた。胸に押し付けられるそのポヨンにより、ちょっと別の扉を開きかけたのはまた別の話。


◆◇◆◇◆


『良いですか?まずは急に近づかない、いきなり好きと言わない、そして交尾とか言わないように』


ここはカーリーの本拠地、死霊の森の墓場の中心地だ。

カーリーはひとつひとつを噛みしめるようにフェルに説明を繰り返す。


『良いですね。主様はまだまだお子様なのです。オスへの免疫がありません。ゆっくりと時を待つのです。そして交尾というのはもちろんですが、それに類する直接的な表現は厳禁です。人間は人前でそんな言葉を使わないのです』

『分かった、だが私は、ニコはどうして欲しいのかが分からないのだ』

フェルはふわふわ浮かぶカーリーに、しっかりと自分の気持ちを打ち明ける。


『まずはじっくりと、そうですねぇ?後10年ぐらいは時間をかけて慣らして行けばよいのです』

『10年?だが、10年したらニコはもう子も産めない年になるのでは?』

『それ絶対に言ってはいけないことばですよ?それに、普通の人間でも40才過ぎでも子は()せます。魔力の高い主様であればその年齢はもっと先になるでしょう』

『うむ……』

フェルが首を傾げつつも相槌を打っている。


『忘れてはいないでしょうが、どのみち私達と主様は子は()せません。ですが心のつながりとして、そう言った行為をするのです。まあ、その辺りは主様にも少し頑張ってほしいところですが、これは後で吾輩が責任もってお伝えしましょう』

『分かった。じゃあ、戻るか』

『まだだめです』

早く帰りたいフェルをカーリーは引き留める。


『主様にも落ち着く時間を与えてあげなくてはいけません。明日の朝食後ぐらいをめどにしましょう』

『わかった。しかし人間とは心が弱いものなのだな。ニコは強いと思っていたが、あんなに取り乱すとは……』

『そうですよ。人間の心はとても弱いもの。壊れぬよう大事にそっと扱うのが良いでしょう』


こうして、フェルに多少の心構えを伝授したカーリー。

2人は墓場の真ん中でぼんやりと佇み夜を過ごした。


その後、拠点に戻った2人は、真っ赤な顔をしたニコが髪を後ろに縛ったスーツ姿のディーゴと、頬を寄せ合っている姿を見て大いに戸惑うのであった。

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