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[完結]捨てられ聖女と森の主・妹のためにと捨てられたんですけど?  作者: 安ころもっち


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60.ニコレッタ、呪い返しの顛末を聞く。

呪いの件が終わってから2週間が過ぎた。


先週はマルティナと一緒にベンチュラ伯爵家にお呼ばれし、元気になったルクレツィアと一緒に食事会を行った。

今回はクラリスも交え全員参加で楽しいひと時を過ごした。


元気になったルクレツィアは本当に可愛らしい御令嬢で、つい出来心で「お姉様って呼んでも良いよ?」と言うと、笑顔で「分かりましたわ。お姉様!」と言って抱き着いてくるので、本気でお持ち帰りしたくなった。

その後、小さめサイズに変身したフェルとディーゴに大興奮したルクレツィアを見てにんまり。同じく食事会に参加したライモンディ男爵、その男爵家の嫡男でルクレツィアの婚約者ロベルトにも礼を言われ、そして跪いて拝まれた。


それから暫くして、聖宝神殿にあの呪いをかけたと思われていたパヴェージ伯爵家の伯爵、嫡男、そしてお抱えの魔術師が揃って解呪のお願いに来たようだ。三人共まともに立つこともできず、従者達に抱えられやってきたそうだ。


最初は懇願していたものの、激おこのマルティナが「解呪は無理だから帰れ!」と追い返そうとしたらしい。それには激しく抗議をするように喚き散らし無駄に体力を使っていたようで、暫くすると声も出せないほど衰弱していたようだ。

見かねて「自分で解呪したらどうです?」と魔術師に問いかけると、三人の血液を使った強力な禁術のようなもので、一度掛けると解呪はできないものだと泣きながら説明されたそうだ。

そんな物騒な呪いが返ってきてしまいパニックになった伯爵が、噂を集めマルティナであれば解呪できると確信し、恥も外聞も無くここまでやってきたそうだ。


その話に怒りを通り越し言葉を失ったマルティナは、「解呪には白夜草が1人あたり2つから3つ分ぐらいは必要よ。もう手元には無いし」と教えたそうだ。

それを聞いてがっくりと肩を落とす伯爵。

嫡男と魔術師は理解していないようだったが、伯爵が「それは無理だ……」とつぶやくとようやく状況を理解したようで、また発狂するように騒ぎ出し互いを罵り合っていたので、そのまま神殿の警備兵に追い出されたようだ。


その話をした後、「顔にも痣が出ていたし、持って数日でしょうねー」と言いながらお肉をパクリとするマルティナを見て、私もルクレツィアもドン引きしたが、伯爵は同じように笑みを浮かべていた。

そんなドロドロとした話も飛び出したがそれなりに楽しい食事会となった。


その数日後、マルティナの予想通りにその伯爵家は当主と嫡男がいなくなり、呪いについての詳細な噂が広まり王家もそれを知ることとなった。当主不在の伯爵家は廃爵。伯爵夫人や妹君も平民として放り出されたそうだ。

少し可哀そうではあるが、身内の不始末だから仕方ないのだろう。


なんとも後味が悪すぎる話だが、人を呪えば穴2つと言う諺を思い出し、今回は大きな穴が愚か者を飲み込んだのだと割り切ることにした。そもそも私の所為ではないしね。


王家も今回の事を問題視して、貴重な白夜草を鑑賞目的に使う事を禁じた。そしてこっそりとまだ在庫があるか冒険者ギルド経由で聞いてきたので、それなりにあるので本当に必要な時には放出すると伝えておいた。




そして今日、私はエレナといつもの様に昼食会を行うため冒険者ギルドへと到着すると、建物前で身なりの良い男に声を掛けられた。


その場で"娘が同じように呪いにかかり死にそうで"と泣き崩れ、ここではちょっととエレナに声を掛けて一緒に談話室へ入った。


暫くすると落ち着いた様子を取り戻した男が身の上を話し始めた。

男は王都に居を構えるモンティ男爵で娘は三人いるようだ。


「ライモンディ伯爵家の御令嬢と同じように呪いによって衰弱し、すでに顔にも痣が……」

そう言ってまた涙を流して顔を伏せた。


「噂の聖女様に最後の頼みと声を掛けさせて頂きました……」

そう言う男爵は涙目で私をジッと見る。


「じゃあ、私からマルティナ様にお願いしておきますね。出来たらすぐにマルティナ様と一緒に屋敷に行きますから。安心してください材料はありますから!」

そう言って笑顔を向ける。


だが、その返答に男爵は顔を曇らせた。


「あの、できるだけ量が欲しいのです。それと、うちにもお抱えの薬師がおりますので、その、なんとかなるので、白夜草だけ頂ければお手間は取らせませんから!マルティナ様までお手間をかけさせるなんて、そんな恐れ多い……」

必死でそう言う男爵を見て、さすがの私もなんだかおかしいかも?と感じた。だが男爵の話が真実であれば三人の御令嬢の命がかかっている。そんな話を疑うのもどうかと思い直す。


「じゃあとりあえずは5つ、足りなければ言って下さい」

そう言って白夜草を5つバッグから取り出し手渡した。


「おお!あっ、その、お礼を……」

一瞬物凄い笑顔を見せた男爵は、お礼と言いながらも私から目を逸らしたりしていた。


その様子を見てつい出来心で、「金貨30枚でどうでしょう」と言ってしまった。もちろん白夜草は1つでもその倍以上で買い取られていることも知っていたが、それなりの大金ではある。


「あ、え、今は持ち合わせが……その、薬師に支払うお金もありまして……」

「じゃあ、その内でいいですよ」

結局、まあ良いかと思った私の言葉に、心底安堵した表情を見せた男爵はペコペコと頭を下げて談話室を出ていった。




「ニコちゃん。あれってあからさまに嘘ついてる雰囲気出てたけど?」

「うーん、多分嘘、なんだろうけど……それでもねー」

エレナの指摘に少し言い淀む。本当なら直接屋敷に行って様態を確かめたりしてからで良いと思うんだけどね。正直面倒事にしかならないと分かってるから、どうしたものかとため息をついた。


「では主様、この件は私にお任せを」

そう言ったカーリーは、軽く右手を振るとふわりと発生した黒い闇が全身を纏い、そしてその闇と共に消えていった。


「何それ凄い!」

思わず叫んだが、それに返事をする者は誰もいなかった。


「カーリー様って、凄いのですね……」

「ホント淒すぎる……」

やや暫く経った後、エレナとクラリスがそう言うと、フェルもディーゴが「なんだあれぐらいの事……」「俺はもっとすごいことできるぞ!」と不貞腐れていた。


森の拠点に帰った後、カーリーの帰りを待つ。

結局、カーリーは真夜中に返ってきた。


眠い目を擦りながら、フェルのモフモフ毛皮を背にカーリーの報告を聞いた。

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