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[完結]捨てられ聖女と森の主・妹のためにと捨てられたんですけど?  作者: 安ころもっち


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52.ニコレッタ、帝国の反応に呆れて嘆く。

強制労働の地、辺境にある炭鉱にやってきた男たち。


俺たちは公爵様なんだと偉ぶる奴等は、やってきてすぐに兄に怪我を負わせ第一印象は最悪だった。だがすぐに謝ってきたしその後の態度はひどくはなかった為、少しずつではあるが良い関係を保っていたようだ。

兄マルコとだけは……


後で知ったがどうやらその男たちは姉ニコレッタにちょっかいをかけたようで、そのことに対する愚痴は多くて少し面倒だと兄が言っていた。

炭鉱員の1人が言っていたが、兄は私のお陰で他の炭鉱員からも良くされていて、現場監督のような仕事を任されることも多いのだとか。新たにやってきた男達もそんな兄に上手く取り入ろうとしていたようだ。


それから暫くして、元公爵家の長男、あの兄に怪我を負わせた男が隠し持ってきた宝石類で監視長を抱き込み、自分と他にも何人かの首輪を外させたようだ。

公爵家の当主だと叫んでいた3人の肥えたおじさん達は解放されず、「なぜ私達を解放しない!親を捨てるのか?この親不孝者が!」と叫んでいたのを私も聞いていた。その息子たちはニヤニヤしながらそれを眺めていた。

その数日後、気に入った者を連れてこの炭鉱を脱出するという話を聞いた。


監視長も一緒に行くし、私も一緒にどうかと誘われた。

私はここを出る気はなかったが、兄は一緒に脱獄するようで「一緒に行こう」と何度も私を説得してきた。


頑なにここを出ることを拒んた末、兄もどうやら諦めたようだ。


その数日後、男たちは兄を連れ、本当にここを出ていった。

数時間後には脱獄者が出たことが副監視長が気付いて国へ報告し、大騒ぎの末にそのまま副監視長が繰り上げで長を任されるようになった。


脱走した者たちは大規模な捜索隊が出されるようだが、願わくば兄が無事に逃げ隠れることに成功し、慎ましくも幸せな一生を送ってもらえれば良いなと願った。


◆◇◆◇◆


帝国とのことがあってから何度目かの報告を受けた頃、いつもの様に冒険者ギルドの談話室でエレナに王国からの新たな手紙を受け取る。


内容な主に2つの事が書いてあった。


まずは妹、ファビオラのこと。

炭鉱ではあの公爵の息子らが、監視長というその炭鉱の長を抱き込み脱走したという。それ自体は聞いていたが、それに兄であるマルコも一緒に付き従っていたということが書いてあった。


だが、残っていた妹のファビオラから詳しい話も聞けたようで、"一応報告を"と前置きがあったが、脱走前後についてのかなり詳細な内容が書いてあった。

ファビオラ自身も一緒に脱走しないかと何度も誘われたが、「私はここで一生懺悔して生きる」と言ってその場に残ったそうだ。そして脱走した者達が恨みを抱いている私に対し、「姉は、大丈夫なんですよね?」と何度も聞いてきたと書いてあった。


その報告を読んでいる最中にドキドキと心臓が騒ぎ立てている自分に驚いた。

だがファビオラはもう二度と会うことも無い名ばかりの妹だ。元気でやっていてくれるならそれで良い。兄マルコは……まあどうでも良いなと何も感じることはなかった。


そして……

ついに帝国からの宣戦布告が行われたと書いてあった。


帝国は凡そ10万の兵を国境付近に揃え、今にもこちら側へなだれ込んで来る様子で、騎士団の第四隊と第五隊の精鋭がその他の予備兵3万を連れ、睨み合って牽制しているとのことだ。


ニコレッタ殿はこの戦には一切関わらなくて良い。迷惑はかけられない。

国同士の戦は民を率いる責を負う者の務め。

暫くは騒がしくなるが、森で穏やかに過ごしてほしい。


手紙にはそう書いてあった。

私はそれを読み終え、深いため息をついてフェルを見た。


「フェル、人間同士の争いに力を貸してとは言わない。でも、私を国境の所まで連れてってくれる?」

『ふふん。ニコは行きたいのだろ?なら私はその願いを叶えるのは当然のこと』

顔を上げこちらも優しい目で見るフェル。


『戦に行くのか?俺に乗ってくか?俺の方が早いぞ?』

翼をバタバタと動かしているディーゴは何やら楽しんでいるようにも見える。


その後、2人は『私の方が早く飛べる!』『空は俺の方が早い!』などと言い争いをしている間に、すでに執事なカーリーが私の前に跪いていた。


「準備はすでに整っております。私が、帝国の兵を皆すり潰して差し上げますよ」

「カーリー?私は争いに行くんじゃないんだよ?」

顔にハテナマークがついたカーリーが首を傾げる。


「では、戦況がしっかりと見渡せるよう、空の上にニコ様の特等席を御作りいたしますね。見所満載な様子が確認できるよう、ニコ様から聞いたスクリーンなる物も再現してみせましょう!きっと良き見世物になるでしょう!」

「いや、そうじゃなくて……」

私が否定しまた首を傾げてしまうカーリー。


「私は、この争いを止めたいの。3人は私を静かに見守っていて欲しいだけなんだよね」

「分かりました。私が絶対にニコ様をお守りしますので、ニコ様のお好きなように……」

そう言ってカーリーは深く頭を下げた。


『ニコの好きにすると良い。ニコは私が守るからな』

『俺の結界があれば十分だろ!他の人間ならニコに傷一つ付けられはしねーよ!』

2人がまた言い争いをしている。


まったく……


「喧嘩するほど仲が良いのは分かったから、早く連れてってよ」

「「仲良くない!」」


2人はそうハモリながらフェルは低く体勢を下げ、瞬時に人型になったディーゴが私を抱えてフェルに乗せ、竜へ戻ると2人仲良く空へと浮かび上がった。執事カーリーは人型のまま空へと浮かび上がる。

やっぱり"私はリッチで執事ですから"ってところなのだろう……いや何のこっちゃ。


それから2時間ほど、途中で不貞腐れているディーゴに乗り換えたりしながらも、私は国境近くへと到着した。

空から眺めても分かるほど所狭しと兵がひしめき合って睨み合う光景に、私はゴクリと息を呑んだ。


「人がゴミの……まあいいわ!戦争なんてすぐに終わらせてあげるから!」


私はそう叫んで覚悟を決めたものの、その後も暫くは心を落ち着けようと何度も深呼吸していた。

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