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[完結]捨てられ聖女と森の主・妹のためにと捨てられたんですけど?  作者: 安ころもっち


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45.ニコレッタ、式典に挑む!

式典当日。


早朝から森の入り口まで迎えに来た王家の馬車で城に赴く。

馬車にはエレオノーレが乗っていた。


そして私の背後にいるカーリーを見て「ひっ!」と悲鳴を漏らす。


「ニコちゃん……また新しい従者?」

「従者って……」

少なくともフェルとディーゴは従者扱いしていないと思うけど?


「あの執事さん?でいいのかな?フェル様やディーゴ様の様に鑑定弾かれるんだけど?やっぱりそう言う事でだよね?」

「いや、そうなんだけどね。詳しくは後で陛下も交えて説明するけど、死霊の森の主、カイザーリッチのカーリーです」

「ニコちゃん、陛下には先に私がやんわりと説明するからね。それでOKが出たら説明して」

「分かった。それはエレオさんに任せるね」


そんなひそひそ話が終わり、三人を馬車内に招き入れる。


「吾輩、ニコレッタ様の忠実なる(しもべ)、カーリーと申します。エレオノーレ・オルランディ様ですね。以後お見知りおきを……」

「え、ええ。よろしくね」

「カーリー?女性には勝手に鑑定禁止!」

「失礼いたしました」

狭い車内で頭を下げるカーリーに「気にしないで」と、顔をやや引き攣らせつつ返すエレオノーレ。


暫く馬車にゆられながら街並みを見るが、今日はどこも混雑していた。


「昨日からすでに各国の代表たちが集まってるからね。他国のお偉いさん見たさに街に出る人も多いみたい」

「でも、今回は帝国以外は代理の人達ばかりだよね?」

「そうね。そもそも他の小さな国々は王国に協力的だけど、帝国とは長年いがみ合ってるんだよね。表面上は仲良くやってますって発表してるけど。

こういう式典は毎回帝国も代理が来るだけなのに今回は帝国も気合が入ってて、皇帝陛下が公爵を引き連れて来るから国賓扱いになっちゃって大変だったみたい。多分ニコちゃんの存在があるからかな?」


そんな話を聞きながら、今日は何事も起きなきゃ良いなと願った。


その後、控室に通された私は式典用のドレスに着替え、フェル達も式典用にフォームチェンジした。


フェルは王国の聖騎士団の制服のようなフォルムに、片方だけのマントを羽織り全体的に青い。後で聞いたけど片側のマントってペリースって言うんだね。帯剣してないけど殴るにも邪魔じゃないから良いのかな?

ディーゴはいつもの赤いドレスに裾などの刺繍を黒にしてセクシー度が上がっている。黒髪をアップにして顔半分が隠れる黒いレース付きの帽子まで再現していて妖艶な雰囲気を醸し出している。すげーな変化の術。

そしてカーリーは変わりなく執事だった。まあ執事だしね。


そろそろ時間も頃合いとなり、陛下達のいる部屋まで案内された。

途中、全身のいたるところに金の飾りを身につけた集団と遭遇する。


「帝国の人達よ」

エレオノーレがそう教えてくれた。


そして、その中の1人がこちらをちらりと見て舌打ちした。

なんと失礼な!と思った怒りを隠しつつすぐそばを通り抜ける。


すれ違いざまにこちらに聞こえるように「獣人奴隷が城にいるなんてな」「さすが王国」「田舎もんの国だ」と矢継ぎ早に蔑まれた。

思わずそちらに目を向け睨んでしまった。


ニヤニヤする男達を見て石礫を飛ばしてやろうかと思ったが、エレオノーレが私の方にふわりと手を置いて、「行きましょ」と声を掛けられたのでその場は怒りを飲み込んだ。


「さっき獣人奴隷って言ってたけど……」

「うーん、帝国では獣人族の方々は奴隷として扱われてるのよね」


部屋へたどり着くまでにエレオノーレが獣人族について話してくれた。


王国にもチラホラと獣人族がいるので、たまにモフりたい衝動を我慢することも多々あった。だが本来獣人族は町はずれに小さな集落を作り自給自足な生活をすることが多いようだ。

そして、帝国ではそんな獣人族は捕らえられ、奴隷として酷使されているようだ。どうやらフェルを見たさっきの男たちが、そんな獣人奴隷を連れ城にいることについてディスっていたようだ。


「よし!後で泣かせよう!」

「そうね。式典ではフェル様も元の姿でも登場するんでしょ?」

「うん!」

式典の最後にはフェルたちが元の姿に戻り、王族に祝福を与える演出をする予定となっている。予定より一人増えたけど、まあ大丈夫だろう。


この演出は聖女である私には神狼と黒竜が付き従っているという牽制であり、不帰(かえらず)の森を私の好きにして良いと言う、陛下の提案に対するお礼を兼ねている。


「フェル、遠慮せず巨大化していいからね!」

「それは構わんが、あんな小物の戯言にいちいち腹を立てなくても良いだろう?」

「もう!フェルは世界一カッコイイんだから!バカにした奴等をキャンって泣かせちゃってよ!」

少し興奮しながらフェルに言うと、フェルが鼻で笑っている。


「まあ、そうだな。私は世界一だからな!」

背中を見るとフェルのしっぽはふわふわと揺れている。


「俺も!あいつらにブレス吐いていいんだろ?」

「駄目です!」

笑顔のディーゴの提案に即座に却下するエレオノーレ。


「吾輩はニコ様の傍に控えておりますゆえ」

「うーん、陛下に相談かな?どうせなら3人で陛下と王妃様、ローランド殿下にそれぞれ祝福与えたら?」

私の提案に首をかしげるカーリー。


そう言えばカーリーには式典の内容話してなかったな。


「まあ、それは相談してからね」

「そうだね」

エレオノーレとそう話しながらやっと陛下の居る部屋へとやってきた。


室内に入ると、陛下と王妃様、王太子ローランド殿下に宰相、カルロ隊長もいた。

陛下は私の背後を見て少し警戒中。


ローランドはいつもの様に私の前までくると両手でハイタッチ。そしてディーゴのところへ行くと腰辺りにくっついていた。ディーゴが頭を撫でローランドを可愛がっているのを見て、少し寂しさを感じる。


「ニコ殿、よく来てくれたな。で、そこの執事は、新たに雇ったということか?なんだか嫌な予感もするが気のせいだよな?」

私は口をぎゅっと結んだ。


「陛下、まずは私からご説明を」

そう言ってエレオノーレが陛下の元へ移動すると、耳元でごにょごにょ……


頭を手で支えながら俯き「うーん」と唸る陛下。

そしてエレオノーレは弟のカルロにも耳打ちをする。そしてカルロは額に手を置き天を仰ぐ。2人の反応を見てなんだか楽しくなってきた私は、思わず頬がゆるんでしまう。


「ニコ殿、楽しそうだな」

「いえ、別に」

私は口をぎゅっと結んだ。

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