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[完結]捨てられ聖女と森の主・妹のためにと捨てられたんですけど?  作者: 安ころもっち


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38.ニコレッタ、公爵息子とバトルする

嫌な男たちがまだ……もう少しだけお付き合いを……

男たちと一緒に大聖堂内にある訓練場へと移動する。


教会には司教などを警護する聖徒守護隊(ホーリーガーディアン)と呼ばれる兵士がいるらしい。その守護隊が訓練するための広場があるようで、先ほどの廊下を出てさらに進むと、ひらけた場所へ出ることができた。


ゾロゾロと歩く間に、ディーゴが「俺もやる?やっていいよな?」と笑顔で私を覗き込むので「だめだよ!めっ!」と言うと口を尖らせ不貞腐れていた。

フェルは「ニコ、屋上って何だ?」としきりに聞いてくるが、それは無視だ。蒸し返さないでほしい。


2人といるとどんどん怒りが落ち着いてくる。だが、すぐ前を歩いている男たちの顔を見てまた怒りが湧いている。女性を下に見るあの視線、あの視線だけで生理的に無理だ。


「では、誰から行く?」

広場に出てすぐに全員ぶちのめそうと、フェルとディーゴを端に待機させ中央までやってきたものの、男たちはあれやこれやと輪になって相談を始めていた。


ソレンティーノ家の嫡男テオフィロは聖騎士団第一隊の副団長だし強いのだろう。その弟の2人も同じように鍛えているように見える。そしてドラーギ家の息子は細いが魔法が得意なようだし、メラーニ家の2人は年齢にしては鍛えてる方なのだろう。


当然負ける気はしないけど、いい加減にしてほしいな。


「順番なんて気にしてないでさー、全員で襲ってきたらいーじゃん!」

「は?何を言っているんだお前は!ふざけてるのか!」

一瞬間が空いてから怒鳴り返された。


「だーかーらー、時間が勿体ないんだって!早く終わらせたいの!あんたらなんて何人いても一緒だよ!」

「なんだとー!」

テオフィロが目を血走らせて怒っている。


「よし!俺も出る!」

「じゃあ私もだな」

「2人はダメ!良いから見ててよ」

フェルとディーゴが出てきたら今後の抑止力にならない。


2人は最後にドーンと元の姿を見せて脅すのが一番効果的だと思ってる。

目立たず平和な生活をと願っていたが、私がそんな生活を送るのはもう無理な事は分かっている。今回のことで私に手を出したら痛い目を見ることをこの際しっかりと叩き込まないといけないのを痛感した。


「全て終わったらお姉ちゃんに謝らなくっちゃ……」

そうつぶやきならが目の前の男たちの話し合いを眺めていた。


そして数分後。


「後で泣き言を言っても知らんからな!」

「終わったら俺たちでお前を仲良く使ってやるから、楽しみにしておけ!」

「俺たちが相手してやるんだ。むしろ幸せな女だと思えよ!」


ソレンティーノ家の3人がそう言うと、周りの男の子たちも子供らしからぬ表情でニヤついている。逆にすげーなと思った。どんな教育をしたらこんなガキになるんだろうと……本気で鳥肌が立つ。


その時、入り口の方が若干ざわついているのでまた何か厄介なことが?と視線を送ると、徐々にそのざわつきが大きくなってくる。

そして入り口から現れたのは、オルランディ姉弟を先頭にした兵士たち、それに隠れるように入ってきたのは国王陛下だ。他にも御貴族様だろうという男の子の姿も見える。


私はそれを見て、この茶番も終わりかな?と思ってしまう。

できれば今後の為にも徹底的にやりたいんだけど……


「お前たち、何をやっている!」

カルロ聖騎士団第六隊隊長の声が訓練場に響く。


「これはこれは、国王陛下までお越し頂き、恐縮至極でございます!」

大司教ラディスラオが手を擦り合わせながら走る。


そして入ってきた団体さんの前で膝をつき笑顔を見せていたのだが、その顔からは汗が留めなく流れている。公爵家の三人も同じように慌てて駆け寄り同じように膝をつく。他の者達はその場で膝をつき下を向いた。

中央でほったらかしになっている私はため息をついた。


「それで、我々王家の命を無視した此度の事、お前達の申し開きを聞こうではないか?」

「そ、それは……」

陛下の問いに言いよどむ公爵達。


その間にエレオノーレとカルロの姉弟が私の元にやってくると、大丈夫か?怪我は無いか?と心配される。そしてエレオノーレに抱き上げられたのだが、ちょっと恥ずかしいので止めて欲しい。

エレオノーレは魔導士なのにパワーあり過ぎじゃないかな?私、これでも結構重くなってると思うけど?


「待って?とりあえず降ろしてよ。あいつら纏めて痛い目に遭わせるから。今後は舐められないように私が直接やらなきゃだから。それよりエレナお姉ちゃんがどこかに連れ去られてるの。お願い助けてあげて!」

エレオノーレにお願いすると、暫く考えた後に私を下ろしてくれた。


「大丈夫なのね?怪我とかしないのね?危ない事はしちゃだめよ?」

「うん。大丈夫だよ?怪我一つする気はないの。これもあるしね」

心配するエレオノーレに胸元から聖魔石が3つ入ったペンダントを見せる。


「そ、それって……」

ゴクリと息を呑んでからペンダントを見るエレオノーレにうなずいておく。そう言えばこれ初めて見せたかな?


「おい、本当に大丈夫なんだろうな?」

「大丈夫だよ。あっちにいるのは人型になってるけどフェルだから。隣は黒竜の谷の主だし……」

心配するカルロにフェルとディーゴを指差しておく。


カルロもエレオノーレも唖然としながら2人を見ていた。


「よく分からないが、後で俺らにも説明してくれるんだよな?」

「そうよ!それよりも、ニコちゃん全然遊びに来てくれないし!お菓子用意するからこの後また部屋に来なさい!」

「全部終わったらね」

仕方なしにそう返答しておく。


この2人とも仲良くしておいた方が得策だろう。どうせなら王家もこの2人も私の後ろ盾にして私と私の周りには絶対不可侵ぐらいに考えて貰えるようにしておきたい。その為には出来るだけ派手にやらなきゃ……


そう思いながら眺めているのだが、公爵御三家は"あのその"以外は出てこないようだ。

私は業を煮やして大きな咳払いをした。

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