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[完結]捨てられ聖女と森の主・妹のためにと捨てられたんですけど?  作者: 安ころもっち


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27.ニコレッタ、三人でお散歩

ディーゴと契約を終える。

光が収まり目を瞑っていた私は、ディーゴの言葉を信じて目を開けた。


目の前には……


ウェービーな、黒髪の、美少女が……


「え?どゆこと?」


破壊力のあるボンキューボンをかろうじて隠す黒いマイクロビキニ。小麦色の肌がほぼ全露出してしまっている。


「どうだ?俺の人型も中々かっこいいだろ?」

そんなことをドヤ顔を見せてくれたディーゴ。


「え、あ、うん。というかディーゴってメス、だったんだね?ごめんね私、色々と勘違いしてた。名前、変える?」

「ん?そうか?まあオスとかメスとか些細な事だからな!ディーゴって名前は本当に気に入ってるぞ?」

「うん、ありがとう。でもね、ディーゴが着てる黒いの、ちょっと布面積が小さいかな?それ水着っていう奴で、海とかで着る奴だし、それもかなり薄着な?オスを誘惑したい時に使うような?」

自分でも何を言ってるんだろうと思いながら口を開く。多分私はかなり混乱していたのだと思う。


「おっ、繁殖用だったのか。だからニコはこれをドキドキして見ていたんだな!」

「ちょ!いや、違くて……」

確かに私がそれを見ていた記憶はある。


雑誌にあったそのマイクロ水着にこんなの恥ずかしくて着れないよねと思ってドキドキしてしまった事はあった。だが決して自分で身につけたいとは微塵も思っていなかったのだ。


私は、光で視界を隠して変身するディーゴを多分アホ面で眺めていたのだと思う。

その光もすぐに収まり、ディーゴが身に纏っているのは真っ赤なドレスであった。腰の黒いベルトにより細いウエストが強調されている。派手ではあるが美しい顔立ちにとても似合っている。


「どうだ?」

そう言って笑うディーゴの口元には鋭い牙があった。それもまた魅力的で見惚れてしまう。どこぞの貴族令嬢と言われても納得してしまうだろう。そう言えば私も一応元貴族令嬢だったな。うん忘れよう。令嬢として育った記憶など全く無い。


「すごく……素敵でございます」

思わず敬語になってしまった私の言葉に、ディーゴは「なんだそれ」と笑った。


「よし!無事契約も済んだことだし!どうする?谷に行くか?」

「うーん、行きたいけどまた今度かな?明後日には一度街に行かなきゃだし……」

「そうか!じゃあまた今度だな!」

そう言いながらディーゴは私を一度抱きしめた後、小さなドラゴンへと姿を変化させた。


抱きしめられた時には圧死するかもと思った圧を顔に感じ、離れる際のぽよんというその柔らかさに思わず頬が緩んだ。あれは凶器だ。私を新たな癖へといざなう危険な存在だと思った。


その日は頬に残った感触をたまに思い出しつつ、明後日納品する用のメープルシロップを回収したり、畑の手入れをしたりと忙しく過ごしていた。


ドラゴンに戻ったディーゴとは、メスだと分かったからかフェル以上に仲良くなっている。

夜は少しひんやりするディーゴのお腹に寝そべると、役目を取られまいと迫ってきたフェルの毛皮に包まれ眠るという、非常に贅沢な夜を過ごしている。


必然的に向き合って寝ている2人も少し仲良くなったように見えた。


そして次の日曜日。


『ニコは私に乗って行くのだ!いつもそうしていた!今更クソ蜥蜴の出る幕なんぞ無いんだひっこんでろ!』

『お前はいつもやっているのなら、今回は俺に譲ってくれてもいいだろ!俺なら飛んで行けるし。な、ニコ。空を滑空するのは楽しいだろ?連れてってやるよ!』


言い合いをしている2人だが、これが喧嘩するほど仲が良いというものかな?

そう思って笑顔で眺めている。


確かにディーゴに一度乗せてもらったが大空を自由に飛ぶのは本当に気持ちが良かった。だが目的地は東門の詰所だ。初見ではドラゴンの襲来で大騒ぎになるのは目に見えている。


「とりあえず2人は人型で。まだ時間あるから今日はゆっくり歩いていこ?」

取っ組み合いを始めた2人は黙ってうなずいた。


人型になった2人に挟まれ手を繋いで歩く。

それだけで少し胸がキュっと締め付けられた。


こちらの世界に来てから感じていなかった温もりが手に伝わる。前世から合わせるともう32年分の生きた記憶があるが、こっちに来てから見た目に合わせて精神年齢が幼くなった気がする。


こんなことで前世の父母を思い浮かべてしまう。

両親は5才の頃に母が家を出て離婚しアル中の親父には放置され、近所の人達に助けられ何とか生きた日々。それでも、あんな両親でも確かにこうやって仲良く手を繋いだこともあったのだ……


そんなことを考えていると2人が急に足を止めた。


「おいニコ!どこか具合悪いのか?」

「お腹か?お腹が痛いのだろ?」

慌てる2人の顔を見て思わず噴き出した。


「何言ってるの2人とも、私は……私は?」

気付けば自分の頬に涙が伝うのを感じ慌てて拭う。


「あれ?なんでだろね。おかしいよね」

そう言って顔を覆う。恥ずかしいな。なんでこんなところで一人センチメンタルに浸ってるんだろう。


「よしフェル!一旦帰るぞ!」

「そうだな!俺が乗せて行こう!」

「いやそこは俺だろ!」

「ニコが落ちたらどうするんだ!安全を考えれば私の背中が一番だ!」

「俺は落としたりしない!お前のように間抜けじゃないからな!」

「なんだとー!」

「やろうってのかー!

私は、2人のやり取りを見て涙が引っ込んだ。


「もー!2人とも喧嘩しないでよ。大丈夫だから早く行こー!」

笑顔で2人に抱き着いた。


その後、何度も私に大丈夫か?無理するなよ?と2人が確認するが、恥ずかしいから本当の理由は言えず、目にゴミが入っただけだからね!と誤魔化しておいた。


温かい日差しを浴びながら、親子のお散歩のような気分を味わいながら、東門の詰所まで足を進めた。

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