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[完結]捨てられ聖女と森の主・妹のためにと捨てられたんですけど?  作者: 安ころもっち


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15.ニコレッタ、聖女としての力を見せる

部屋の扉がドンドンと音を立てる。


振動を感じ目を覚ました私は、強めのノックの後に飛び込んできたエレオノーレにより上着を羽織った状態で聖宝神殿へ移動した。


「ニコちゃんなら聖なる魔力を注げるんじゃない?」

エレオノーレに言われたままに、目の前の魔道具っぽい物についている魔石に聖なる魔力を流す。


あっさりと黒々とした光を取り戻す目の前の10個の魔石。

促されるままに他の装置の色あせた魔石にも黒い光を灯す。


すでに部屋にいた陛下や執事、後で紹介されるこの国の宰相のおじさんもそれを見て歓声を上げた。


そして皆がホッとしたその時、聖宝神殿のどこかで爆発音が聞こえた。


「なんだなんだ!」

部屋に来ていた第六隊隊長のカルロは音のあった方を見る。周りの面々も同じくそちらを見て彼是と騒いでいる。


私も同じようにその爆発音が聞こえた部屋の扉の方を見た数秒後、その扉が周りの壁ごとドカンという破裂音をさせて砕け落ちた。私は咄嗟に結界を作り出し飛び散る破片を防いだ。


破片が結界に激しくぶつかった後、壁を破壊した犯人の姿を確認することができた。


「フェル!」

『ニコ!無事か!』


その返事に気付いてしまう。

今回の騒動の発端はフェルなのかと、そしてそもそもの発端はフェルの事を忘れ、呑気に城に泊まり込んでしまった私なのかと……


カルロ隊長やエレオノーレが何かを叫びながら戦闘態勢をとる。

だが、フェルが地の底から聞こえるような唸り声をあげたことによりその動きを止めた。膝から崩れ落ちそうな2人。他の兵士や侍女たちはすでに崩れ落ち倒れているのが見えた。


カルロたち2人に守られるようにして立っていた陛下も、ふらつきながらもなんとか意識を保っている状態であった。


「フェル!だめだよ!」

そう言って走って抱き着くが、それを見てエレオノーレが絞り出すように「ニコちゃんだめよ!」と叫んでいる。


それに「大丈夫です」と言って手を上げて安心させるように笑顔を見せる。

フェルを抱きしめながら首に下がった聖魔石を確認すると、<聖魔石 1354/2684>となっているので、「やっぱり無理したんだね」と言ってフェルの顔を撫でる。


それに安心したのか、フェルも落ち着いたようで膝を折り丸くなった。口先で背中を自分に寄せるように押すので、どうやらここで寝ろと言いたいようだ。さすがに陛下たちが慄きながら見ている中で眠るほどの胆力は無い。


「フェル、暴れちゃだめだよ」

そう言ってまた頬を撫でると目を細めて手に擦り付けるようにして顔を動かしならが『分かった』と言うフェルを見て、もう大丈夫だろうと皆に顔を向けた。


「あのー、この子、一応あの森の主なんだけど私のお友達なので、もう大丈夫だから攻撃はしないであげてね?」


私のお願いに言葉なくうなずく皆を見てホッと息をつく。

そんな私にエレオノーレがびくつきならが近づいてきた。


「ニコちゃんは、森の主さんと仲良く森で暮らしてたってことで、いいのかな?」

「うん。黙っててごめんね。フェル、えーとフェルはフェンリルなのでそう呼んでるんだけど、私と一緒に森の中にお家を作って暮らしてる。今回のもフェルのことをちょびーとだけ忘れてた私のせいかも?」


私の返答に「そうなんだ」というエレオノーレの声に合わせて、フェルの『忘れてた……』という声が聞こえたので、慌てて謝りながら頬を撫でくり回す。


そしてやっと口を開いた陛下は、私たちの近くまで歩きだすとそのまま膝をついた。それを見ていた私は流石に呆気に取られ、この状態がなんなのか考えるのをやめた。


不帰(かえらず)の森の主、フェンリル様ですね。当代の国王、ピエルルイジ・ユリシースと申します。此度は、愛すべき神徒様であるニコレッタ様に対し、城に引き留めてしまうという無礼を働き、誠に申し訳ありません」

『うむ。許す……だが、今後ニコに何かあれば、その時は容赦はしない』


フェルの偉そうな返答に皆がひれ伏すように頭を下げた。


フェルが丸まって眠っているような仕草をする中、すっかり眠気が飛んでしまった私は陛下と話し合う。


陛下の言っていた神徒様というのは、どうやらフェンリルといった強大な知能のある魔物に寄り添うことのできる存在だと言う。それらは国に保護されるべき存在だという。

膝をついたままそう話す陛下を見て、普通にしてほしいと何度目かのお願いでうなずいてくれた。


その後、室内に寝かされているおばあさんが聖女様だと聞き、慌ててそばに駆け寄り回復の魔力を注ぐ。


聖女の青白かった顔に血の気が戻るのを見て、多分だけどもう大丈夫だと思った。


それから、エレオノーレがフェルの首飾りを見て唸った後、私の耳元で囁くように聞いてきた。


「ニコちゃん、フェル様の付けているあれって、聖魔石って出てるけど……知ってた?」


エレオノーレは鑑定が使えるんだなーと思いつつ「そうなんだー」と応えておいた。すぐに陛下と何かを話しに行ったエレオノーレを見て、またも面倒なことに……とため息をついた。


「ニコちゃん。いえ、ニコ様……できればあの聖魔石を一時的にでも良いので借り受けることはできないか、お願い頂くことはできないでしょうか?」

「私からもお願いする。どうか、一時でも良いのでお貸し願いたい」


目の前に膝をつく2人を見てうなだれた。


そして、まだ余裕のある魔力を両手に籠め聖魔石を作り出した。

両手を胸の前にあて拝み始める2人。それにつられ周りも同様に手を合わせ……私はどこかのインチキ宗教団体の教祖様になった気分になっていた。


結局、私はもう1晩城に泊まり込み追加で2つの聖魔石を作成した。

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