表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
盲目少女と黒猫王子の小さな冒険  作者: 沼田桃弥
第二章:呪われた王子
8/25

2-2:運命?

 エドワルドの執事がテーブルにサラダや魚料理など沢山の食事を並べてくれた。はっきり見えなくても、香りだけで食欲をそそる。



「さ、食べようか」

「い、いただきます。神の祝福に感謝を」



 ユリーカは祈りを捧げ、食べ始めた。一口ひと口噛み締め、久々のまともな料理に涙が零れそうだった。



「どれもとても美味しいです。今度、作り方を教えてください」

「ほほっ、いいですとも。私の秘伝のレシピで良ければ」



 食事が一息ついたところで、次はエドワルドが自身の事の顛末を話し出した。



「ちょうど一ヶ月前に、禁書庫に入っていく宮廷魔導師の女性を見かけて、怪しい様子だったから、声をかけたら、黒猫に変えられたんだよ。それで、体は絵の中に閉じ込められたってオチさ」

「その魔導師の方は捕まったんですか?」

「いや、捕まえ損ねたんだ。見回りが手薄になる時間を見計らっていたからね」

「それは災難ですね」

「それで、僕がこんなことになってしまったから、王室を離れて、今は使われていないこの屋敷に絵画とともに来たって訳さ。最初は絵の中でも会話出来ていたんだけど、徐々に出来なくなって。でも、君を見かけた時にピンッと来たんだ。この子なら助けてくれるだろうって」

「だから、黒猫の姿で話し掛けてきたんですね」

「そうだよ。でも、まさか『真実の心』を持つ者に出会うとはね。僕は運が良かった」



 エドワルドは興奮しながら、話した。ただの偶然なのか、必然なのか。飢え死にしそうなユリーカにとっても運が良かったのは確かだ。

 でも、もし仮に私がここを離れたら、彼はどうなってしまうのだろう? ユリーカはエドワルドに尋ねることにした。



「エドワルド王子」

「エドワルドで良いさ。敬称は無くて大丈夫だ」

「ありがとうございます、エドワルド――様は今こうやって元のお姿になられていますが、私がいなくなったら、また黒猫に戻ってしまうのですか?」

「そうだね。試してみないと分からないね。食事も終わったことだし、執事と一緒に屋敷の鉄門まで行ってもらおうか。その間に、僕は二階のバルコニーに立って、執事に僕の姿を確認してもらおう」

「分かりました」



 ユリーカは席を立つと、執事の手を借り、屋敷の鉄門前まで行った。辺りはすっかり暗くなり、正直確認のしようがないと思った。しかし、エドワルドのたっての希望だし、自分から尋ねてしまったのもある。どうか元の姿のままで、呪いが解けていますようにと内心思った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ