表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
盲目少女と黒猫王子の小さな冒険  作者: 沼田桃弥
第一章:別れと出会い
6/25

1-6:大きな古びた肖像画

 一瞬、高齢男性の幽霊が喋りかけてきたと思い、ユリーカは思わず声を上げる。



「きゃぁ! ゆ、幽霊!」

「ほほほっ、私はまだ死んでいませんよ。この屋敷の執事をしております老いぼれじいさんです」



 そういうと、男性は顔が見えるように明るい場所へ移動し、ユリーカに挨拶をした。ユリーカは目を凝らし、まずは男性の足元を見た。二本の足がある。そして、体が透けていないことを確認すると、ふーっと胸を撫で下ろした。



「ミャー、ミャー」

「おっと、エドワルド様もいらしたのですね。お帰りなさいませ」

「エドワルド? やっぱり、この黒猫はただの猫じゃないのね」

「ミャミャミャー」

「どうやらあそこの階段上にある絵画の前に来て欲しいみたいです」

「えっ? もしかして、執事さんも言葉が分かるんですか?」

「いえ、私には分かりませんが、そういう素振りを見せるので、そうかと」

「そうですか。あの、私、目が悪くて、暗がりだとあまり見えなくて……。案内して頂けますか?」

「これは失礼。では、ご案内させて頂きます」



 ユリーカは執事の手を取り、正面にある階段を一段一段ゆっくりと上がった。上がった先にはとても大きな古びた絵画が飾ってあった。絵画が見えるように、執事が蝋燭の明かりを高く掲げる。ぼんやりではあるが、勇敢そうな若い男性の肖像画だった。



「ミャミャー」

「えっ、触るの? 触って大丈夫なの? で、なんで突然、猫語?」



 ユリーカは恐る恐る絵画に触れた。触ると鼓動を感じた。まるで絵画が生きているかのような感覚だ。

 そして、ユリーカの隣に黒猫がやってきて、絵画の前で「ミャー」と鳴いた。その時、突然、黒猫が光に包まれた。

 驚くべきことに、黒猫が人の姿へ変身し、目の前に現れたのだ。



「えっ! 黒猫が人の姿に!」

「あははっ。僕は正確に言うと猫族だよ。その証拠に、猫耳と自慢の尻尾があるんだ」



 彼はそういうと、ユリーカの手を取り、猫耳と尻尾を触らせた。確かに彼の言う通り、猫耳と尻尾がある。もふもふしていて、毛並みが良く、触り心地が良かった。



「本当だ。本当に猫族だ――って、ことは!」

「ふふ、驚いたかい?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ