表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
盲目少女と黒猫王子の小さな冒険  作者: 沼田桃弥
第一章:別れと出会い
5/25

1-5:一匹の黒猫

『真実の心』によると、獣人族みたいだ。でも、どうして? 獣人族はこんな動物そのままで生まれてくる訳じゃないし、どう目を凝らしても黒猫だ。ユリーカは一か八かで質問を投げかける。



「あの、黒猫さん、黒猫さん。貴方、もしかして言葉が喋れないの?」

「ミャー……って、喋れますよ」

「わぁ! 猫が喋った! ……って、獣人語?」

「おや、お嬢さんはてっきり人間族だと思いましたが、獣人語も理解できるんですね」

「はい、一応、私は人間と獣人の混血ですし、母にいつも習っていましたから」

「ほう、混血ですか。しかし、見た目は人間そのもの。獣人のハーフでも見た目ですぐ分かるんですがね」

「私は人間として生まれました。ただユニコーンの血が流れているので、『真実の心』を持っています。その代わり、視力が悪過ぎて、黒猫さんがただの黒い玉にしか見えないです。すみません」

「ユニコーンの血が流れてる上に、『真実の心』を持ち合わせているとは! もしかしたら、これは運命かもしれません」

「運命? 仰ってる意味が分からないのですが……」

「とりあえず僕の屋敷に来てください! お願いします。女性一人でここで野宿なんて危険です。ささっ、僕についてきてください」

「えっ! 私はまだ行くとは言っていないのに。なんて自分勝手な黒猫さんなのかしら」



 ユリーカは目を凝らしながら、黒い物体ならぬ黒猫を追いかけた。湖畔に沿って歩き、そうかと思えば、真っ直ぐ続く林道を歩く。



「あの、黒猫さん。どこまで行くんですか? 私、もうヘトヘトなんですけど」

「お嬢さん、もうすぐですよ。ほら、見えてきたでしょ」

「だから、私は目が悪くって……」



 黒猫はお構いなしに言ってくる。ユリーカは再び目を凝らした。そこは今まで一度も来たことがない知らない場所だった。屋敷にしては、なんだか古びれているというか、鉄門に蔦が絡まっている。



「あの、勝手に入って良いんですか?」

「大丈夫さ。ここは僕の住んでいる屋敷だよ」

「住んでいるって、野良猫の集会所か何かですか?」

「あはは、君は面白いことを言うね。ささっ、入って」



 建て付けの悪い音がする玄関扉を開くと、中は薄暗く、壁にかかっている蝋燭立てにある蝋燭の火がぼんやりと見える。見るからに人が住んでいるようには見えない。



「ようこそ、いらっしゃいました」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ