2.星空と散る 始まりの流れ星
登場人物
星が好きな少女 千奈
旅人 風
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「綺麗だな、千奈。どうだ?君が見たがっていた景色は?」
満点の星空の元に2人の影が見える。
「うん。そういえばさ、確かこの時期だよね。私達が出会ったのは。」
「あぁ確か千奈が...」
2年前まだ新米旅人だった、風。そんな彼はここの村人に薦められ、『蒼の丘』にやって来ていた。
「ここが、蒼の丘か。綺麗だ」
赤 青 黄色 紫様々な色で揺れる鬱金香。不思議に心が洗われるような場所だと彼は思った。
「でしょう。ここは、私の母が植えたの。」
透き通るような美しい声。後ろを振り向くと、薄い蒼の髪の少女が立っていた。
「そうなのか。」
「うん。」
絶望的に会話が続かない彼と少女。そんな二人を見かねたのか、少し風が強く吹いた。
「私の名前は、千奈。貴方の名前は?」
「風。」
さらに風が強くふく。二人をもっと押し出すように。
「えっ?」
「僕の名前は風だ。」
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「って感じだったよね。」
あの時のように風がふく。
「あのときの君は本当に神神しかった。」
「ありがと。」
2人だけの世界を星空が照らす。