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不定形の夢
酔っぱらうことさえ忘れた。おれの仕事はもうなにもない。
それでもなにかに耽っている。なにかにすがっている。
足場はいまにも崩れそうだ。悲しく虚しく時が過ぎていく。
それでもなにかを探している。なにかを狙っている。
目つきは鋭く。貫く勢いで。おまえらを射抜く勢いで。
昼寝をしながら夢をみている。よくわからない夢を。
不定形の夢だ。不安定の夢だ。不条理の夢だ。主不在の夢だ。
目覚めると全身に汗をかいている。まるで一発やったみたいに。
頭の中に九龍城砦のようなものがあって、
毎日少しずつそいつは膨れあがっていって、
汚いものや臭いもの見たくないものや避けたいもの、
そんなものがぱんぱんに詰まっていて、
いまにもはち切れそうなんだ。
だからだと思う。
おれがよくわからない夢をみるのは。