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裏路地

細い裏路地をあっちこっちに歩き回らされて

既に方向感覚も失われどこにいるかも分らず

足下には生活排水やらなにかの糞やらが溢れ

耳には姿の見えない子供達がはしゃぐ声だけ

表札もなく住所を知る手がかりもつかめずに

尋ね人の名前だけを頼りにただただ裏路地を

徘徊するどぶねずみの様に鼻をひくひくさせ

いつまで経っても慣れない悪臭に辟易しては

ここが居場所ではないと自らに言い聞かせて

電線とトタン屋根に遮られた青空を仰ぎ見て

恐らくはこの辺だと当たりをつけたはいいが

根拠も確証もなく軒を連ねる掘っ立て小屋の

戸を叩き続けても応答なく生活の痕跡だけが

生々しい周囲の空気に肺が冒されてゆくだけ

一体どうしたものかと途方に暮れてはみても

気の休められるような休憩場所は存在せずに

嫌悪と緊張だけが膨れ上がり額を汗がつたい

この裏路地への憎しみがいよいよ閾値を超え

脳を掠める考えこのあたりはよく燃えそうだ

理由があるならばただ抜け出したかっただけ

裏路地からの出口を切り開きたかっただけで

沢山の人が死ぬなど思いもしなかったのです

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