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都会の夜の少年
ぎらついた道、太ったねずみと、残飯のかけら、避けながら、行く。
油の浮いた水たまり、えいや、飛び越し、じろじろ見るなよ。
よそ者ばっかり、騒がしくって、なっちゃないね、礼儀が。
駅に吸い込まれた、そう思ったら、また出てきやがる、まいっちゃう。
小便臭いトンネル抜けて、歩道橋の上、ちょっとひとやすみ。
こいつら、なにが楽しいんだろう、げらげら笑って、馬鹿みたいに。
汚え、あいつめやりやがった、しばらくあそこ、座れないよ。
お気に入りの場所、いっつもいっつも、汚されちまう、だれかに。
それでも、下を見なけりゃ、きれいだ、今夜も。
だれも知らない、月が、きれいだ、今夜も。
だれも迎えにこないけど しばらくここにいよう、今夜も。