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いつかの恋人たち

昼間の盛り場を抜けて

ワッチキャップを目深に被る

遠く覚えるあの街と

いつか過ごしたあの部屋と

なにもかにもが欲しかった

あの日々も遠く

ほどけた紐を結びなおし

もつれた糸をときほぐす

洗濯物が風に揺れて

一緒に影が揺れている

かすか聞こえる笑い声は

いつかどこかの子どもたち


春の陽気に酔って調子に乗って

夏の暑さにやられて息がつまる

秋に恋したふたりは風に巻かれ

冬の寒さでひとつ身体寄せ合う

寝ぼけた明け方毛布を引き寄せ


夕暮れ盛り場を過ぎて

マスクを軽く持ち上げる

いちばん遠いあの街の

匂いが少しかすめた気がして

ほんの一瞬立ち止まった

あの日々が遠く

ほどけた紐がもつれ合い

もつれた糸が膨れあがる

電車の音が風に乗って

ビルの間を抜けていく

かすかに燃える夕焼けは

いつかどこかの恋人たち


春の陽気を吸って調子に乗って

夏の暑さでやられて脳が溶ける

秋に恋したふたりは金で焦げて

冬の寒さでカレーが硬く冷えた

寝ぼけた明け方きみの名を呼ぶ

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