第九十話「信頼」
「わ、私が金城さんと?」
紅は克磨に対して聞き返す。
たった今、金城蘭華は強敵だという話をしていたばかり。
自分が箱石で最弱だという自覚がある紅にとって理解し難い選択だった。
「そうだ。もちろん、確実に対戦出来るとは限らないけど」
「でも、私一番弱いんだよ?全国三位の人に勝つなんて出来ないし、、、」
紅が特別弱気な訳ではない。
ほとんどの者はそれを無謀だと言うだろう。
(もしかして捨て駒?ううん、勝てない相手じゃないって言ってた。それに、そもそも克磨くんはそんな事しない)
克磨は勝ちを諦めていない。
「いや、勝てる。勝てるようにしてみせる」
克磨の目には迷いや不安は一切無かった。
「ここで強くなっておかないと、全国では戦えないと思う。紅なら、金城蘭華に勝てるくらい強くなれるはずなんだ」
「わー信頼が重ーい」
「うぅ、過大評価だよ、、、」
信頼への恥ずかしさを感じ、紅は縮こまる。
「過大評価だろうが何だろうが、君は評価されている。後は、その評価に応えるつもりがあるかどうかだ」
志織の言葉に、紅は考えさせられる。
(評価に、応える。私を信頼してくれてる人に、良い結果を返す)
克磨は、紅なら蘭華に勝てると信じている。
そして勝たせるために最大限のサポートをするつもりだ。
「、、、分かりました。私が金城さんと戦います。そして、勝ちます!」
「ふうん、意外と言うじゃないか」
志織は感心する。
「三日後、私と試合してもらう。本気の私を倒してみろ」
「皿井さんの、本気?」
紅は息を飲む。
真珠は目を輝かせる。
「今の私が本気を出しても、全国レベルの高校生には及ばない。つまり、私を倒せなければ金城蘭華には到底勝てない。彼女に勝つつもりなら、私を超えるのは最低条件だと思え」
空気がピリピリと張り詰める。
「、、、勝ちます!皿井さんにも、金城さんにも!」




